発達障害克服してみた 第二章(仕事編) はじめに

 (2021/09/24にこの記事はリライトしました)
 (本シリーズは最初の序章から読まれることをお勧めします。)

 前回「第一章 心身の健康を取り戻す」はこちらから 

 自由時間が沢山あった大学生活の中で、心身の健康を取り戻してきたわけですが、大学生も4年生となると、理系の大学では研究室に所属して卒業研究を仕上げる必要があります。これまではテスト勉強だけで済んできたものが、一気に新しい研究結果の発見のために日々長時間拘束され研究し、さらには様々なデスクワークなどのマルチタスクを伴う正に会社員と変わらない生活スタイルとなります。このような学生生活から離れた社会人に近い環境で発達障害者としての悪癖が盛大に発動します。

 当時の自分も含め、多くの当事者が同じく苦しめられている症状は大体以下のようなものと思います。

 ①先延ばし癖
 ②物事の優先順位がつけられない
 ③ケアレスミスが多い
 ④マルチタスクが出来ない

 このような症状を持ってしまうことで、会社などでは「仕事の出来ない奴」というレッテルを周囲から与えられ、働くうえでなかなか大変なことになってしまうわけです。
 これらの症状は脳内のドーパミンの働きの問題とされていて、ストラテラなどの投薬でそれらを改善させることで症状も軽減するというのが一般的な図式です。しかし、聞いた話では全ての症状を緩和することは出来ないらしいですし、人によっては副作用が強く出てしまうこともあるでしょう。さらに、薬の効果が切れてしまえばまた元通りで、飲み続けなければなりません。このような背景と、私自身は前にも書いたように医師への不信感から薬を飲みたいとは思いませんでしたし(そもそも処方してもらえるような発達障害の診断も貰っていません。)、何より薬なしでうつ状態を乗り越えた経験から、実は薬なしでもこれらの克服が出来るのではないかと考えたわけです。
 というのも、「脳内のドーパミンを調節すれば症状が収まるんじゃない?だからストラテラを飲ませよう」というこの考え方は、前回のうつ克服記事で述べた「脳内のモノアミン系神経伝達物質を調節すればうつ病が治るんじゃない?だから抗うつ薬を飲ませよう」という図式と全く一緒ではないかと思ったわけです。私は前回の記事で、うつの原因は脳内のモノアミン系神経伝達物質の異常が最も上流の原因ではなく、それよりも上流にその人の「自分を苦しめる考え方や価値観の癖」があり、それがストレスをもたらし、結果として神経伝達物質の異常さとして症状と共に現れてくると言いました。であるならば、この発達障害者におけるドーパミンの異常もさらに上流に原因があり、それは発達障害者が持つ間違った考え方や価値観の癖が結果としてドーパミンの異常として現れているのではないかと考えたのです。

 その仮説を元に、色々と自分の間違った考え方・価値観の癖に気づき修正することで、行動が自然と少しずつ変わっていき、最終的には薬なしで上に挙げた4つの症状を克服してしまいました。
 
常識的には、このような発達障害の症状をもたらすドーパミンの異常は先天的なもの・遺伝子的なものとされて、発達障害の症状とは一生涯付き合うものとされています。そんな中で、このドーパミン系の破綻の原因を心理的な要因に持っていくのは暴論で私独特の仮説に過ぎないというのは理解しておりますし、そのエビデンスとしては私一人が克服したのみという実に貧弱なものでしかありません。
 しかしだからと言って、正しいエビデンスにこだわっていると、先天的であるから諦めるか、ドーパミンの調節に関わるような遺伝子配列を書き換える新薬の開発を待つしか道はありません。新薬の開発は非常に時間もかかりますし、最悪我々が死ぬまでの間に開発されない可能性もあります。そうであるならば、エビデンス面ちょっと怪しげなものでも誰かにとっては価値あるものになるのではないかと考え、皆さんにお伝えすることとしました。強制はするわけではありませんので、気軽に楽しんでいただき、皆様の何らかのヒントになれば幸いです。

 では、次回からは実際にどう克服したか、「先延ばし編」に続きます。



 

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