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ペリクレスの葬礼演説を古典ギリシア語で読んでみた【第8回】

まだまだ暑さとジメジメの残る晩夏ですが、引き続きペリクレスの葬礼演説を解説していきたいと思います。私はコロナのせいでお盆のお墓参りにも行けてないですが、ペリクレスを通して祖先へ想いを馳せようかな…!

ペリクレス葬礼演説解説の第1回目はこちら
ペリクレス葬礼演説解説の第7回目はこちら

原文(Thuc. 2.36)と翻訳:8文目

τὴν γὰρ χώραν οἱ αὐτοὶ αἰεὶ οἰκοῦντες διαδοχῇ τῶν ἐπιγιγνομένων μέχρι τοῦδε ἐλευθέραν δι᾽ ἀρετὴν παρέδοσαν.

筆者翻訳
なぜなら、彼ら自身、子孫たちへの継承の為にこの国土に常に住まい、自由なる武徳の故に、この時に至るまで(この国土を我らに)手渡したのだ。

解説:語彙

・τὴν:冠詞・女性・単数・対格、χώρανと繋がる。
・γὰρ:小辞、理由を説明する。「なぜなら」
・χώραν:基本形はχώρα、名詞・女性・単数・対格、οκοντεςとπαρέδοσανの両方の目的語になっている。「国土を」
・οἱ:冠詞・男性・複数・主格、αὐτοὶと繋がる。
・αὐτοὶ:基本形はαὐτός、人称代名詞・男性・複数・主格、「彼ら自身が」
・αἰεὶ:副詞、「常に」
・οἰκοῦντες:基本形はοἰκέω、動詞・分詞・現在形・能動態・男性・複数・主格、αὐτοὶを修飾する。対格(χώραν)を目的語に取り「~に住まう」
・διαδοχῇ:基本形はδιαδοχή、名詞・女性・単数・与格、「継承」
・τῶν:冠詞・男性・複数・属格、分詞のἐπιγιγνομένωνと繋がり名詞化する。
・ἐπιγιγνομένων:基本形はἐπιγίγνομαι、動詞・分詞・現在形・中動態・男性・複数・属格、διαδοχῇに掛かる。「子孫たちの」
・μέχρι:前置詞、属格を取り「~まで」
・τοῦδε:基本形はὅδε、指示代名詞・中性・単数・属格、現在の時間を表す。「この時」
・ἐλευθέραν:基本形はἐλεύθερος、形容詞・女性・単数・対格、「自由の」
・δι᾽:前置詞、対格を取り「故に」
・ἀρετὴν:基本形はἀρετή、名詞・女性・単数・対格、
・παρέδοσαν:基本形はπαραδίδωμι、動詞・アオリスト形・能動態・3人称複数・直説法、対格(χώραν)を目的語に取り「手渡した」

解説:構造

分詞で形成される名詞句が少し長めですが、それさえ意識してしまえば、スッキリしたSVO構文になります。

基本構造
主語(名詞句)[οἱ αὐτοὶ αἰεὶ οἰκοῦντες=彼ら自身常に住まい] 動詞[παρέδοσαν=手渡した] 目的[τὴν χώραν=国土を] 副詞句①[ἐλευθέραν δι᾽ ἀρετὴν=自由の武徳の故に] 副詞句②[μέχρι τοῦδε=この時に至るまで] 

逐語訳

なぜなら(γὰρ)、彼ら自身(οἱ αὐτοὶ)、子孫たちへの(τῶν ἐπιγιγνομένων)継承の為に(διαδοχῇ)この国土に(τὴν...χώραν)常に(αἰεὶ)住まい(οἰκοῦντες)、自由なる(ἐλευθέραν)武徳(ἀρετὴν)の故に(δι᾽)、この時に(τοῦδε)至るまで(μέχρι)(この国土を我らに)手渡したのだ(παρέδοσαν)。

※原文の出典:Thucydides. Historiae in two volumes. Oxford, Oxford University Press. 1942.


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