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まいにち易経

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当マガジン『 #まいにち易経 』は、難解な易経の内容をわかりやすく解説。現代の混迷を生き抜くための叡智と指針を与える必読マガジン。 竹村亞希子先生【「易経」一日一言】と本田濟先生…
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2024年6月の記事一覧

まいにち易経_0630【時用】

時用とは、易の概念の中で非常に重要な要素です。時用とは、いつも使うものでなく、特殊な時に使う、その効用のことです。 だからこそ、その場合の効用は、また大きなものがあるのです。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 「時用」とは、避けたいと思うような困難や逆境の時をあえて用いることを意味します。誰でも辛い経験や困難は避けたいものです。しかし、易経ではあえてそのような時に向き合うことが重要だと教えています。 私が経

まいにち易経_0629【時義】

時義とは、各卦が象徴する時間とその意義を指します。 六十四卦は、世界の絶え間ない変転の中から特定の時間や状況を切り取ったものです。したがって、各卦にはそれぞれ独自の時と意義が備わっています。 時義の基本概念 時の変化と応じることの重要性 易経では、すべての事象が時とともに変化することが強調されています。これは「易」の基本的な考え方であり、物事の成り行きを理解し、適切なタイミングで適切な行動を取ることが求められます。これが「時義」の根本です。 君子の行動指針 易経は、君子(

★まいにち易経_0628【悪しき習慣は早期に矯正せよ】童牛の牿は、元吉なり。[26䷙山天大畜:六四]

六四。童牛之牿。元吉。 六四は、童牛の牿。元吉なり。 角で人を突くのを防ぐために仔牛のうちから横木を縛り付けるのは、大いに吉である。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 今日は易経六十四卦の『山天大畜』の六四について詳述いたします。これは、牛の角に横木を取り付けるという象徴を通して、教育と成長の重要性を示す教えです。 まず、古代の人々がどのようにして牛を飼い慣らしたかをご紹介しましょう。通常おとなしい牛も

まいにち易経_0627【順調な時こそ慎重なリスク管理を】包に魚あり。咎なし。[44䷫天風姤:九二]

九二。包有魚。无咎。 九二は、包むに魚あり。咎なし。 九二は陽、初六は陰。進もうとする陰を九二は包み込み、動かさない。まるで茅のつとに魚を包んだかのように包み込むことで、九二が陰(小人)と接しても問題はない。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る ビジネスが好調な時こそ、気を引き締めなければなりません。周りからさまざまな甘言や投資の勧誘が寄せられるからです。そうした「うまい話」に心を奪われ、うかうかと大きな罠

まいにち易経_0626【泰平は傾く】平らかなるものにして陂かざるはなく、往くものにして復らざるはなし。艱しみて貞にすれば咎なし。恤うるなかれ。それ孚あり。[11䷊地天泰:九三]

九三。无平不陂。无往不復。艱貞无咎。勿恤其孚。于食有福。 九三は、平かにして陂かずということなく、往きて復らずということなし。艱貞なれば咎なし。恤うるなかれ、それ孚あり。 九三の位置は、安泰の最盛期であると同時に、危険も潜む場所。どんなに安定している状態であっても、それが永遠に続くことはない。安泰もいつかは終わる。安泰がいつまでも続くと思い込み安逸に浸っていてはいけない。 困難を乗り越えながら正しい道をしっかり守っておれば問題はない。心配せず、真心を尽くし続けることが大切

まいにち易経_0625【損益を考えて動く】益は動きて巽い、日に進むこと彊りなし。天は施し地は生じ、益すこと方なし。およそ益の道は時と偕に行わる。[42䷩風雷益:彖伝]

益動自巽。日進无疆。天施地生。其益无方。凡益之道。與時偕行。 益は動いて巽なり、日に進むこと疆なし。天は施し地生ず、益すこと方なし。凡そ益の道、時と偕に行わる。 益の時は雷のように激しく動き、巽は風のように柔らかく従う。雷が風を呼び、風が雷を響かせるように、物事は日々成長し続ける。天は元気を与え、地は万物を生み出して絶え間なく発展する。益の道は時の流れに従って行われる。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

まいにち易経_0624【損益盈虚】損益盈虚は、時と偕に行わる。[41䷨山澤損:彖伝]

損益盈虚。與時偕行。 損益盈虚、時と偕に行う。 状況や時期によって、損失と利益は絶えず変動する。どんな時でも一定ではなく、時間の経過と共に物事は変化し、それに応じて損失や利益も移り変わっていく。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 「損益盈虚、時と偕に行う」とは、状況や時期によって損失と利益が絶えず変動することを意味しています。簡単に言えば、どんなに一生懸命働いても、いつも利益が得られるわけではないというこ

まいにち易経_0623【悦びは志を叶える】説びてもって貞なるに利ろし。ここをもって天に順い人に応ずるなり。[58䷹兌為澤:彖伝]

説以利貞。是以順乎天而應乎人。 説んで以て貞しきに利あり。ここを以て天に順って人に応ず。 悦んで天の道理に従って物事を進めてゆけば、部下や大衆の要望に適切に応えることができる。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 「兌為澤」の卦は「兌」という字を使っていますが、これは「悦ぶ」という意味があります。また、「澤」は、水が豊かに溢れる様子を示しています。この卦は、二つの澤が重なっていることを表していて、喜びが重な

まいにち易経_0622【苦しみに習う】水洊りに至るは習坎なり。君子もって徳行を常にし、教事を習う。[29䷜坎為水:象伝]

象曰。水洊至習坎也。君子以常徳行。習教事。 象に曰く、水洊りに至るは習坎なり。君子以て徳行を常にし、教事を習わす。 坎は水。水は止まることなく流れ続ける。あらゆる障害や困難に耐え抜いて、大海へと辿り着く。立派な人物は、この絶え間なく流れる水のように、どんな障害や困難にも耐える性質を手本にしている。常に徳行を重ね自己を磨き、誠意を持って反復しながら、人々を教え導く手本となる。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る

まいにち易経_0621【学問とは】学もってこれを聚め、問もってこれを辯ち、寛もってこれに居り、仁もってこれを行う、[乾為天/文言伝:第六節九二]

君子學以聚之。問以辨之。寛以居之。仁以行之。 君子は学もってこれを聚め、問もってこれを弁え、寛をもってこれに居り、仁もってこれを行なう。 徳ある人は学びによって知識を集め、問を発することで真偽を見極め、寛容さをもって人と接し、仁愛をもって行動する。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 学ぶことは知的な財産を築くことにつながります。本を読んだり、講義を受けたり、現場で実践的に学ぶことで、様々な知見を積み重ねて

まいにち易経_0620【助けを求めて吉】馬に乗りて班如たり。婚媾を求めて往けば、吉にして利ろしからざるなし。[03䷂水雷屯:六四]

六四。乘馬班如。求婚媾。往吉。无不利。 六四は、乗馬班如《はんじょ》たり。婚媾を求む。往けば吉、利あらざるなし。 大臣(六四)が、君主(九五)を補佐するために馬で出発したものの、自分の能力不足を感じて途中で引き返す。能力不足を補うため、優秀な部下(初九)を抜擢して共に君主を支えれば全てがうまく進んで行く。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 『水雷屯』六四は、大臣が君主を補佐するために馬で出発したものの、自

まいにち易経_0619【分相応】君子もって思うことその位を出でず。[52䷳艮為山:象伝]

君子以思不出其位。 君子以て思うこと其の位を出でず。 立派な人物は、自分の地位や役割、職分を超えるようなことは考えないものだ。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 『艮為山』の卦は、山はその場にどっしりと構え、動かずにいる。つまり、この卦は「止まること」の大切さを説いているのです。 易経の中で、君子は「思うこと其の位を出でず」とあります。これは、優れた人物は自分の考えや行動が、自分の立場や能力を超えないよう

まいにち易経_0618【節度】節してもって度を制すれば、財を傷らず民を害せず。[60䷻水澤節:彖伝]

節以制度。不傷財。不害民。 節するに制度を以てすれば、財を傷らず、民を害わず。 節度を持ってルールや制度に従えば、財産を無駄にせず、人々に迷惑をかけることもない。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 『水澤節』の「節」という言葉には、節度、制約、そして規律といった意味が含まれています。この概念は、現代のリーダーシップにも深く関わっています。易経はこう述べています:「節するに制度を以ってすれば、財を傷らず、民

まいにち易経_0617【咸臨】咸じて臨む。貞にして吉なりとは、志正を行うなり。[19䷒地澤臨:初九]

咸臨貞吉。志行正也。 咸じて臨む。貞吉なるは、志し正を行うなり。 部下の信頼を得て、自分の道をしっかり歩むことで、運を味方につける。志を正しく持ち、人としての道を真っ直ぐに進んでいるからこそ、成功を手にするのだ。 ある企業の新人研修に招かれた老易学者が、未来のリーダーを担うポストZ世代の若者たちに向かって語る 「咸臨」とは、上に立つ者と下にいる者が心で感じ合い、一致協力して事に臨むことを意味します。これにはリーダーとそのチームが心を一つにして、共に目標に向かって進む姿