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「びじゅチューン!」愛すべき歌詞係たち【2】 琳派3人組 

 

Eテレ「びじゅチューン!」に登場する「歌詞係」について語るシリーズ、第2弾です。

今回は琳派3人組

その表情について語ります。

まずはこの作品を、歌詞係に注目してご覧ください。

表情について語る?OH!むぼー。


でもその前に、琳派。
誰?何?

琳派(りんぱ)とは、桃山時代後期に興り近代まで活躍した、同傾向の表現手法を用いる造形芸術上の流派、または美術家工芸家らやその作品を指す名称である。本阿弥光悦俵屋宗達が創始し、尾形光琳乾山兄弟によって発展、酒井抱一鈴木其一江戸に定着させた。(Wikipedia)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%B3%E6%B4%BE

とのこと。
その中で「びじゅチューン!」の琳派3人組と言えば、俵屋宗達・尾形光琳・酒井抱一。

さて、もう一度「風神雷神図屏風デート」です。

もちろん「風神雷神図屏風」をテーマにした作品です。
歌詞係は・・・

わかりやすく宗達・光琳・抱一の3人組ですね。
17世紀に活躍し、最初に「風神雷神図」を描いた宗達、彼をリスペクトし、18世紀に「風神雷神図」を模写した光琳、さらに19世紀に光琳の絵を模写して「風神雷神図」を描いた抱一。

100年ずつの時を超えてのリスペクト関係で琳派を代表する3人それぞれが、「風神雷神図」を描いているのです。
だから歌詞係も3人で務めているのですね。

この3人は「風神雷神図屏風デート」の続編、「夏秋草図屛風デート」にも3人組として登場します。

3人の中で最も後輩の酒井抱一は、自分でも「風神雷神図屏風」を描いただけでなく、尊敬する先輩、尾形光琳の書いた「風神雷神図屏風」の裏側に「夏秋草図」という作品を描いているのです。
「夏秋草図屛風デート」はそれをテーマにした作品です。
風神・雷神が「夏秋草図屏風デート」にも登場するのは訳があります。ただ「琳派」の作品で、光琳の「風神雷神図」の裏に描かれたから、だけではありません。
雷神の裏には夕立に濡れた夏草図、風神の裏には秋風にそよぐ秋草図。
さすが超一流のアーティスト、先輩へのリスペクトの気持ちをこのようなオシャレな関係性で表すのですね。


さて美術のお勉強はこのぐらいにしておいて、今回注目する彼らの表情です。特に酒井抱一。

「顔て、表情て、こいつら顔がアレやんけ」というご意見はごもっともです。
しかし、しかしですね。それでも彼らの挙動と抱一の表情から、私は感じてしまうのです、3人の心情を。

まず「風神雷神図屏風デート」から見てみましょう。
抱一がメインの歌詞係、先輩2人は「♪風神雷神図屏風デート~」のメインフレーズだけに登場します。

メインのとこだけ俺らやるから
残りのめんどいとこはお前やっとけ(by先輩)

抱一は両手でぴんと歌詞カードを掲げ、顔の輪郭も角張り、ややうつむき加減の口元は真一文字に引き締まっています(一だけに)。歯を食いしばっているのでしょうか。
それに対し、先輩2人組は曲さびだけ余裕の表情で登場し、なんだか美味しいとこどり。さすがの大物っぷりです。宗達の「達」はニヤニヤしていませんか?
自分も「風神雷神図」を描いたとは言え、尊敬する先輩2人に失礼のないようにガチガチに緊張し、必死でお役目を果たす抱一とは対照的ですね。


さて、次の「夏秋草図屛風デート」の3人を見てみましょう。

やはりメインの歌詞係は酒井抱一です。「夏秋草図」の作者ですから。
でも今回も、先輩2人が登場します。上にも書いたように「夏秋草図」と「風神雷神図」には、とても密接な関係があるからです。


3人の様子を観察してみると、風神雷神ちゃんたちも時が経ってけんかしたりするようになったのと同じに、3人組の関係性も変化しているように感じられます。

まず先輩2人。前回は大変なところは全部抱一に任せて自分たちは後輩のお手並み拝見、おいしいとこどりの余裕の先輩っぷりでした。
後輩に焼きそばパンとポカリとジャンプを買いに行かせるヒトたちですね。

けれど今回、先輩たちは歌詞が変わるたびに抱一をサポートし、新しい歌詞カードを差し出しています。

しょーがねーな~、お前のためなら一肌脱いでやんよ(by先輩)

抱一の態度と表情も変化しています。


前回必死で腕をピーンと伸ばし、両手で掲げ持っていたカードも今回は余裕の方手持ち。カードの高さも自然な感じ、腕もゆったりと力みが取れています。
顔の輪郭も丸みを帯び、前回より上を向いた感じの口元は何だか笑みすら浮かべているように感じられます。

大先輩のサポートも微笑んで受け取る


先輩の作品を必死で模写していたあの頃から成長し、その作品の裏側に自分のオリジナルアートを、なんとも粋なつながりで満を持して描き上げた、自信や誇らしさのようなものが感じられます。
先輩たちも、抱一が立派に成長したこと、彼の実力を認め、安心して琳派の今後を託す感じでしょうか。


顔は文字なのですが、3人の仕草やちょっとした表情から私は様々なことが感じられるのです。


****

今回取り上げた琳派3人組は、顔が文字の人々という、これまた私の大好物のカテゴリーにも登場します。近いうちに書きたいと思っています。
また琳派は、この3人だけではありません。
光琳の弟、尾形乾山の作品を取り上げたものや、本阿弥光悦が俵屋宗達とタッグを組んだ作品をテーマにしたものもあります。


さらに尾形光琳は、単独で2回、歌詞係として登場します。

額に「UME」のハチマキ。梅あゆみの追っかけ、昔の親衛隊。野太い声のコールやオタ芸も極めていそうですね、師匠。

当方調べによると「びじゅチューン!」最多登場歌詞係です。
さすが、「琳派」に自分の名をかぶせた偉大なアーティストです。


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歌詞係を愛するあまり、カードと係それぞれについてそれぞれ1万字を超える長さで書いた狂気の偏愛記事


「びじゅチューン!」全作品はこちらから


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