文字羅列トリップ


  Trip1


脳に蛆虫が湧いているかのようだ。
「ガタンゴトン、ガタンゴトン」
今日も隣の部屋の子供たちが忠実に囚人BOXの真似をする。
「平和で何よりです」
そうですね、こんな風に気楽に落ち込めるから。

ふと、この世には俺様しかいないということに気が付いた。
静寂に包み込まれる部屋。
スリッパの上で僕ちんは何をしていたのだろうか?

「早速監視カメラの映像をチェックしてみよう!」

脳内チェックの為、頭蓋骨を電動ドリルでこじ開けていきまぁ~す。
あ、見えてきた見えてきた。あららあらわと見えてきた。
あぁ~そうかそうか、たただだ同じ場所をぐるりくるくる廻り続けていたんだっけ。

腑に落ちた。

清々しい気分で街に出る。
今日も騒がしい東京。

欲深い人間達の掃き溜め、墓場。

「いいえ、それは違います。人間に欲が強いも弱いもありません。ただ単純に、欲に呑まれているかいないかの差だけなのです」
と、言った具合に、ジェンダーレス系ウグイスのジョーくんが遥か彼方上空2000mのマンションの一室のカゴの中から13デシベルの哲学をワタクシの心に飛ばしてくるの。

あぁ、厄介だなぁ。東京の騒音なんて屁でもねぇや。


  Trip2


輪廻屋の是空は思った。

この世界には、自分という存在を描く作者がいるんじゃないかと。
そして、それを読む読書が確実にどこかにいるはずだということを。

「俺は知っているぞ!俺は知っているぞぉ!」

そんなありもしない妄想を抱いていると、富士ノ山ノ麓から老婆が大声で語り掛けてきたの。

「誰がワシを老婆にしたぁ!!!誰がワシを老婆にしたぁ???」

ここは東京ノタワーノ麓。そんなしがらみ、聞こえるはずもないんだよ。

「分かったか、アバズレ」
「はい、申し訳ございませんでした。それでは、生まれ変わる為に、死にます」

こうしてワタクシ是空は今日も、人々の輪廻転生の為のお手伝いをして差し上げているのです。

「これが輪廻屋としてこの世界を徘徊し悟ったちっぽけな境地なのさぁ!」


  Trip3


内側を磨くのは難しい。
何らかの容器のように、人間も隅々まで磨くのはとても難しい。

だから俺は神なのだ。

こんなにも完璧な存在、他には存在し得ない。

貴様は人だよ。明らかに人。
どうしようもないくらいの人。人。人。

「人の一生は神が成長する為の育成プログラムの一つに過ぎない」
と、昨日の俺が言った。

ハハ、だから俺は神なのだハハハ。

俺は日々人を蔑み憐れみ俯瞰で傍観しながら成長を続けている故にだからであるからして神なのだ。

「もーいーかーい」
「まーだまだー」
「もーいーかーい」
「まーだまだー」
「もーいーかーい」
「まーだまだー」
「もーいーかーい」
「いーまだよー」

神に憧れ過ぎた青年が神に逢いに行く為に今まさにこの瞬間ジャストナウデ死にました。

お母さん、彼のお陰で、今宵も月が、とても綺麗です。


  Trip4


今がまさに走馬灯の最中なのではないだろうか?
この人生はこの人生を既に送って今まさに死のうとしているまだ見ぬ"ボク"の走馬灯に過ぎないのではないだろうか?

この”僕”にはゆったりと流れているように感じているこの走馬灯もあの"ボク"にとっては一瞬間の出来事。

そうしてこの幻の”僕”が死ぬ間際にようやく本物の"ボク"に出逢える。

そうしたらきっとこの”僕”もあの”ボク”も綺麗さっぱりと消え去ることだろう。

だけどそこでふと”僕”は思うんだ。

「ズルい」って。

「“僕”はまだ走馬灯を見ていないよ」って。

だから”僕”は願うんだ。

「走馬灯を見させてください」って。

そうしたらだんだんと見えてくるんだ、美しい、胎内の、膜が。

まだ見ぬ世界への不安感そして期待感から僕は大声で泣き叫びました。

初めて祝福されているような気がしました。

生きてて良かったなと感じました。


  Trip5


一通のメールが瞳孔に飛び込んできた。

"僕が昔から自殺について考えている理由を一言で表すと、動物は自殺をしない"

本文には何も書かれていないそのメールについてワタクシは、小一時間ほど熟考に熟考を重ねている。

“だからアナタは輪廻屋のワタクシにメールを送ったのですか?ご要望は何ですか?本当に輪廻転生をお望みですか?死にたい理由は何ですか?動物との差別化だけが目的ですか?”
などと打っては消し、打っては消し、月を見上げては俯き、打っては消し、打っては消し……。

「ぼぉーん、ぼぉーん」

頭の中で、古時計が哭いた。

“うるせーな、さっさと死ねよ。どうせ死ねねーだろうけどな、このケダモノめが”

送信。


  Trip6


暴走するバイクの音と発情期の猫の鳴き声が鎮痛剤。

思うことは一つだけ。

“存在は神の雑念、神は人間の雑念”

光に背を向けた僕は罰当たり?
そのバチを与える神様仏様は昨日おとつい火炙りに遭っていたよ。
拷問という拷問を受けて、最終的にはまっ黒焦げにさせらリルれレレてたんだ。

この世界のピンチに満を辞して姿を見せた神聖なるモノたちだったんだけど、だぁーれもありがたがらず襲ったんだ。

「今までの恨み!」ってね。

映画とかなんやらだとこーゆー時って神聖な力を使ってそんな奴らふっ飛ばすんだろうけど、実は彼奴らにそんな狂気に満ちた人々を突っぱねるだけの力はなくて、そう!それはまるで日本の天皇のような感じで、なんの力もなく、ただただ質素で優しいだけで、気が狂った人類にはその感じが鬱陶しくて「あっ、殺そ」ってなったんだ。

神さん仏さん無駄にいっぱいいたから神殺しのカリスマだらけになったんだ。
もちろん僕も、殺したよ。
目が覚めたらベンチに寄り掛かって寝ていたよ。
「なんだ、夢か」
「大丈夫ですか?」
「え?あ、はい。うるせーな。お前ら誰ですか?」
「神ちゃんです」
「仏くんです」
「うるせーな」
「こんにちは」
「ピース」
「うるせーな」

思うことは一つだけ。

存在は神の雑念、神は人間の雑念。


  Trip7


急にベロを出してきた少女に「ふざけるな、ベロを出すな」と言ったら、その少女は呆気カランと「ベロは出してないよ、顔を引っ込めてるんだよ。バーカ」と言ってきました。

悟りを開きました。

コップを傾けろという自分本位なやつとそれを不快に思う自己中心的なやつらで成り立つこの世界はHEAVEN。
何かにつけて仕事のせいにする天使たちの掃き溜めWORLD。

この世には俺様しかいないということに気がついた。
この世には僕ちんしかいないということに気がついた。

痩せる為にソフトクリームをペロペロしながらジョギングしている奴が友達を守る為に友達を殺しました。

無理もない、豚と人間は脳の構造がよく似ているのだから。

この世には豚様しかいないということに気がついた。
この世には悪ちんしかいないということに気がついた。

悟りを開きました。

悟りを開きました。

悟りを開きました。

悟りを開きました。

紛れもなく、僕は、神様仏様に、なりました。


  Trip8


駅のホームを歩いていると、風に煽られて線路に落ちそうになりました。

今となっては故意だったのかもしれないと疑心暗鬼ですがしかし僕に死ぬ勇気などあるはずもないのですからこのそのあの心に巣喰う鬼は一瞬で存在価値を無くしました。

「死ぬ勇気が無いんじゃない、生きる勇気があるだけなんだ」

うるせー野次馬だ。
みんなが僕を見下ろしている。
あぁ、痛いなぁ。
見てんじゃねぇ。
なんでこんな日に限って空は綺麗なのだろうか?
雨が降ってきた。

僕たちは何故かいつも出口を探そうとしますが実はまだ入り口にも辿り着いていないのかもしれません。
もしかするとコレらは全て胎内での出来事でまだ僕たちは産まれて来てさえいないのかもしれませんよ。


  Trip9


「飲食店で客同士が言い争いをしています。一方のマナーの悪さに一方が注意してそれがエスカレートしたパターンなのですが、結局どっちもどっちだと感じざるを得ません。一見すると、マナーの悪い方が悪で注意した方が善だと思いがちですが、その言い争いで周りの人間たちはかなり不快な思いをしている訳なので、どっちもどっちだと言わざるを得ません。言うならば同じ穴の狢、五十歩百歩、目糞鼻糞、正義と悪は、実は、大親友なんだぜ」

「はい、ありがとうね、是空くん」

何故だろう、この頃やけに、あの頃の道徳の授業の夢を見る。

あの頃からワタクシは、ずっとずっと死について考えていまする。人間ヤメテ、木になりたかったあの頃のジブン。
どうしようもなく、何かに雁字搦めで、ニャーニャー鳴いていた。
良いお天気の日の日向ぼっこは気持ち良かったけどさぁ、雨の日の憂鬱感は最低だったよね。

先生は優しくてアバズレで気持ち良かったなぁ。

良き輪廻転生を願っています。


  Trip10


Fuck'nGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusJUNKYGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusGeniusJUNKYyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyyy……。

誰だって何かのジャンキー。

“薬は精神に異常をきたすのでヤメマショウ”などと言うが勉強もそれとイコールだろう。
タバコやアルコールよりも仕事や組織や学校がたくさんの命を奪い去る。

酷く無残に奪い去る。

病気の友達を信じることができなかった子供の頃のジブン、勇気を出して仲直りしたはずなのに、今となってはどこで何をしているのかさえ分からない。

向こうは喧嘩した記憶さえ無くしてしまっていることだろう。

人は”ニチジョウ”という質の悪いドラッグにより記憶障害を引き起こす。

“ムダチシキ”や”サイギシン”、”チイサナウソ”や”ウワッツラ””ギマン”が代わりに脳ミソを圧迫する。

「悲しいよぉ、哀しいよぉ」

悲しいよぉ、哀しいよぉ。

砂埃吹き荒れる白黒の世界でワタクシは、”ユウジョウ”と言う儚い夢を見て嗤う。


  Trip11


自分殺しフロントマンが在籍していたあのバンドのコピバンをして瓶ビールを飲みながらライブをしてベロベロになりたい欲が溢れて止まない彼が天井に映った三原色の蠢きに眼を廻し覚醒した。

しかし、そんなトリップもどきも束の間、睡眠欲最強説論者に首をへし折られた気分の中で堕ちる。

「ひゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん」

火山の噴火情報に胸踊る。
カガクテキシテンからではなくセカイノオワリを期待して。
なんでもありな、非日常を夢見る。

あぁ、そんなことを思っていたあの日々が昨日のように感じるよ。
もうこんな生活イワユル非日常的な生活になってからどのくらい経つのだろうか?
今はただ、あの頃の日常が懐かしい。
普通が恋しい。
秩序があったあの頃。
何故か皆が皆ルールを守っていたあの時代。
くだらなく退屈だったあの日常。
もうこんな非日常的日常は嫌だ。

「ノックノック、ノックノック」

一体全体誰だろう?

もうこの世には、僕しかいないはずなのに。

「さぁ、もう一本いきましょう」


  Trip12


狂ったMOVIEが頭から離れない。

原案も脚本も監督も僕のはずなのに、何故か何も何もかもだ!思い出せない。

ああ、結末だけでも教えてくれあああああ、ああ、ああ。

いつの間にか手には赤黒く光り濁る書籍がぁぁ、ああ、ああ。

ああ、それは、あの、その、あのね、普遍的正常日記に決まっているじゃないか。


一日目

消えて無くなったはずだ。
アレらは神が遣わせた便利なモノタチ。
僕の道を正してくれた。
よね?
だから僕はこうしてまともでまともでまともでまともで。


二日目

違うよ。
好きだったからムカついたんじゃないんだよ。
お前はそこら辺にいる女味の肉片とおんなじだよ。
美談化したいんならそれでも構わないけど、事実ではないと、今、ハッキリと、言っておくよ。


三日目

殺した。
殺してしまった。
そんな気がするが、定かではない。
愚かなもんさ。
こういった重要な局面では脳がまったく働かない。
蜃気楼に包まれる。
もう嫌だ。
正常であることに疲れ果てた。


四日目

何よりも地獄なのは、地獄という概念を植え付けられたことなのかもしれません。
罪は楽、死は楽だと気付いた何者かがその"悦"を独り占めする為に地獄という概念を遺伝子レベルで擦り込んだに違いありません。
死ね。


五日目

助けて欲しいのでしょうか?
僕は誰かに、寄り添ってもらいたいのでしょうか?
そんなことはないはずだ。
愛とは無縁に生きてきた。
いや、だからこそ愛に飢えているのでしょうか?
まだ誰も見たことのない愛を具現化する為に、今日も僕は肉を喰らいます。


六日目

深夜、波打ち際で舞う女性のお陰で、ここでは水害が皆無なのですね。
有難うございます。有難うございます。
甲高い嫌なバイクの音を差し上げます。
海という化け物の餌食にしてやってください。


七日目

寒さが身にしみます。
しかし、しばしの我慢。
すればあたたかな陽が昇り、骨肉を髄からあたためてくれるのですから。
日中はまだ27度にはなるでしょうか?
そうなったら頭の蛆虫たちを一気に追い払いましょう。
一掃してやりましょう。


八日目

腫れた腫れた。
大いに腫れた。
人体の神秘。
血のくだらなさ。
一定のリズムで動く柵。
波、信号機、人間、光。
地球も宇宙も神の思考回路もプログラミングされたかのように……ギッコンバッタンギッコンバッタン……。


九日目

ははははは。ははははは。
楽しくないから笑ってみせた。
ははははは。ははははは。
ほぉらほらほら楽しくなってきた。
楽しくなってきた。
楽しくなってきた。
そう、思いたいだけさ。
そもそも楽しくなくてはならないと誰が決めた?
そもそも死とは、不幸なのか?
救いではないのだろうか?


十日目

陰気な雲を追い払うような陽気な光。
朗らかな人間。
習慣に囚われたまた別の人間。
置き去りの石。
動きそうで動かない物質。
デクノ坊。
ケダモノ。
烏。
烏。
烏。


十一日目

夜の暗く穏やかな波がまるで脈のようにうようよと漂う。
怖いよ、怖い。怖いよ、怖い。
まるで僕の腹の底かのように暗く、うようよと、漂う。
ただただ、漂う。


十二日目

あぁ……


…日目

捨ててはイケないなんて、人間が勝手に決めたルール。だから止めはしないけど、罪悪感に苛まれるのは自分だから、やめといた方がいいのは事実なのさ。


「ビリビリビリビリビリベリベリベリベリベリ次のページからの大部分が破れ腐っていたように見せかけるふりをしています」


百八日目

大日如来の心にも般若が住みついているのさ。
仏の心にも鬼がいるとは驚きだろう。
無理もない。お前は、阿呆だ。
禅那、禅那、氣氣快快。
禅那、禅那、氣氣快快。
お前は他者の一面だけしか見ずに吐き気を催す糞に塗れた糞以下の糞だ。


百九日目

事の重大さに気が付いた。
普遍的生活がどんなに有難く素晴らしいことか、僕は、忘れていた。
糞だ。ごめんなさい。糞だ。ごめんなさい。さようなら。
有難うございました。


おわり。


ライターで火をつける。

良い怨念の味がする煙だ。


  Trip13


「僕の母は家ではぐうたらです。会話もまともに通じません。読解力がないので喋っているとイラつきます。話を聞いても理解ができないので同じ質問を繰り返します。父親は他者への配慮が足りない人種差別主義者です。影でモゴモゴと卑しい発言をすることしかできません。姉は障害があるので大好きです。兄はただのサイコパス一般人です。普通の家に生まれたかったです。幼い頃から精神的虐待を受けてきた僕はとてもまとも」

「はい、よく自分の意見を言えましたね。ありがとう、是空くん」

何故だろう?この頃頻繁に、あの日の授業参観の夢を見る。

「ああ!暴力を振るう我が子に対し殺すという最大の暴力行為を働く親がいるそうです!ああ!遺伝としか言いようがありませんね!ああ!何故親というモノは自分は変わろうとはせずに子を変えようとばかりするんだろう!ああ!是非とも反面教師にしましょうね!」

嗚呼、ついに校長先生がイカれちまったよ。


  Trip14


あ、あれが輪廻屋さんかな?
「うぃっす」
ギョロ。
「おい、口の聞き方に気を付けろ」
ムス。
「はいはい、努力します。がね、あんたも寛容になるよう努力しろよ?」
ピーン。
「人を変えたきゃまずは自分からだ」
グサ。
「何が是空だ気取りやがってよぉ。あんたは輪廻屋じゃなく気取り屋だバカヤロォ」
フン。
「あーもううざ。だから大人は嫌いだよぉ。死にまーす」
ラクナシゴトサ。


  Trip15


幸せから足を洗ったからかな?

糞みたいな幻聴が聞こえる。

「精神疾患患者ノ鏡輪廻屋是空殿が見事満場一致で総理大臣という肩書きに就任致しましたぁ」

幻聴が聞こえる。幻聴が聞こえる。

「それでは、罪も罰も正義も法律も第九条も全て無くします。皆様、思う存分自分殺しに耽ってください」

救われた、救われた。完全に、救われた。


  Trip16


もし今時が止まったら、悪行に耽っている者、善行に勤しんでいる者、どっちが多いんだろうか?

「きっとなぁーんにもしていない人が一番多いですよぉ」
「いやいえ、そのなぁーんにもしていない人たちは知らず識らずのうちに地球や動物たちを苦しめている訳であって悪行に耽っているということになります」
「それはそれは」
「暴飲暴食や睡眠不足などによって己の体を痛めつけていますしね」
「そんなことを言ったら人間のヤルこと為すこと全てが悪行となってしまうではないですか」
「罪深いですねぇ~」
「罪を作り出しているのは明らかに正義ではないか!してはいけないことを作らなければ罪など生まれないのにさぁ!ヴァカダヨヴァァカ!」
「それでは、殺されても文句は言えませんね?」
「ええ!どっちにしろ殺されたら文句は言えません!」
「大切な人が殺されても犯人が罰されなかったら虚しいでしょう?」
「どっちにしろ大切な人が死んだら犯人を罰したって虚しいです!」

もし、今時が止まったら、とってもとっても嬉しいな。


  Trip17


「死は救いではないだろうか?」

「それではアナタは死にたいのですか?殺されたいのですか?」

「いいえ、決して殺されたくなどありません」

「法螺」

「しかし、それがこの理論のミソなのです」

「破?」

「だからこそ救いである、希望であると気付かない」

「遺族は永遠に悲しみます」

「ほら、そんな時こそ死ねばいいんだよ。ほら、死は救いだろうう?」


こうやってワタクシはいつもタイホという理不尽なコウイを執行された時のシミュレーションを欠かさず行い自分は正しいと肝に言い聞かせている次第であります。


時刻は12時21分。


愉快で奇妙な音楽と共におんなじテレビCMが繰り返し繰り返し流れ続けています。

下手な宗教信仰するくらいなら死んでくれ♪
それが世の為人の為♪

“人生が380度変わります”

そんなの信じないでください♪

だってよく考えてみて♪
20度しか変わってないんだよ♪

全てが嘘っぱちなんだよ♪
人の深層心理をこれでもかってくらい卑怯に操る詐欺とおーんなじなんだよ♪

だから僕だけを信じてください♪

死ぬことだけが唯一の救いなんだよ♪

ほら、今だ、死ね♪


最近様々な事件がありますが、全てにおいて、許すということが大切だとは言えないでしょうか?

いや、”でしょうか?”なんて生温いですね。

断言します。

“許すことが大切だ”。

この思想は絶対的に正しい。

絶対に。

絶対にだ。

許せ。

許すんだ。

人殺しも放火魔も詐欺師もレイプ犯も。

許せ。

許すんだ。

もしこんなことを言っている僕が憎ければ殺してくれ。

それでアナタの中の何かがスッキリとするならば是非とも殺してくれ。

許すから。

僕はアナタを許すから、是非とも殺してくれ。

でもね、スッキリするはずなんてないんだよ。

怒りや憎しみを癒すには”許す”しかないのだから。

それは確かな事実なんだ。

だから、許してください。

全てを、許してください。


  Trip18


CAGE01-地球では、是空というウイルスが人類の数を削減してくれている。

「何故容姿端麗なあなたが輪廻屋などしているのですかぁ?」
「持て囃されることもイジメみたいなもんさぁ」

神とか言うマッドサイエンティストは今日も”ジユウイシ”を使い様々な実験を敢行中。

「僕はバカだからさぁ、皆の望む通りには生きられないんだよぉ」

ドン底はトランポリンなんだと思います

「」セリフを与えておくれよぉ「」

そんなセリフが胸を打つ。

「あれ、さっきはもう昼過ぎだったのに何で今はまったくもって10時半なんだぁ?」

いかれた人間には虫や動物が健気に寄り付く。

「惨めに思っているのかなぁ?それとも、虫や動物という存在がイかれているということなのでしょうか?」

豪邸からは今日も怒号が聞こえる。

「本当に百済ねぇや」

知らぬことを馬鹿にする老害。
知識などそれほど無くともよい。
幼い頃から色々知ってしまった子役の末路はどうだ?
裏の裏まで知り尽くした政治家はどんなヤツらだ?

「本当に百済ねぇや」

ああ、早く色即是空


  Trip19


何故、誰もいなくなったのだろうか?

深夜、いつものように眼を醒ますと、周りには誰もいなくなっていた。

何の音もしない。

地球の廻る音だけが鈍く鈍よりと響く。

「おーい」なんて素直に呼びかけるほどできた人間じゃねぇのさ。

ただ今はトイレに行きたい。

そもそも誰もいなくたって構わねぇさ。

無音が煩くて眼を覚ます。

時刻はおそらく10時半。

騒々しい街並み。
誰かがいる苛立ち。

誰かが動いている。
欲望のままに蠢いている。

ある人は前向きにせっせせっせと行動し、ある人は後ろ向きに何もしたくないという欲求に従い俯く。

「ずっと夜だったらなぁ」

誰もいない幸せを噛み締められる夜がずっと続けばきっと、朝を待ちわびるようになり昼を待ちわびるようになりそしてまた夜に恋をする。

「ピロリロリン」

あぁ、着信よ止まれ。止まれ。止まれ。

「久しぶり、元気だった?」
「うん」
「実は俺、自殺しようとしてたんだ」
「へぇ、正常で何より」
「そう?」
「うん。自殺も考えず平然と生きてるヤツらのが異常だよ」
「そっか。クズだな。死ね」
「うん」


全て忘れたい

何処に往こうと付き纏う苦しみ

全て忘れたい

数少ない喜びの記憶さえ

全て忘れたい

キミという唯一の救いの光

全て忘れたい

今となっては地獄への引き金に過ぎないから

“刹那的未来永劫”

それがこの恋の名前

“刹那的未来永劫”

それがこの愛の名前


「あの頃は良かったとか思いがちだけど、実際大したことなくて、大体良いように作り替えてる」
「いつだって今が最高だ」
「未来構想も大抵はクズ紙だ」
「未来へ抱く誇大妄想など最低の粗大ゴミ」
「人生は嘘っぱちシリアスコメディーショーさ」
「その間何をしようが関係ない」
「産まれて生きて死ぬ」
「ただそれだけ」
「威張るも腐るもない」
「ただ息をし吐き出すだけ」
「たったそれだけ」


未練タラタラさ。
早く殺してくれ。
死んでしまえばもう何も感じなくて済むから。


「本当に百済ねぇや」


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