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見るのが100倍オモロくなる西洋美術史PART-1 < ギリシア美術 >

美術館に行ってさまざまな美術品を鑑賞することはオモシロイものです。しかし美術の歴史を知っていると、その面白さや興味は格段に増しますし、理解もずっと深まると思います。これから時代順に西洋美術の歴史をできるだけカンタンにサクッと解説していきます。

ギリシア美術 ~芸術の基準~

まずはギリシア美術についてお話していきましょう。
ギリシア美術とはだいたい紀元前1100年中ごろ~27年ごろをさします。ギリシア美術のポイントは大きく以下の4つの時期に分けられる、ということを覚えておくとよいでしょう。

Ⅰ.幾何学様式(前11世紀~前8世紀中頃)
Ⅱ.アルカイック期(前8世紀~前5世紀末)
Ⅲ.クラシック期(前5世紀~前4世紀中頃)
Ⅳ.ヘレニズム期(前4世紀~前1世紀頃)


Ⅰ.幾何学様式期

後期幾何学様式のアンフォラ 葬礼儀式の場面アテナイ ディピュロン墓地出土 前750年頃

直線や円形を組み合わせた幾何学文様が特徴の陶器が作られ始めました。

Ⅱ.アルカイック期

『クーロス(青年)像』/作者不明

アルカイックとは「古風な」という意味です。
技術はつたないながら、作品に生命感を与えるため笑顔をつくっている像をアルカイック・スマイルといいます。

またギリシア美術には対照的な2つの様式があり、ひとつは男性的で力強いドーリス式、もうひとつは女性的で繊細なイオニア式と呼ばれています。

Ⅲ.クラシック期

『円盤投げ像』/ミュロン作

クラシック期には技術もつたなさがなくなり、人体の表現は完成されていきました。体重の大部分を片脚にかけて立っている人を描いた視覚芸術をさすコントラポストにより、リアルな表現が実現されています。彫像は理想的かつ崇高で均整のとれた人体表現がなされ、抑制のきいた自然な表情に変わりました。


Ⅳ.ヘレニズム期

『ラオコーン像』/作者不明

ヘレニズム期にはギリシア世界が発展し、経済も豊かになるとともに市民の生活もうるおうようになりました。そうした背景から一般人の像が一般の人々から求められるようになり、美術はより現実的なものへ変化していきます。表現としては激しく、感傷的で大仰、かつ非英雄的な要素を持つ彫刻がつくられるようになりました。

まとめ

『ミロのヴィーナス』/アンティオキアのアレクサンドロス 前100年ごろ

ルーブル美術館に所蔵されている有名な『ミロのヴィーナス』はヘレニズム期の傑作といわれています。『考える人』などで有名な彫刻家ロダンは、この作品についてこう讃えています。

「おお、ミロのビーナスよ。お前を彫り上げた驚くべき彫刻家は、この高貴にして自然な、生命自体の戦慄を、お前の背筋に貫き通させる術を知っていた。」

また先のラオコーン像もミケランジェロをはじめ、ルネサンスの芸術家たちに強烈な衝撃を与えました。


美術史では「古典」という言葉が頻繁に出てきます。その場合はこの時代をさす、ということを覚えておくとこの時代以降の作品の解説も分かりやすくなると思います。


※参考文献:西洋美術史(美術出版ライブラリー 歴史編)/鑑賞のための西洋美術史入門(リトルキュレーターシリーズ)/Wikipedia




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