君という名の恋に溺れて

冬の星降る夜に君は去った。2人が別れてしまった原因を考えたところで、100対0でこちらが悪いから、もうどうすることもできなかったんだよ。

取り返しのつかない失敗。なんて思っていたんだけど、不満の積み重ねがとうとう爆発してしまった感じなんでしょう。不満を一切口にしないところが君の嫌いなところだよ。

一体何を変えれば良かったんだろうね。背伸びをした恋愛はいつも続かないし、追いかける恋愛はいつだって続かない。今思えば釣り合っていない恋愛だった。だってどうして君みたいな素敵な人が自分を選んだのか不思議で仕方なかったんだから。

君の「たった1人」から、ただの1人へ。ただの1人になると楽だね。君が嫌な思いをするかとか何にも考えなくていいんだもん。

でも寂しさが突然やってくることは未だに慣れないところなんだよ。どっちが良いって聞かれたら、迷いなく君と一緒にいる方が幸せだと答えてしまうよ。

誰かの「たった1人」になるのはとても幸せなことで、好きな人のそばにいるということが何よりも幸せなこと。好きな人が自分を好きになってくれるという奇跡をどうして大切にできなかったんだろう。

奇跡の連続の刹那に君という好きな人に溺れて、君と向き合うことができなくなってしまっていたんだよ、ごめんね。

青春なんて言葉で片付けるにはもったいない恋。2人は幸せだった。

君と私のすれ違い。いつの間にか合わない部分ばかりに目が向くようになる。相性が悪かったって言ってしまえば楽なのかな。最終的に取り返しのつかない恋愛になって、はいもうさよならばいばい。

2人で青春を謳歌していたあの頃。「君=青春」だと言っても過言ではないほど私の青春はまさに君だった。

でも終わってしまった青春に、感傷に浸れるほど今はまだ大人じゃないから今はまだ感傷に浸っても良いかな。いつか忘れることができるのかな。また君と会った時も笑顔で手を振ってあげられるのかな。

2人で1つのマフラーに包まりながら見た夜景。夜中の高速道路で君と聞いた音楽。君とよく聴いた思い出の音楽はもう聴きたくない音楽に。不意にiPhoneから流れると次の曲にすぐ切り替えてしまう弱い僕。

コードが付いたイヤホンで君と横並びで聞いた音楽の情景がそっと顔を出す。横でクシャッと笑う君が好きだったし、いつまでもその笑顔を見ていたいなと思っていた。

でももう私の視界には君はいない 。いないというよりも僕が勝手にいなくなってしまったからどうしようもないんだよ。私はいつまでも守りたいと思っていた君を最後に悲しませたんだろうな。

あなたに最低なことをした。それは自分が1番良くわかっている。

そして、君との別れは私が選んだ。

出会いは偶然に。別れは必然だったのかもしれない。少しずつ育てた愛は歪な形を生み出し、2人の手には負えなくなってしまったから、幸せごと手放してしまったんだよ。

終わることなんてないと思っていた恋。突然エンドロールを迎えた恋。

いくら2人であがいてもハッピーエンドにはならなかった。君の未来に私がいなくなり、私の未来に君がいなくなっただけのこと。ただそれだけのことなのにこんなにも胸が切なく、愛しくなってしまうのはなんでだろうね。

うまく噛み合っていた歯車は、やがてギシギシ鈍い音を立てるようになり、最終的に歯車は噛み合わなくなったんだよ。2人の恋が終わる。それでも世界は回り続けるから、せめて今日ぐらいはさ、空気を読んで欲しかったよ。

なんで自分の心に蓋をして、自分の思いと向き合わないようにしていたんだろうか。自分と決して向き合わずに自分を殺し、いつの間にかそんな自分が嫌になり、私は最終的に君との別れを選ぶことになる。

私は自分の身が可愛いかっただけの実に哀れで愚か者である。

君と私を天秤に掛けて、私は自分を選んでしまっただけ。

私にもっと器量があれば、君と一緒にいるという選択ができたのかもね。

君と出会った春。君と恋に落ちた夏。君と向き合えなかった秋。君と離れ離れになった冬。過ぎ去った季節が無情にも私の感情を鈍感にした。

ついに出会ってしまった春。夏のように燃え上がった2人。少しの暑さを残しながら徐々に冷えていった秋。凍え切った感情に取り返しのつかなくなった冬。

私の感情が鈍感になってしまったのか。それとも君の嫌な部分が露呈して、君を愛せなくなったのか。きっと両方なんだろうな。私の気持ちは冷めてしまったのは事実なんだから。

好きという感情がわからなくなってしまったいつかの午前一時。もし君の取扱説明書があれば、君のことを愛し続けれたのかもしれないけど、恋愛にはマニュアルがないし、もしも攻略本があれば、離れ離れになる前に回避していたことだろう。

2人で少しずつお互いのことを理解しあって、歩みを共にしていくのが理想の恋愛。愛には答えがないし、思い通りには進まないのが恋愛のセオリー。

君は何にも悪くない。別れを選んだ私が全部悪い。

君の「たった1人」から、ただの1人へ。
そして、私の「たった1人」からただの1人へ。

悔いしか残らない恋愛よ、さようなら。

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