見出し画像

乳はただのふくらみでは無いらしい

息子は寝るとき、私のTシャツの中にズボッと腕をつっこみ、乳をつかんで眠る。

どうやら安心するらしい。

夜中も目覚めかけた時などは、手を動かして私を探し、乳にたどり着くとすっと眠る。

なるべく素肌が良いようだ。お昼寝の時など、稀にちゃんと下着を着けていると「触れないんですけど?」とお怒りになられる。

なぜ乳なんだろう。

私は別にいいけど、他の人の胸を触ったりしたら困るなぁ。保育士さんのとか、触ったりしてないだろうか。

と薄ぼんやり心配していたところ、たまたま読んでいた本に、おっぱいを触るのは唇で乳首をくわえていたところからスキンシップで安心を得るようになる移行期として問題ない、という事が書いてあってほっとした。

◇◇◇

確かに、人肌に触れることは癒しだなと思う。

先日息子が4日連続で40度の熱を出し、看病につきっきりであった。

そうそうない高熱に私も動揺したし、解熱剤を使うか、ごはんは、着替えは、飲み物はイオン飲料に切り替えるか、最初の発熱は平日だったので、ひとりで判断するのに人知れずエネルギーを使った。お盆前に急遽休むことになり申し訳なく、いよいよカツカツになった有休と、また査定が下がるんだろうなと余計なことまで憂いてしまった。

熱で眠りの浅い息子は私が離れると不安がり、物理的に拘束されるのも地味にこたえた。

珍しく食欲が減退したりした。

そんなとき、夫の横に滑り込ませてもらった。息子が私にひっついて眠るときのように。

ふむ、なるほど、これは。

あたたかく、包み込まれているようで、安心する。じんわりと、黄色いヴェールに包まれているような。
なかなかの癒し空間であった。

私にぴたりとくっついて眠る間、息子もこんな風に感じていただろうか。そんな余裕はなかったかな。ただもし、少しでも安心を息子に提供できていたなら、この数日の奮闘も、そう悪くはなかったかもしれない。

思えば、女子高生時代は、朝登校すれば友人に抱きつき、休み時間にもまたひっつき、放課後も息をするようにくっついていた。

性欲とか思春期の精神エネルギーの過剰さとか、そういうものをあれで癒し整えていたのかもしれない。

教員免許を取るカリキュラムの一環で介護施設に実習に行ったときは、健康体操の最後に、隣の人の背中に手を当ててさする、というものがあった。

その時も、相手の熱がじんわりと背中に伝わり、なんともぽかぽかした、穏やかな気持ちになるのを感じた。

うちの両親は朝晩お見送り時のハグ&キスを推奨している。(両方とも純日本人だ)

人のぬくもりには、癒し効果があるのだろう。

もちろん、相手によるけどね。

◇◇◇

息子にとってのそれは、今のところおっぱいなのだろう。

私にとってはただのふくらみだけれど、意外な役割もあるものだ。

母乳が出ていた頃は、人体のすごさに驚き、生き物としての自覚が芽生え、朝起きると濡れているTシャツと布団に辟易したりした気がするが、なにぶんあの頃はボロボロすぎてほとんど忘れてしまった。

まぁ減るもんじゃないし、しばらくは提供していこう。そのうちここからもまた卒業していくんだろうしな。

しかし、私の福々しい腹を楽しそうにぺちぺちふよんふよんさせるのは、癒しじゃなくて単に遊んでいるのだろうなぁ。

#エッセイ #育児 #子育て #男の子 #おっぱい #乳 #胸 #1歳 #1歳児 #スキンシップ #ぬくもり #癒し #いやし #人肌

ここから先は

0字

¥ 140

サポートいただけるととても嬉しいです!よろしくお願いいたします。