発達障害克服してみた 第一章 心身の健康を取り戻す

 (2021/09/19にこの記事はリライトしました)
 (本シリーズは最初の序章から読まれることをお勧めします。)

 前回「戦略の巻」はこちらから

 心身の健康を回復するにあたり最も大切にしたことは「薬に頼らないこと」でした。「戦略の巻」で書いたように、精神科の医師に対して不信感を持っており、効きもしない薬にお金をかけたり、場合によってはこういった薬には副作用もあるからです。そういう信念を持って色々とネットサーフィンをしていると、自分の信念に合った様々な情報が身の回りにやってきました。

 その一つがビジネスメディアである「ダイヤモンド・オンライン」に連載されていた精神科医である泉谷閑示氏によるコラム「8人に1人が苦しんでいる!「うつ」にまつわる24の誤解」でした。詳細な内容については無料で公開されているコラムですので読んでいただくとして、私がその時に一番感銘を受けたのは、著者である泉谷氏が患者に無闇に抗うつ薬を処方するわけでは無く、患者の持つ考え方・生き方にアプローチすることで、患者が生まれ変わったかのように回復するという目から鱗の内容でした。

 それを読んで当時処方されていた抗うつ薬が自分にほとんど効かなかった理由も何となくですが察しがつきました。抗うつ薬のメカニズムを調べてみると、端的に言えばモノアミン類と呼ばれる脳内神経物質(例えば、ドーパミンやセロトニンなど)の分泌量がうつ病患者では低下していて、薬の力によってそれらを元に戻すというものです。分泌量の低下というのは紛れもない事実ですが、なぜそれが低下するのかということに関しては説明がされていません。ですが泉谷氏のアプローチを読んでいく内に、うつ病患者の物の考え方や様々な価値観の歪みなどがその人にストレスをもたらし、それが脳内神経物質の低下という目に見える現象を伴って、うつ病になるのではと思ったのです(下の図を参照)。中には抗うつ剤がてきめんに効く人もいるのでしょうが、長年にわたり薬を飲み続ける難治性の患者さんもいるわけで、図のようなメカニズムならいくら薬を飲んだところで、大元の原因を断つことが出来ていない訳なので何ら効果が無かったのはうなずけます。

うつ病のメカニズム

 さらに、それとほぼ同時期にもう一つの気づき・学びが訪れました。自分の抱える人間関係が苦しい・辛いという感情は、人と関わることによる様々なイベントや出来事によりもたらされるものと思っていたのですが、そうではなく実はそのイベントや出来事を解釈する自分の考え方や価値観が辛さを生み出すという仕組みが見えてきたのです。
 ちょっと分かりづらいのでここで例え話をしましょう。私たちが夜家に帰ってきて自分の部屋が真っ暗だった時、まず部屋の電気のスイッチを押して電気をつけますよね?この時、スイッチを押したから電気がついたのだという風に解釈をしてしまうのですが、それは間違ってはいないけども正確ではありませんよね?正確には、スイッチを押すことにより中の電気回路に電気が流れて、それが部屋の電気へと伝わることで明かりが点くわけです。逆に言えば、何らかの事情・方法で中の電気回路が切断されてしまえば、いくらスイッチを押したとしても電気は点かないわけです。
 これを人間関係に当てはめると、人間関係で起こる様々なイベントが「スイッチを押す」、価値感や考え方が「電気回路」、起こってくる辛い気持ちが「電気が点く」ということに該当するわけです。電気の例え話と人間関係の異なる点は、電気のスイッチを押すか押さないかは、自分一人が決めることでコントロール可能なのですが、人間関係の様々なイベントは自分の努力のみならず他人の都合なども絡んでくるのでコントロールは不可能です。つまり望まずとも他人が勝手に「電気のスイッチ」を押してくることも大いにあるわけですね。定型発達者ならば上手に人間関係をこなし、「電気のスイッチ」を他人に押させないようにすることも可能なのでしょうが、人間関係を上手にこなせない我々のような人種はそういう器用なことは不可能です。そこで、自分の内にある考え方・価値観という名の「電気回路」を切断・変更を行えば、いくら他人に「スイッチ」を押されても、辛い・苦しいという感情が湧かなくなるのではないかと気づいたわけです。これに気が付いたとき、「これだ!!これだよ!自分が求めていたのは!」という心の声が聞こえ、素晴らしいまでの解放感と感動が自分を包んだのを10年も前のことなのですがよく覚えています。
 これまで自分は人間関係を良くしようと努力をしてきたわけですが、実のところ、自分は人間関係を良くしたかったわけでは無く、単に辛さから解放されさえすれば良く、人間関係自体には興味や関心が無かったのだと思います。興味が無かったからこそ、努力しても上手く行かず最終的に疲れ果ててしまったわけですし、また本当に人間関係に興味があれば、この事実に気づいても、同時に人間関係を良くすることにも同時に努力をしたはずです。さらに言えば、他人に興味が無いからこそ、他人の気持ちに気づけないなどによる他人とのトラブルに巻き込まれ続けたとも言えるでしょう。

 こうして、自分の内側の価値観や考え方を変えることが出来れば、うつからの回復も見込めるうえに、人間関係の辛さからも解放されるのではないかと考え、心理学やスピリチュアルを真剣に学ぶようになりました。

 ここからは、自分で様々試して効果があった手法について記します。(※注釈:以下に記す方法は心身の回復にあたり10年前の自分が見知って・考えたもので、現在の私から見ればかなり効率が悪い方法です。本来はこちらを参考にするよりも第三章以降の自分が取り組んでいるもっと系統立った方法が良いのですが、ストーリーの都合上または何か参考になる方もいらっしゃると考え、何を当時やったか簡単に掲載することとしました。)

 ①感情を感じつくす浄化ワーク
 当時の自分は他人への憎しみといった圧倒的な悪感情に乗っ取られていて、頭は常にそれで一杯でした。それらの感情から目を背けて抑圧し続けていたわけですが、中途半端にではなく徹底的に向き合うことにより解消しようという手法です。最初に手を付けたのは津留晃一さんという人が紹介している浄化法の一つで、湧き上がってくる感情をただただ全身全霊で感じつくすことで感情が消えていくという方法でした。疲れ果て一歩も動きたくない当時の自分にとっては、ただ自分の内に沸き起こる感情と向き合うだけだったので非常にやりやすく、最初の内はこれを多用しました。

 ②自分を責めない
 例えば誰かに何か言われて傷ついたとします。一般的には相手の言動がトリガーとなって傷ついたと考えるでしょう。ですが「電気の例え」と同じように「他人から何かを言われる→そのことに関して自分で自分を責める→傷つく」というように、自分で自分を責めるというワンクッションが存在するという構図が存在するわけです。ということは、相手の言動や行動がコントロールできなくとも、自分で自分を責めることが無くなれば傷つくことは一切なくなるのではと考えて、スピリチュアル系にありがちな自己評価・自己肯定感を上げるようなワークを行いました。例としてはポジティブな言葉を自分にかけるなど良くある手法です。

 ③とにかく無理せず、やりたいときにやりたいことをやる
 スピリチュアル業界を勉強していくと、「ワクワクしていれば全て上手く行く」とか「体の感覚に従ってやりたいときにやりたいことをやる」といった耳障りの良い言葉が数多く存在します。はっきり言うと、このやり方は非常に悪手というか絶対にやってはいけないことなのですが、人生に疲れ果てた人間には非常に甘い蜜というか心地よく聞こえます。当時の自分も例にもれず、大学があるとき以外は好きな時に起きて好きな時に寝るという暮らしを行いました。本当は全くお勧めできない方法なので書くべきではないのですが、本当に疲れ果てた時の一時的・暫定的な方法としてはある程度当時は必要なことだったと考えたので掲載しました。後々これが仕事を行う上でかなりの悪影響を及ぼすのですが、それはおいおい詳細を書こうと思います。

 ④体を動かす
 最後になりますが、王道中の王道と思います。私の場合どうしても人と関わりたくなかったので、大学のサークル的なのには加入せず一人で黙々と出来ることを選択しました。具体的にはクロスバイクを購入し、自分の行きたいところまで遠乗りするという方法です。やはり、体を動かすことで疲れもするのですが、鬱々とした気分は消えていくのを感じました。

 これら大体4つのことを地道にやっていくことで薬を一粒も飲まず、うつ状態から回復し、対人恐怖からも晴れて開放されることになりました。

 しかし、回復を喜んだのもつかの間、困ったことに今度は仕事面での問題が噴出します。 (第二章 (仕事編) はじめに に続く・・・・)

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