人を動かそうとしないこと

世の中には「人を動かす」方法がけっこう溢れてる。経営・ビジネスの分野はもちろん、人間関係全般についても、その視点が用いられることは多い。他者をコントロールするという意識を持たずに本人にとっては「善意で」、いかに他者をmotivateするかを考えるのも、ここに入る。その中には身近なご家族、パートナーやお子さんに対してというのも含まれる。

誰かに「~してほしい、~してほしくない」と願うこと。近年では、LINEやメールなどのコミュニケーションに対する姿勢とか(この件は◆「彼・彼女とのメール、楽しんでる? 恋愛で快適なコミュニケーションを実現する」をどうぞ)、あなたのSNS等の投稿にどれだけアクセスやいいねが集まるかとか、そういうことも「他者を動かす」範疇に入ってくる。
率直に言って、人を動かそうとすることはあなたの「自然な性質」に反しており、不必要な方向へ力を使うので、意識的・無意識的かはともかく気苦労の連続となる。

私が今回お伝えするのは、「人を動かそうとしないこと」だ。
このことは、あなたの日常のあらゆる人間関係に適用される。親しい関係、仕事上の関係、用件によって生まれるその場限りのやりとり、いっさいを問わず全て同様に当てはまる。もちろん「恋愛」も。
恋愛のマガジンで、恋愛と愛とは違うということを私はお話ししているが、恋愛をきっかけに愛を思い出す(◆「恋愛は、真の愛を思い出すための呼び声」を参照)ことを実現したい方に向かっても、これを語りかけている。
なぜなら、ここでお伝えする内容は「愛に基づく対人関係」を実践するのに必須の姿勢だからだ。

ただしこれを実践することは、あなたの自発的な意思をなくすとか、受け身になるとかを意味しない。むしろあなたはあなた自身の本当の意図通りの、純粋な表現者、創造者となるだろう。

人を動かすという幻想、人への期待はなぜ生まれるか

そもそも、人を動かすという発想や願いを持つこと自体がすでに、「あなた自身の創造の原理を忘れた結果」と言える。
自己の「外側」に、自分に対し影響を与える何らかの要因があると信じてしまっている。これは現代の私たちの一般的な思い込みであり、世界に対するものの見方にもなっている。

けれども思い出してほしい。あなたは世界を「意識の中に」保持していて、それを反転させるように「外側に映し出して」見ている。私たちの体験は、そうと気づかなければ「逆転したまま」、あたかも内側で感じることが外側で体験したことの結果として生じたかのように錯覚している。
つまり、原因と結果の順序を逆さまに捉えてしまっている。

「あなたの内で創造した結果を、外に見ている」
これを忘れるということは、何をしても、どんな対策を打っても、本質的に同じスパイラルの中で、ハムスターが輪の中を走り続けるように「エネルギーを使うけれど、どこにも辿り着けない」ということだ。

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