見出し画像

【近世絵画史】授業内容①講義(座学)

こんにちは

サルスベリ

まだまだ夏らしい暑さが続くと思っていたのに、気がつけば田んぼは黄金色に染まり、雨が降って気温も下がり、仙台は早くも秋の片鱗がうかがえるようです。

夏の季語にもなっているサルスベリはまだきれいに咲いていたので、今のうちにお裾分けしますね!

美術史を学んでいると、俳諧や漢詩が関連してくることも併せてか、こうした花や空の美しさによく目がいくようになってきたなあと感じています。


授業内容―講義


さて、今回は、東洋・日本美術史研究室、通称“東日美”において展開されている授業について、どんなことが学べるのか、杉本の専門である近世美術史に重きを置きながらざっと紹介していきたいと思います!

今回は机の上で学ぶ講義の内容から。


① 基礎的な絵画史―日本絵画史


2年生の東洋・日本美術史概論という授業で、東洋・日本美術史の基礎を学ぶことができます。今年度、前期には杉本の担当により日本絵画史を学びました。後期は仏教美術史(日本彫刻史)を研究されている東日美の長岡龍作先生が担当される予定です。

日本絵画史では、日本における絵画の通史が展開されます。古代から近世に至るまで、どのような文化が形成され、どのような捉え方で表現されているのか

絵画に加えて、鏡や刀装具などの工芸に見える表現も見逃さず、作品の意味とそれを取り巻く環境を読み解いていきます。


また、並行して、古代中国・日本の類書(=百科事典の一種)を用いながら、「魚」や「笑顔」など画題の意味にも着目します。その理由として、美術工芸は「文化」の上澄みであって、画題を追求することは、その域への理解を深めることに繋がるという杉本の考えがあります。



② 専門的な絵画史―日本近世絵画史


3年生の東洋・日本美術史各論(大学院生の東洋・日本美術史特論)で学ぶことができます。

原典資料から杉本が作成した画家の系譜をもとに、画家だけでなくその周辺人物にまで焦点を当て、彼らの思想・価値観を探りながら絵画作品を観ます。

日本絵画史の授業において、時系列で縦方向に学んできたことを、ここでは近世の文化という横方向に絵画に関して学びを深めていく、という流れになります。


ちなみに、もう1コマ開講される東日美各論では、同様に長岡先生の下、願文を読み解いて仏像を造像した理由を考えていくなど、概論よりさらに深い仏教美術史を学ぶことができます。


講義への意識


杉本の授業は、常に制作者や作品の時代と同時代の資料に基づいて展開されます。そこからは、制作者が生き、作品を制作した当時の価値観から作品を捉えようとする意識が感じられます。


また、世に認められている作品がすべて「真作」である訳ではない、という批判的な姿勢で作品に接します。そうすることで、授業内で紹介される作品がどのように重要なものであって、どこが素晴らしいものであるのか、論理的に説明されます。
(注:よろしければ下の記事も併せてお読みください。)



ありがとうございました

5月下旬の大学

私はこうした授業から、その内容だけでなく、作品に接する際に「現代人としての価値観を極力排し、作品と同時代のものの見方で捉えること」、「批判的な見方を常に持つこと」の大切さを現在進行形で学んでいます。

同時に、こうした姿勢が美術史の研究において求められていることだと考えています。

次回は、こうした「ものの見方」で作品に臨み、かつわかりやすく人に伝えられるようにするべく展開されている「実践」の授業を紹介します!


今回も読んでいただきありがとうございました。次回もよろしくお願いします!

(写真は今年の初夏に文学部棟前を撮影したものです。冒頭で秋になる前に、という話をしたので、お気に入りの夏の写真を上げてみました。)


【参考】

Twitter:noteの更新をお知らせしています!
https://twitter.com/s_kobijutsu

YouTube:講義を期間限定で配信中!杉本の特別企画もあり、美術についてより深く学ぶことができます。そして何より、ここで取り上げた講義を実際に聞くことができ、気軽に体験授業を受けることができます!
https://www.youtube.com/channel/UCmPVywFvDT9cq5yoAg9PMPQ/featured

ホームページ:杉本についてもっと知りたい方はこちら。随時更新していきます!
https://sugimoto-kobijutsu.net/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?