Liveに行きたい~Aimer編~
前回、音楽のコラムを書いたところ反響を多く頂き、味を占めました。
嘘です。読んだ人が前向きになれるコラムを書きたいと思いました。
(ホントダヨ。)
東京五輪やFUJI ROCK FESTIVAL'21は、現実的な非難の大きさと同じくらい多くの希望を見届けた人の心に生み出したように思います。(開催の是非については書きません。
―――—もっと観たい。もっと聴きたい。もっと楽しみたい。
そう思った人は多いと思います。
娯楽の制限された世界に息苦しさを感じて生きてるんだ。
当たり前の感想ですよ、そんなもの。
私もそうだもの笑
だから考えました。
この長い夜が明けたときに何をしたいか。
そう思って貰えるコラムを書いたら面白いかもしれない。
その結果が今回です。
例のごとく他人の神輿ですよ笑
というわけで、はい。スタート。
今回、紹介するアーティストは、「Aimer」。
その声質は、ハスキーともウィスパーとも異なる形容し難い独特の個性があるシンガーだ。
彼女は楽曲提供をしてもらうことが多い。
リンクを張ったRADWINPSの野田洋次郎の『蝶々結び』のほか、ONE OK ROCKのTAKA、作曲家として有名な澤野弘之、梶浦由記など様々なジャンルの大物が彼女へ楽曲を提供している。
また、それだけでなく情報番組『スッキリ‼』や『CDTV』のテーマソング、映画映画『累 -かさね-』の主題歌などメディア進出もしている。
しかしタイアップで多いのは、何と言ってもやはりアニメだろう。
OVA『機動戦士ガンダムUC』、『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』、『甲鉄城のカバネリ』など大物タイトルを筆頭に数々の楽曲を手掛けてきた。
裏を返せば、それだけ彼女と作品を通して「会話」をしたいと思うアーティスト/クリエイターが多いということだ。
ライブ映像を観れば、その表現力の高さが伺える。
ここからはライブ音源を載せていく。
前述のような特異な声質は、15歳の頃に声帯を痛め、治療をしながら今の歌い方に辿り着いたようだ。苦労の末に編み出した工夫がそのまま自分の持ち味/武器になったと言っていいのだろう。
私が注目しているポイントは、彼女の歌い方である。
それは嘆くようでもあり、呟くようであり、哭いているようにも聴こえる。
それ故に『カタオモイ』における歌唱は、内気な少女のささやかな幸せと恋愛を独白のように、――それは願いのように―—歌いあげている。
若くして苦難を歩んできた彼女だからこそ、力強く表現出来る感情だろう。
ひとつひとつのフレーズに詰め込まれている感情が伝わってくる。
最後の「愛してる」の一言に溢れる優しさが、まるで光に包まれていくような眩しさを放って、物語を締めくくっている。優しい曲だと思う。
私が彼女を知ったのは、『機動戦士 ガンダムUC(ユニコーン)』というアニメの主題歌として起用された『StarRingChild』を聴いたことがきっかけだった。
「ガンダム」という響きを聴いた人は多いだろう。このタイトルを冠する作品は多くあるが、『機動戦士 ガンダムUC(ユニコーン)』は、その初代の作品と地続きの世界線にあり、ひとつの総括――要するに区切りになる作品だった。
DVD/Blue-Ray 全7巻の作品だったが、初代から本作にいたるまでの時代の中で戦乱で散った者、残された者。宇宙を漂う遺恨、地球を蝕む権力主義、資源のない宇宙に放り出された人々が不安から逃れるために縋った思想……。
そうした作品群のテーマをまとめ、締めくくる大役を背負った本作の主題歌を、彼女は見事に歌い上げた。
戦争への憤り、残された者の嘆きが渦巻く絶望の宙に希望を見出す者たち。
そうした感情をひとつの曲の中に「願い」として捧げている。
―—――図らずも熱く語りすぎて完全にアニオタがバレてしまった。
好みの分かれるアーティストであることは間違いない。
ここで紹介した曲は、その中でも比較的聴きやすいものを選んだ。
概要としては充分なはずだ。
彼女の音楽は一見すると悲観的に聴こえるかもしれない。
でもそうではないと私は思う。
彼女の歌には、ひとつの一貫性がある。
どの曲も何か『願いを込めて』歌っているように聴こえないだろうか。
さて、ここまで散々、曲を紹介してきた。
ひとつの記事で3曲も載せるのは重い、という声が既に聴こえてくる。
わかってる。そんなこと、わかってる。
今は残念ながら、Liveに行くことが難しい。
しかし、こうして都合のいい時間にLive映像が観れる時代でもある。
伝わるエネルギーは、本物のそれとはかけ離れているだろう。
それをもう仕方のないことで片付けるのが難しくなっているのも事実だ。
なら今は「出来ること」をしながら、こうして自分の知っている世界の面白さを他者と共有して、「したいこと」を溜めていく。
そういうマインドに切り替えて過ごしていくのはどうだろう。
好きなアーティストの映像にお腹いっぱいになってしまった人、自分が普段聴かない音楽や刺激を求めている人にとって、ひとつの発見になってくれればと思う。
私と同じように既にAimerが好きな人は、普段と違う発見があるかもしれない。他人の視点を楽しむのもひとつの会話だろう。
運命が悪戯をすれば、Live会場ですれ違うかもしれない。
最後にどうしても一曲だけ紹介したい。
タイトルは、『星の消えた夜に』。
この曲の作詞は、aimerrhythm。何を隠そうAimer本人である。
初期の楽曲ではあるが、私の一番好きな曲だ。
この曲を流しながら夜空を見上げて、コーヒーでも紅茶でもいい。
飲みながら、ひと息ついて欲しい。簡単に黄昏が訪れるはずだ。
そういう時間があっても良いだろう。明日を迎える前の深呼吸。ひと休み。
―――—彼女の願いがひとつでも多く叶いますように。
そして私たちの夜が一日でも早く明けることを願って。――――
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