人間は完璧じゃないからこそ面白い

こんばんは。りょうへいです。

皆さんは中島らもさんという方をご存知でしょうか?

ミュージシャンであり小説家でありエッセイストである中島らもさんはとてもユニークな方で、言葉を魔術のように魅力的に操り、おおよそ型にハマったような人間ではないところが最大の魅力でした。

世の中には多数の奇才天才が存在していますが、私にとって間違いなく中島さんは最大の奇才の一人です。

現代では様々なことをAIが再現をしてくれますが、中島らもさんをAIが再現することはまず不可能でしょう。

それくらい中島らもという人物はぶっ飛んでいて、それでいて人間らしさの塊のような魅力的な人物でした。

では、中島らもさんとはどのような方だったのでしょうか?その点を少し振り返りつつ、今回は中島らもさんの魅力をご紹介し、同時に著作についても少し触れていきたいと思います。

・誰よりもアルコール依存症に詳しいアルコール依存者

まず、中島らもさんは関西の名門灘高校を卒業していて、「お勉強ロボット」だったこともあって、元々非常に頭の良い人物です。ですが、在学中はほとんど勉強はせず、大阪芸術大学時代も酒とギャンブルに明け暮れていきます。

時代に触発されてアルコール依存になっていく中島さんですが、元々が非常に頭の良い人物ですから、アルコール依存についての知識は誰よりも持っていると言ってもよかったと思います。

数々のアルコール依存についてのエッセイを執筆していたり、自身をモデルにしたアルコール依存症の主人公の小説を書いたりもしていました。

代表作は何と言っても、「今夜、すべてのバーで」

自身のアルコール依存を肴に酒を飲むという5次元を通り越した世界観から物語が描かれていて、博識な依存に対する知識なども独自の言葉から伝えられています。
お酒を飲む方だけでなく、何かに依存をしている全ての人に読んで欲しい作品です。

晩年には病院を抜け出してこっそりお酒を飲むことに後ろめたさの中の楽しさを見出していた中島さんですが、彼自身は生涯にわたってこの依存症というものに悩まされ続けるのです。

これは一見みっともないことだと思う人もいるかもしれません。

しかし、思った通りに動かないもどかしさもまた人間らしさであり、魅力でもあると私は思うのです。

これがもしAIであれば、合理的な判断をした瞬間に合理的でない選択は一切選ばないでしょうし、そのような行動も選ばないはずです。
人間であるからこそ、合理的ではない選択もするし、失敗を重ねていくのではないでしょうか。

彼はアルコール依存だけでなく、薬物依存、躁鬱病など様々な苦悩を重ねていきます。

そのようなリアルな姿を晒しながら言葉を紡ぐ彼の生き方は、まさに奇才と呼ぶにふさわしい生き方そのものでした。

彼の人間らしい言葉の数々を少しご紹介させて頂きます。

・中島らもさんの言葉

だれでも夢がつかめる。
才能よりもむしろ
持続する能力があればの話だが。

ただこうして生きてきてみると
わかるのだが、
めったにはない、
何十年に一回くらいしか
ないかもしれないが、
「生きていてよかった」
と思う夜がある。
一度でもそういうことがあれば、
その思いだけがあれば、
あとはゴミクズみたいな
日々であっても生きていける。

もしも自由があるとしたら、それはとても不自由なものだと思う。
肝心なのは、想う相手をいつでも腕の中に抱きしめていることだ。ぴたりと寄りそって、完全に同じ瞬間を一緒に生きていくことだ。二本の腕はそのためにあるのであって、決して遠くからサヨナラの手をふるためにあるのではない。

これらの言葉は中島さんの名言集の中からとってきたものですが、中島さんは特選明るい悩み相談室という本を書いていて、これが非常に面白いのでご紹介をしておきます。

ここからは私の意見なのですが、彼は弱い立場から自分自身に語りかけるようにこれらの言葉を紡いで行ったのではないかと思うのです。

決して完璧な人が完璧でない人に語りかけるのではなく、同じ苦しみを理解する中島さんならではの観点から様々な言葉を発しているように思えて仕方ありません。

だからこそ人生相談は非常に明るくて、出来ないことがあることに絶望をせず、希望を見出していくために読める本です。
聖人が書くお悩み相談よりも、よほど説得力があると思うのは私だけではないはずです。

事実、彼の本はどの本も非常に高評価で、多くの人の希望の一端となっていることが分かります。

もし人に言えない悩みがあったら、中島さんの回答に触れてみて下さい。きっと心が軽くなるかと思います。

最後に

非常に脆い人間であった中島らもさんですが、残念ながら2004年に、52歳という若さでこの世を去っています。

彼の生き様は人間そのものであり、また人間の不完全さを詰めたような魅力的な生き方でした。

生きているとどうしても完璧を求めてしまいがちですが、時には自分の不完全さを楽しむということもまた良い人生なのではないでしょうか?

この記事を読んでくれた方が中島らもさんの生き方に触れ、AIには表せないような人間の魅力とは何か、考えるきっかけとなってくれれば幸いです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

頂いたサポート代を全てうまい棒に変換し、1年後にnoteで写真公開することを目論んでいます。