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アドレナリンがあふれ出す!! #3000字に込めた偏愛

企画を知り早速PCを開いている。
「びじゅチューン!」への偏愛を綴り続けて早2年。またこんな企画に出会おうとは!

胸のバクバクが止まらない。
わくわくではない、ちゃんと語り切れるだろうか、何から語ろう、何を語ろう、緊張と不安、そして興奮。

ここ数日掃除機掛けをさぼって可視化し始めたホコリに、引導を渡すか歯を食いしばって耐えるかの難しい局面に来ていたのだけれど、企画を知った瞬間体が勝手に動き掃除をすぐさま終わらせた。何なら水垢離も取って身を清めたいところだがそれはまあ置くとして、アドレナリン大放出、さらばワタボコリ!

この企画に参加させていただきます。

椎名トキさん、素晴らしい企画をありがとうございます。
思い切り語らせていただきます。よろしくお願いします。

では参る、皆様お覚悟。
紹介した曲は全部聞いてねw(圧)

「びじゅチューン!」
Eテレの、美術を歌とアニメで紹介する5分番組。作詞作曲歌アニメ、全てを手掛けるアーティスト井上涼による解説付き。
今年で9年目を迎え、毎月1曲新作が発表されてすでに114曲を数える。


1分半ほどのその楽曲、バリエーションの豊かさと驚愕のハイクオリティ、驚くべきキャッチ―さ、ヘヴィロテ度の高さ。

世にその存在を知らしめた名曲 

脳内ぐるぐるが止まらない

ROCK!

POP!

シャレオツ!

世界観!!

ええい切りがない。


曲の豊かなバリエーションと表現法

曲調を曲調たらしめる(何言ってんだ?)エッセンスの入れ方が、さりげなくてしかもお見事。

例えばこの曲。

レゲエ調のこの曲、イントロやサビに入れられたパーカッション、2番ではさらに「おいでよ~金ブチの花咲く空間」の後にピアノが入れられ、ラテンミュージックっぽさが際立つ。

またこの曲。

私は主人公を男性5人組アイドルと捉えているのだけれど、それは最初のあたりの「(慌てふためくスタッフの声yeah yeah)」の「year year」の所。
ジャニーズ系のアイドルって、確かにこんなふうに歌う!
さりげなく入れられているけれど最初聞いた時、あまりにも「ぽくて」産毛がさわっとした。それは曲のラスト「松林ズです」の「でぇす」に結実して終わる。

驚くのは、井上涼が作詞作曲歌アニメーション全て担当というその中に、この伴奏、楽器の編曲も入っているということだ。
何という才能か。

・・いやもう、楽曲についてこの辺で終わらないと他の魅力が語れない。

アニメーション

ユニーク。シュール。可愛い。
その中には登場するキャラたちや紹介している元のアート作品への無限の愛とリスペクトが詰まっている。

私が心を撃ち抜かれた一つが、女子たちの足元である。


「麗子像」の麗子ちゃんお釈迦様のお母さんも、奈良薬師寺の吉祥天女も、みんな足元をきりりとハイヒールで決めている。
それぞれの時代の、作品の服装そのままに。
そしてそれがなんと似合っていることだろう。見事に作品における彼女たちの性格や心意気を表して。

1分半の短いアニメーションは丹精込めて作られ、細かいところにいくつものネタが仕掛けられ発見がある。私はそれをいまだに探求し続けている。


内容がガチ

一応子供向けの番組を装っているが、「よい子のみんなのためになる番組でちゅよ~」などという生ぬるさは一滴もない。

記念すべき第一作を見よ。

ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」を題材にし、主人公のヴィーナス委員長は「本当は制服なんて着たくないの 裸でいたいのよ 生まれたままの」という願望を抱いているのだが…

曲のラスト 「願望は制服の中で眠れ」

!!!

なんというオシャレさ、子供には分かるまいこの得も言われぬエロティシズム。

大人が斟酌なしにガチで作っている。

蛇足だが天地創造のアダムはちゃんと全裸で登場だ。


会社のお局モナ・リザさんが若いOLに放つ一言。
そんな辛辣でどす黒いセリフ、どこで拾ってきたのか井上さん。

モナ・リザの微笑んでいる割に何だか怖い雰囲気を具体的に言語化し、さらに会社のお局にしてみせたアイディアも秀逸だが、彼女はただの嫌味なだけの女史ではない。それは楽曲を最後まで聞けばお分かりになる。


この曲だって。

ラストの何とも言えないドライで斜め45度上の解決策。現実的かつ世知辛く、おかしみがあって腰が抜けそうになったw 子供には分かるまい。

大人のニオイぷんぷんの曲たち


いやそんなひねりの利いた曲ばかり紹介している場合ではない。
心にしみる曲もたくさんある。

いい~
井上さんは「やる気あり美」という、LGBTと社会とをつなぐ活動をするグループの一員でもある。

井上さんの作る作品は、どす黒さや大人の事情を内包しながらもポジティブで優しく聞く人を励ます。

こんな曲や

こんな曲で。


コーラス

公式動画では残念ながらコーラスバージョンは聞けない。
が、コーラスの編曲を担当する吉岡弘行氏とジョリーラジャーズの歌唱力、いや演技力で、その楽曲の魅力は何百倍にもパワーアップし破壊力抜群だ。

コーラスと言うが、犬の鳴き声やら人物のセリフやら風や雷の音やら何でもあり、時には「風邪ひくなよ~」とかカトちゃんのセリフまでぶっこんでくる。油断もスキもない。

定番は、さりげなくあるいは大々的に歌い込まれる作者名。
私はこれで長谷川等伯だの曾我蕭白だのドラクロワだの香り高い教養が頭に刷り込まれてしまった。

CDやDVDBOOKも出ているし、音楽ストリーミングサービスでも聞けるようなのでぜひお聞きあれ。

コーラスグループ、ジョリーラジャーズはこちらから。


歌詞係が可愛すぎる


私は、画面右下でお役目を果たす歌詞係を愛でてやまない。
これは2年前、1万字を超える狂気記事にしたし、短めのシリーズでも紹介しているところだ。

国芳の猫 「武蔵の遅刻理由」から


語り尽くせないのでそっちを見てほしいが、代表例は時々登場する琳派3人組。
琳派の系譜もわかるし、特に最も若輩の酒井抱一、顔が文字なのにそこに彼の心情も表れている、ように感じる。


ストーリー性

上に挙げた「風神雷神図屛風デート」と「夏秋草図屛風デート」は続き物になっている。
「びじゅチューン!」には、そんな関係の作品が何組もある。
味わい深いので、ぜひペア、セットで鑑賞してほしい。



からの


他にも最初の方で挙げた「何にでも牛乳を注ぐ女」と「立体曼荼羅マスゲーム」、「通勤フロム山水長巻」と「地元が快楽の園」などいくつもある。

大人のニオイの曲で紹介した「焔のお習字教室」も、途中ちょっとだけ登場する人物たちは過去の何らかの曲の主人公で、彼らのその後がチラ見せしてある。お暇なら見つけて。


ワードセンスが素晴らしすぎる


「光が変える同じじゃない日々に いつかは別れがきちゃうのかな(睡蓮ノート)」
「そうねでも火山ですら 絶やせなかったものもあるし~?(ひそひそと秘儀の間で)」

内容も良かったw


「まあでも浴衣の布の重さはちょうどよく(敢えて湖畔)」

普段着ない浴衣を着た時の、面映ゆさ、緊張と自意識…微妙な女子の気持ちをこんな言葉に落とし込める井上涼、天才かよ。

一瞬挟み込まれるこの女性の足元の絵がまた良い



・・・


一番大事なことを忘れていた!


美術のお勉強になる!!!



私先日「フランソワ・ポンポン展」を見に行ってきた。

何てポップでキュート。

曲で「最終的に落ち着いたのは 歩きやすいシロクマ」と歌われているが、フランスの彫刻家、フランソワ・ポンポンは動物の動きと安定感を追求し続け、同じポーズの同じ動物をいくつも作っていた。そんな彼が評価されたのは晩年になってからだとか。
そういうアーティストの作風やこだわり、さらには生涯までがこの歌詞に込められていて、作品への理解度が違った。

Eテレの美術番組だもの。

もう字数も限界。

とにかく「びじゅチューン!」が大好きなわけ。

そんなことはこの2年間、このマガジンにありったけ詰め込んでまだまだ書き足りないのよ。
お暇なら見てよね♡


「びじゅチューン!」全作品はこちらから





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