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車の写真を撮ろう

車の写真、撮ったことありますか?
車体への映り込みが一切ない、自動車メーカーの広告のような写真です。

今回は、「GO Reserve / Crew」のキービジュアル撮影を題材に、車の撮影プロセスを紹介します。

特別にデザインされたラッピングをまとう、ブルーのJPN TAXI

2023年3月7日、株式会社Mobility Technologiesより、アプリ専用車「GO Reserve」、その車両に乗務する乗務員「GO Crew」を発表しました。短時間勤務で、副業も可能なパートタイム形態と、新しい形で乗務員雇用の間口を広げる取り組みです。

撮影のポイントは3つ

  1. 白ホリのドーム型スタジオで撮る

  2. 輪郭を出す

  3. レタッチで立体感を出す

ではひとつずつ見ていきましょう。

Point 1. 白ホリのドーム型スタジオで撮る

白ホリの「ホリ」はHorizont(地平線)の略
白い床が無限に広がるような空間に

壁、床、天井、全てが真っ白の空間で撮影することで、車体への映り込みを極限まで無くすことができます。
今回選んだスタジオは、白ホリのドーム型。壁と天井の境目すら、車体に映り込まないようになっています。

通常の白ホリ :  壁と床の境目が丸い
ドーム型の白ホリ : 壁と天井の境目も丸い

野外で撮った車両の映り込みをレタッチで消すことも可能です。しかし、かなりの技術が要りますし、仕上がりがCGっぽくなってしまいます。やはり白ホリのスタジオで撮影するのがよいでしょう。

Point 2. 輪郭を出す

真っ白な空間では、被写体の輪郭が背景に溶け込んでしまいます。なぜなら、反射光の色も白くなるからです。
輪郭を出すにはどうするかというと・・・

黒い板を使います。部分的に黒を映り込ませることで、抜けた輪郭をハッキリとさせます。
ルーフの輪郭は、出来る限りライティングで抜けを解消し、あとはレタッチで調整します。

Point 3. レタッチで立体感を出す

最初にあがってきたレタッチ。のっぺりした印象ですね。「GO Reserve」車両の特徴であるグラデーションのコントラストは表現されていますが、立体感が犠牲になっています。

特に気になるのは、車両のフロント部。青いベタ面が迫ってきていて、モデルの脚にくっついてしまいそうです。
これを解消するには、車両フロント部の立体感を出す必要があります。「色」ではなく「形」として存在させる。

反射光を利用し、全体の明るさを保ちながら立体感を出す

反射光を活かしながら立体感を出すよう、オーダーしてみました。これにより、正面と側面それぞれの「面の向き」が分かるようになりました。
グラデーションのコントラストが少し犠牲になりましたが、モデルとの間の空間を演出するためにも、このくらいの立体感は欲しい。

モデルのボトムスにも反射光を入れて、立体感を出す

フロント部の立体感が出たことで、モデルの脚との間に空間が生まれました。

レタッチが完了したら、ロゴなどのグラフィックを入れます。全体のバランスを調整し、キービジュアルの完成です。

宣材として、真横と真正面のカットも用意しました。

デッサン力を養っておく

いかがでしたでしょうか。紹介したプロセスはあくまで一例。ライティングをどこまでこだわるか、レタッチでどこまで追い込むかで、仕上がりが変わってきます。

最後に。撮影プランを立てるとき、仕上がりのジャッジをするとき、デッサン力が大いに役立ちます。どんな形・量のモチーフに、どの位置から光が当たっているのか。モチーフ同士の関係性はどうなっているか。日頃から身の回りのものを観察しておくと良いです。


撮影は神奈川県相模原市の「スタジオトルカ」にて。電動のターンテーブルが床に埋め込まれているので、車両の向きを簡単に変えることができます。

車両をターンテーブルに乗せることで、向きの微調整が可能に
ターンテーブルを操作する端末


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