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ファイナンシャル・インディペンデント・べイビーズ

生まれた時点で、老後資金に不安のない若者たちが暮らす未来。

昨今の東京都知事選や、自民党総裁選の状況を見ていると、こんな世界観を書かずにはいられなくなった。

生まれた時点で、FIするファイナンシャル・インディペンデント・べイビーズの誕生を予言する。

#未来のためにできること


題:『大人の時代 ~ファイナンシャル・インディペンデント・べイビーズ誕生~』


令和6年9月20日23時17分。

孫の夏恋が、産まれた。 
実にかわいい。

担当のパーソナルエンジニアである正木さんへ、チャットで出産報告した。

「おめでとうございます。カレンちゃん、きっと美人さんですよね」
深夜にもかかわらず、電話がすぐにかかってきた。いつもの明るい声に元気づけられる。

「ありがとう。責任重いよな」
「そーですよ。1トン級ですよ。美人は苦労します。経験上わかります」
「はい」
正木さんは、関西人だ。なんでもオーバーに表現する。だが、もう慣れた。

パーソナルエンジニア 正木美香さん


「では、トシさん、イニシャライズ処理に入ってもよろしいですか?」
「はい」

「ありがとうございます。伊藤夏恋様、ご生年月日、令和6年9月20日、ポートフォリオkarenとして、生成します。伊藤利昌様のお口座から100万円入金してもよろしいですか?」

「はい」
「運用タイプは、ハイリスク5でよろしいですか?」

「はい」
「ありがとうございます。サポートレベルは標準。ポートフォリオ・オーナーは、伊藤利昌様」

「はい」
「では、処理を開始します。よろしいですね」

「はい」
「承知いたしました。ファミリー・ポートフォリオのリバランス処理を、これより開始します。尚、処理完了後の変更は、1ケ月後からになりますので、ご了承願います」

生まれた時点で、証券口座を開設する。昔、金融業界の安定収入を確保するための『長期積立分散』なんていう、謎のキャッチコピーが流行した。もうそんなことは、誰も言わない。生まれた時点で投資がはじまり、死亡するまで終わらないだけのことだ。

生涯使える非課税額は、NISAとiDeCoをたして、5,000万円を超える。家族全員で非課税枠をフル活用すれば、生涯非課税での投資も可能だ。NISA、iDeCoなんていう制度名や、どちらを優先するか議論は無意味だ。NISAとiDeCoは、美的センスの欠片もない制度だが、新NISAを投資枠、iDeCoを拡張枠として、ツールを活用しカストマイズすれば、統合して活用できる。

【表1】生涯非課税投資

iDeCoは、75歳以降受給する前提にすれば、最長保有期間は95歳となる。期間延長も検討されていることからも、NISA同様に、ほぼ生涯使える。

AI搭載の汎用型マルチポートフォリオマネージャーシステムが、家族全員の非課税枠を、横断的に最適化する。


お金を増やす4つの鉄則
・稼ぐ
・コスト削減
・長く働く
・お金を働かせる

(出典『君の未来とお金の関係』著者:熊谷幹樹)

なんて書かれた書籍も過去あった。

本の帯には、「時間を上手に味方につけよ!お金を増やす4つの鉄則、大公開」と書かれていた。最重要鉄則『もらう』が、欠落している。逆の立場では『あげる』だ。味方につけるべきは、時間ではなくヒトだ。

尊敬するパーソナルエンジニアリング社中部支店長の高野さんは、申し訳なさそうに、私によくこういった。

「金融業界は歴史がまだ浅い。人材も不足している。すまん」

と。

人生の3大支出!
・住宅資金
・教育資金
・老後資金

は、生まれた時点で解決させる。

生成された夏恋のポートフォリオ案を確認し、正木さんへチャットした。

ファミリー・ポートフォリオは、家族ごとにラップされたポートフォリオをさらに全体で包み込む構成で構築される。つまりラップ・オブ・ラップ(WOW)形式だ。

>正木さん、夏恋のポートフォリオ案の確認メール来たよ。

>そうですね。イイ感じですね。これで生成しますか?

>はい。今、確認ボタン押しました。お願いします。

>トシさん、資金継承の想定は、予定通りトシさんのiDeCoからの受給分を当ててもよろしいですね?

>はい。ただ吉村くんの母親の麗さんも、出したいといっているので、2年目以降は、ファミリー・ポートフォリオ会議のあとで決めます。

>承知いたしました。部長と支店長へオンラインでリバランス承認を依頼しますので少々お待ちください。

あらかじめ決めておいた資金プランで、夏恋の想定生涯キャッシュフロー案も生成されていた。

夏恋が60歳時点での金融資産1億5千万円、内ドル資産は5千万円相当の予測。達成確率は78%。

まあ、こんなもんだろう。

1人の孫の下位には、6人の大人が必ず存在する。
祖父母ペアと両親だ。

孫の教育は、祖父母ペアが責任を持つ。祖父母ペアは、自分の子供の養育を経験しているので、その反省も活かせる。

1人の孫を6人の大人が支える。祖父母ペア4人のiDeCo資産が孫への継承資産として活用される。

現役世代の親は、育児の一部から解放されて、仕事に集中できる。孫世代へは、祖父母ペアから、日本人としての美意識、家訓などが継承される。

生きるということは、

美しいものに出会い、隠された悪を注意深く拒むこと。
(出典『生きる』作者:谷川俊太郎)


金融業界のトンチンカンな年金不安をあおる恐怖マーケティングは、今となっては笑い話でしかない。

高齢者1人を、2.1人の現役世代が支える

よくもこんな、傍観者のようにネガティブなアナウンスを垂れ流せるものだ。いわゆる恥を知れ恥をだ。

税金と年金を納め、勤労により社会基盤をさえてきた高齢者が、さらに現役世代の子供を育てる。

このシナリオに、不安材料はない。

1つ言えるのは、子供同様に、高齢者も学び続ける必要がある。今の問題は新しい問題だ。過去の経験や知識だけでは、対処できない。

要は、大人がどう生きるかだ。

夏恋が生まれてくれたおかげで、5世代のファミリーツリーを、また更新することができた。

【図1】5世代ファミリーツリー


従来の家族のスコープは、6人の大人で構成されてきた。

生まれた時点で、FIするファイナンシャル・インディペンデント・べイビーズの世界観では、5世代、総勢30名以上の大人の想いが、未来へと継承されていく。

「人は生計の道を講ずることに、まず思案すべきである。一家を養い得てはじめて、一郷と国家のために尽くもの」(日本陸軍軍人 秋山好古)

本来、血縁のない人々が、子供でつながる『家族の家族化』により、ファミリーの金融資産がラップ運用される。これは、IT業界での『共同の共同化』に似ている。複数の企業のシステム基盤を共同化したプロジェクトをまとめて、再共同化するのと発想は同じだ。


「伊藤利昌様、たいへんお待たせしました。皆さまのポートフォリオのリバランス処理がFIXしました」

既にクラウド上には、夏恋のアルバムがオープンされて、写真や動画が続々とアップされてきた頃、正木さんからの電話でリバランス完了報告を受けた。

合計27個のポートフォリオのリバランスが発生し、発注処理も同時進行する為、4時間ほど待たされた。

夏恋のマイべージのトップには、一直線のライフプランが描かれ、想定する標準イベントがいくつかプロットされている。ライフプランのエンドは、107歳だ。

家族全員を担当するパーソナルエンジニアとして、新しいマイべージとポートフォリオが1つ追加された瞬間が一番ワクワクするらしい。

「カレンちゃんの生涯キャッシュフローはきれいですね。ほぼ非課税での投資計画になりました」

「そうだね。このポートフォリオなら安心できるな」

「支店長の高野から、12歳までのカレンちゃんの教育プランを来週中に提出して欲しいとのことでした」

「支店長、はりきっているね」

「はい、自分の孫のようにはりきってますよ」
正木さんは、ニヤリとした笑顔の雰囲気で、そうにいった。

家族が1人増えるということは、工場を1つ建設するようなものだと、祖父が言っていた。

どこに、どんな工場を、夏恋とみんなでつくるのか?
これからが楽しみだ。

工場を新たに建設するプロジェクトが、はじまる。

まだ残暑が厳しい夜が明けようとしていた。


この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません



あとがき


昭和の時代、子供は街全体で育てられていた。

私の両親は共働きで、昼間は忙しかったので、お腹がすいたら、近くの大衆食堂へ、おでんをよく買いに行った。確か1個30円。60円を握りしめて、走って買いに行った。

牛すじエキスがしみこんだじゃがいもと、ちくわが私のお気に入りだった。

大衆食堂のおばちゃんは、

「厚揚げも煮えてるで、こんにゃくもおいしいよ」
といって、いつも2から3個ぐらいサービスしてくれた。

私のシャツの襟がまがっていたら、母親のように直してくれた。

からしを、べとっと容器につけて、

「あついからフーフーして食べな。またきーな」
と、いつも優しかった。だから、おばちゃんは、子供には優しいという方程式が脳にしみこんでいる。

おでん2個のサービス分は、GDPへ反映されない。

何が失われた30年だ!
いいかげんにしないと、昭和のおばちゃんたちが怒るで!

もう選挙の為の子供支援のバラマキは不要だ。

いまの時代を生きる大人たち全員で子供を育てる。

そう、これからは、

大人の時代だ。

自立した大人と
Financial Independent Babies 

が新しい時代をつくりだす。


【今日のひとこと】


ねえ、二人しかいないんだよ。他のみんなは死んだんだ、コインロッカーで生き返ったのは、君と、僕の二人だけなんだよ。

(日本の作家 村上龍 『コインロッカー・ベイビーズ』より)


ファイナンシャル・インディペンデント・べイビーズが、老後不安という、金融業界が作ったコインロッカーのような閉塞感漂う幻想を破壊する。



参)過去の関連コラム

🔳3世代家族の資産継承モデルを考察した。

🔳NISAとiDeCoを統合した資産運用モデルを考察した。

🔳汎用型マルチポートフォリオマネージャーシステムを考察した。

🔳30年以上温めているパーソナルエンジニア(PE)について、少し触れている。


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