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止まらないバイトテロ、気をつけるべき3つのこととは

こんにちは!デジタル・クライシス総合研究所です。

以前より発生が抑えられており、ほぼなくなったのではないかと思われていたバイトテロ。しかし、2021年6月はコンビニ、飲食店など立て続けに3件ものバイトテロが発生し、炎上の火種は途絶えていないということが明らかになりました。

そうした現状を受け、企業の皆様はどのように対策をされていますでしょうか?

SNSが多くの方へ普及し、さらにコロナ禍でSNSの利用時間は増大、この現状から小さな火種が発生してしまえばたちまち大炎上する可能性が非常に高くなっていると考えられるでしょう。

今回の記事では、実際にどういったところを気をつけていく必要があるのか、改めてバイトテロとは一体どういうもので、発生することで生まれる想定外の損害についてまとめました。

基本的な炎上対策や、企業での危機管理体制の構築などに役立てていただけますと幸いです。

2013年を皮切りに続発した「バイトテロ」とは

そもそも、バイトテロとはどういったものを指すのか見ていきましょう。

アルバイトなどの従業員が勤務先の商品や什器などを使って悪ふざけ、いたずらをする様子をスマートフォンなどで撮影し、その動画などをSNSに投稿して炎上する現象

日本で初めてバイトテロが認知されたのは2007年、大手外食チェーンで起きたある事件がきっかけだと言われています。同店で働いていた学生が、商品をぞんざいに扱う様子を撮影した動画が、某動画配信サイトにアップされたのです。

その後、東日本大震災の影響によりSNSの普及が顕著になった2013年を皮切りにバイトテロが続発することになります。

2019年2月には、某飲食店でゴミ箱に廃棄したはずの魚を再度調理する動画が投稿され、事態を重く見た企業側が「当事者を懲戒解雇したうえで法的措置に踏み切る」といった事件も発生しています。

さらに、当事者達は実名や顔写真をネット上にさらされ、企業側はバイトテロをきっかけに炎上し、株価が急落するなど、予想だにしない事態の発生や多大なる損害を被ってしまったのです。

しかしその後、バイトテロでの炎上は落ち着いたのではないかと見られている時期もありました。実際に、過去2年間に遡った投稿数の推移を見ていきましょう。
※以下データは、ソーシャルリスニングツール「Netbase」を使用し、「バイトテロ」というキーワードを含む投稿数を抽出したデータです。

メトリクス要約 (3)

定期的な投稿数の波があるものの、2019年後半から2020年にかけて、特に大きな事案は発生していないことが改めてわかりました。

また、上記データから投稿数が増加しているタイミングで発生した事案を調査すると、以下のような事案の発生と一致していることがわかります。

・2019年10月~12月 「あいトリ」や東大バイトテロによる炎上
・2020年9月 大学教授による大物歌手への暴言騒動
・2021年1月 大手銀行のエンジニアが行内システムのソースコードを流出
・2021年4月 大分の焼肉店でアルバイトの大学生による不適切動画の拡散
・2021年6月 コンビニ、飲食店で
立て続けに起きた3件のバイトテロ
(※一部バイトテロとは異なる内容のものがございますが、これらの炎上に対する意見とあわせてバイトテロに関する内容も投稿されていたことからこのような結果になっています。)

落ち着いたと思われていたバイトテロは、直近4月、6月に発生したバイトテロにより、まだまだ油断ならない状況であるということを痛感させられた事案だったと言えるでしょう。

そして、特に投稿数が伸びている直近6月に発生してしまった3件のバイトテロのはどのような内容だったのか、改めて見ていくと、その悪質さが目立つことがわかります。

・某コンビニでは、働く従業員が支払い中の女性客の胸部を防犯カメラ越しにのぞき見ている動画をTikTokに投稿し炎上。
・某ピザチェーン店では、従業員が店舗厨房内にあったシェイクをヘラで直接舐めるなどの動画をInstagramに投稿し炎上。
・某飲食店では、男性店員がまかないの食事の中に自身の体毛を入れる動画をInstagramに投稿し炎上。

これらの内容から、バイトテロは今まで以上に悪質化しており、まるで競い合っているかのごとく過激な内容になってしまっているのです。

バイトテロによる悲惨な末路

ではバイトテロが起きた企業はどうなったのか?加害者側にどういった末路が待っているのかを見ていきましょう。

以前、炎上が記事化されるスピードが年々早くなってきているという記事をご紹介いたしましたが、2021年におきたバイトテロでは、わずか13時間後にはニュースサイトの記事になっていたことがわかっており、これから更に炎上事案に関する拡散スピードが上がると予想されます。

■2021年4月に某焼肉店で起きたバイトテロ

今回、13時間後に記事化されたのは、某焼肉店で働く男子大学生らが引き起こしたバイトテロです。
それは、客が残した食事を手づかみで食べる様子や商品であるソフトクリームを機械から直接口の中に流し込んでいる動画を撮影したものでした。

あろうことかこのバイトテロは、リアルタイムで視聴可能な「ライブ配信」で流されており、配信中には店舗名アルバイト店員の実名、さらに本人のInstagramやTwitterのアカウントまでもが特定される事態となっていたのです。

その後、この焼き肉店はニュースサイトで報じられる3時間ほど前にホームページと公式Twitterで謝罪し、男子大学生らを懲戒解雇したと発表。翌日は臨時休業をし、店内消毒や清掃などの実施を明らかにしたことで、幸いにも二次炎上の被害は食い止めることができました。

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■バイトテロに対して高額の損害賠償請求や刑事告訴も続出

2013年に被害に遭った個人経営のそば店は計3,300万円の負債を抱えて破産事件の当事者であるアルバイトの大学生らに1,358万円の損害賠償を求めて提訴しました。
その後、学生らが約200万円を支払うことで和解したものの、双方にとって取り返しのつかない事態となったのは言うまでもありません。

また、前述した2019年2月に起こった某飲食店でのバイトテロでは、企業側の株価が急落したことにより、27億円相当もの損失を被りました。

ちなみに、2021年6月に相次いだバイトテロでは、被害に遭った企業は当事者の店員たちを解雇するだけに留めず、法的措置も視野に入れ厳正な対処を検討すると発表しています。

企業側が気をつけるべき3つのこと

では、ここでバイトテロに備え企業側は何をどう気をつけるべきなのかを見ていきましょう。ポイントは大きく3つあります。

・従業員のバイトテロに対する意識改革

まず、企業ごとにSNS研修などを実施し従業員たちのバイトテロに関する意識改革をしていくことが重要です。
ただし、単にバイトテロの危険性を周知するだけでは時間の経過と共に薄れていってしまう可能性があります。

そこで、重要となるのが「過去の炎上事例を用い、バイトテロ事件を起こした人の末路がどんなに悲惨なものかを定期的に伝える」ということです。

多額の賠償金を求めて提訴されるリスクがあることに加え、本人の名前や住所、学校名などの個人情報が流出すると、将来の就職や結婚にも悪影響が及ぶことになるなど、より具体性を持たせて自分事に置き換えてもらうような研修が必要となります。

さらに、例え非公開アカウントであっても、インターネット上にアップされた情報は世界中に発信したのと同じであり、これらの発信された情報は半永久的に残り続けてしまうものという認識を持たせることも重要です。

例えば、弊社が提供しているeラーニングの「従業員向けSNS利用研修」では、従業員が起こしたさまざまな炎上事例とその悲惨な末路の事例を紹介し理解させ、それだけでなく個人で利用するSNSアカウント利用時の注意点なども分かりやすく解説をしています。
他にも、この研修は自社のSNS運用マニュアルの作成や改訂にも役立てることができたり、それぞれ企業の状況に応じた最適な研修プログラムをご用意しており、従業員教育の一環として役立てていただいている企業様も実際にいらっしゃいます。

こちらについて、もしご興味がございましたら是非お問い合わせいただけますと幸いです。

・危機管理マニュアルの策定
上記の研修のようにバイトテロを予防することも大切ですが、万が一何か起きてしまったときのため対応マニュアルを作成し、有事に対応できる体制をあらかじめ構築しておくことも必要です。

現に、入社時の研修や職場への携帯電話の持ち込み禁止など予防策を講じた企業でさえ被害に遭ってしまったというケースもあります。

そのため、責任者や指示者を明確にし、有事の際に現場が混乱して勝手な判断をしてしまうなど、誤った対応を避けるようにすることが重要です。

・ネットの定点観測

仮にバイトテロによる炎上が起きてしまった場合、二次被害を防ぐという意味でも、問題にどれだけ早く気付けるかが鍵となります。そのため、外部に委託するなどし、24時間体制でのネットモニタリングの実施をおすすめいたします。

昨今では、TwitterやブログといったSNS媒体のみならず、先に挙げた焼肉店のようにライブ配信が露出源となって炎上に発展する事案が増えていることは、弊研究所の調査でも明らかになっています。

こうしたことから企業の担当者の方は、最新の炎上トレンドとリスクシナリオを把握し、万一に備えた予防・監視体制を強化しておく必要があるでしょう。

まとめ

どの事例でも言えることですが、恐らく事件を起こした当事者・企業もここまで事態が大きくなるとは思ってもみなかったでしょう。

まさに冗談では済まされない損害を被り、中には廃業にまで追い込まれてしまう企業もありました。

事件を起こした当事者たちは、アルバイト=責任がないと思っているのか、どうせ辞めるからと気持ちが大きくなっているのか、どちらにせよ双方に不利益しかもたらさないのがバイトテロなのです。

このバイトテロの続出を機に、企業・店舗の団結や危機管理体制をより一層強固なものにし、対策を進めていく必要があるでしょう。

他にも対策の1つとして、そもそも採用候補者や今雇用中の従業員がリスクある人物かどうか、ネット上に公開されている情報から調査をするという方法もあります。
これらについてはまた別記事でご紹介できればと思いますが、こういった施策についても対策をおこなうことで、従業員への注意喚起ができたり、バイトテロや内部情報の漏洩防止などの予防につなげることが可能になりますので、ご興味がございましたら弊研究所までご連絡をいただけますと幸いです。

また、他にも弊研究所では企業の広報担当者などに向けて、最新の炎上傾向を調査・分析し、お知らせしています。
その時期やタイミングによって炎上の傾向というものが変わるため、月に1回炎上研究レポートの配信や、会員企業向けの炎上事例勉強会を行なっています。
その勉強会で得たケーススタディを自社のリスク対策に活かしていただくことで、より強固な危機管理体制の構築ができるかと思いますので、もしご興味をお持ちいただけた方がいらっしゃいましたら、HPのお問い合わせやフォームからお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。

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