内的指針はひとつ【すべての苦しみの原因は】
あなたは、内に指針を持っているだろうか。
それは具体的なふるまいや行動、選択を「ルール化」して規定するものではない。あくまで、あなたの内側で「芯」の役目をするものだ。
それをここでは「内的指針」と呼ぼう。
本当の内的指針たるものは、あなたの備え持った真実のことであり、後から採用した何かではない。
どこかから取り入れた哲学ではないし、宗教のように「信じること」「信仰心を持つこと」で強めていく必要もない。
それはあなたの中にずっと「ある」からだ。
私があえて「思い出す」という表現をよく使うのは、このためだ。思い出すということは、すでに備わっているものを認めるということ、無視しないということである。
新たに作る何かではないのだ。
とはいえ、それを「忘れている」間は、「学ぶ」というプロセスを通ることになる。自分の内にすでにある知識を「解凍していく」ようなものだ。
ただし、そうしている間にも「ああ、そうだった」「本当にその通りだ」と、自分自身の内にある真実を発見していく感覚を伴うだろう。
あるいは、ずっと知っていたことの「顕在化」や「自覚」をしているという実感があるかもしれない。
その通り、あなたは確かに「知っている」のだ。
知っている自己の中に、知らない自己を作るという芸当をしている私たちは、このような感動を味わえる。
この夢(一般に言うところの現実)の中で、「知らないことだらけ」の個人に化けたあなたとしてではなく、「本来の自分のまま」創造をしたいなら、内的指針を他の何かと混同しないことは必須である。
真実を、真実のままにしておく――つまり、真実と幻想をごっちゃにしないということだ。
百の幻想があったとして、その幻想の中でどれだけの選択を繰り返しても、幻想は幻想だ。
あなたがひとつの真実を選び、それ以外を選ばないことを実行しない限り、本来のあなたとして生きる「目覚めた現実」を形に現す方法はない。
唯一の方針と、多様な表れのレベルを混同しないこと【すべての苦しみの根源】
この世界の一般的な意味での現実において、「多様性」は大切だ。
ひとつの意見や視点に固執せず柔軟でいて、様々なあり方を受け入れ、共存していくことが世界の豊かさを認めることとなる。
けれども、それと、内にある指針の「唯一性」とを混同してはならない。
どんなに多様な表れを認めようとも、あなたの内的指針はひとつだ。
「表れ」と「源(根本)」の階層(レベル)を混同して、源にある内的指針までもが多様にあり、自分で変更可能だと勘違いし、「本当はこうかもしれない、ああかもしれない」と疑ったり否定したりし続けるならば、あなたは自分自身のことがわからなくなる。確かな芯を失うのだ。
正確に言えば、それを決して失うことはないのだが、あなた自身が「そこに信頼を置かない」選択をする。これを自己分裂と呼んでもいいだろう。
すると、あなたの力は弱まる。迷いの分だけあちこちに、あなたのパワーが分散する。
このことをより理解するために、あなたが自分の信頼を置く観念(Belief)のそれぞれを、あなたの師事する「先生」にたとえて想像してみよう。
A先生、B先生、C先生……皆それぞれ、教えていることが違う。
その全員から教えを受け、しかもあなたがそれぞれの教えをいくらかずつでも信じて自身の人生に適用したならば、結局、どれも信じていないのと一緒だ。自分の力を分散させ、違いや矛盾のあるどれもを採用することで、何もフルに実行することはできなくなる。
(これは観念を擬人化した場合のたとえであり、あなたが誰か一人の師に帰依すべきだという話ではないので注意しよう。むしろ、「外」に自分の芯、拠り所を見つけようとすることは、この記事の意図に反する。)
さて、精神世界やスピリチュアルの分野においても、そのように色々な教えを取り入れることをやめられず、自分を混乱させてしまう人がいる。
根本的に腑に落ちていない、本当にはわかっていない状態にあるからこそ、わかるまで「何か別のものを取り入れよう、そこによりよい答えがあるかもしれない」と、探し回ってしまうのに違いない。
教える立場(私のこれまでの活動は★こちら★)から見ていると、
「また、違う教えを取り入れたんだな、『ひとつ』ではなく『分離』を元にした発想に戻っているな」
と、明らかにわかる。
いわゆるAHA体験のように、講座やセッションの中で一時的に「そうか!」と気づきを得る経験をした人であっても、何度もそうなることがある。
「ああ、あのときは納得していたけど、普段の暮らしに戻るうちにまた、『分離した自己』の発想になってしまったんだな。以前と同じように頼りにできる何かを探し始めたんだな」
と、認識できるのだ。
「目覚め」という言葉を用いるのは、まるで催眠作用のように、人間が度々「同じ観念、同じ幻想」に眠り込んでしまうからだ。
ある条件のもとで、ひらめきのように瞬間的に「本当の自己」を思い出したとしても、それが持続するとは限らないということだ。
だから、遠回しな言い方はせず、ここではっきりと伝えておこう。
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