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わたしのこころを掬うとき

クラスの人気者で、誰からも好かれる性格。綺麗な顔立ちで、思いやりのあるやさしい心の持ち主。運動もできるし、勉強もできる。服装もトレンドをしっかり抑えたお洒落さん。それに加えて、古着をMIXした独特な服装もお洒落に着こなす。他人の悪口も決して言わず、言いたいことは相手に直接言う派の彼女。

非の打ち所がないあなたは、同性だけでなく、異性の友達も多い。そんな私は彼女と正反対である。顔が可愛くなければ、やさしい心の持ち主でもない。運動音痴で、勉強の成績は下から数えたほうが早い。化粧を落とさずに寝落ちする日もあるし、すっぴんで平気で街を歩く日もある。きっと私には美意識が足りないのだろう。

彼女はおそらく人がいないところで、努力をしている。「彼女は朝6時にadidasのランニングウェアを着用し、AirPodsを耳に着けて、ランニングをしている」という話を、どこかで聞いたことがある。颯爽と走る彼女は、きっと街に彩りを加えている。小鳥は唄うし、木々たちも喜びを隠せないだろう。朝日は綺麗に街を彩り、彼女は街に希望を与える。なんて素晴らしい絵なんでしょうか。

そして、街を歩く異性は、彼女の素敵さにころっと落ちる。彼女の手にかかれば、ほとんどの異性はお手のものだ。私が街をランニングしていたとしても、誰も気づかず、ただの風景と化すだけ。私に他人を感化させる力はない。

彼女にあって、私にないものがあまりにも多い。

私のほしいすべてを兼ね備えたあなたに、私はなりたかった。どう足掻いても私はあなたになれないし、あなたも私になれない。その事実が私を苦しめ、少しの安堵を飄々と連れてくる。

ないものねだりだとわかっていても、ないものねだりをしてしまうのが、私の悪い癖。いや、人間の悪い癖だ。ないものねだりをしない人間など、この世にはいない。誰もが同じ悩みを抱え、今日もまたどこかで苦しんでいる。私もその誰かのうちの1人でしかない。そうにちがいない。

「誰か」なんて抽象的な言葉で、じぶんを庇うのが私の悪い癖。きょうもまた主語を大きくして、またじぶんを庇った。じぶんの身を守るのは大事だけど、私のそれはあまりにも度が大きすぎる。でも、じぶんを庇わなければ、私は私じゃなくなってしまう。心の平行線を保つために、私が私であるために、きょうも私はじぶんを庇い続けている。

人の良いところを、見つけるのが好き。嫌なところはなるべく見たくない。でも、人の良いところを、羨ましく思ってしまうこの醜い性格は変えたい。じぶんの醜さと出会う度に、私の嫌な部分が露呈する。光の見えないトンネルを、彷徨い続けている獣が私だ。獣は結局獣にしかなれない。とはいえ、じぶんを変えようと決心したところで、また昔の私に戻るだけ。

昔のじぶんに戻った事実。そして、変われなかった事実が私を襲うぐらいなら、私は変わらなくても良いのかもしれない。変われなかった私と変わることに成功した私。後者の私のほうが素敵だとわかっているけど、勇気が出ない。

部屋に置いてある全身鏡。そして、鏡の前に映るじぶん。見たくもない容姿に見たくもない表情。手足も短いし、体格もモデル体型とは程遠い。でも、私は私が嫌いなわけではない。こんな私にも、良いところはある。私は人をすぐに羨んでしまうこの醜い性格が嫌いなだけだ。

じぶんの良いところを見つけてあげたほうが、幸せになれる確率は上がる。幸せになりたい。でも、じぶんを見つめ直す勇気はない。じぶんを肯定してくれる人がそばにいれば良いのに。ほらまた他人のじぶんの人生を委ねた。まずは、他人にじぶんを委ねる癖を、直さないといけないね。

変わりたい、変われないの繰り返しの中で、私は少しずつ変化ができるのかな。もしそうだとしたら、一喜一憂しているこの時間は無駄ではない。いつかきっと私もじぶんを好きになれるにちがいない。

鏡の前のじぶんを好きになりたい。私が私の心をいつか掬ってあげたい。そして、いつの日か胸を張って、じぶんを「好き」だと言える日が来るといいな。

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