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自堕落を抱えて夜を駆ける

夜と悩み事の相性は最悪である。ただでさえ疲れ切っている体に悩み事を持ってくるなど、はっきり言って正気の沙汰ではない。それに夜の悩み事はほとんどが解決に至らない。そんな周知の事実を知りながらも、人々はその禁忌を簡単に犯してしまう。

マイナスからマイナス。もしくはマイナスが0にも戻る。プラスになることなど一切ない。もしもプラスになるのであれば、もうそれは自分の中で答えが出ている場合である。答えが出ている悩みに対して時間を費やす行為は、はっきり申し上げると時間の無駄でしかない。それなのになぜか夜になると自身が抱える悩み事について考えてしまうのはどう考えても人間の性である。

夜と悩み事。もしかするとこの相性最悪の組み合わせには麻薬的な効果があるのかもしれない。いい作用をもたらすのであれば喜んでその禁忌を犯すのに、起きる作用はいつも碌でもないものばかりだ。よって、夜の悩み事はやはり有益とは呼ぶべきではない。

夜に悩み事をする人は時間に余裕がある人、つまり暇を持て余している人だという説がある。これが真ならば、自堕落の結末が夜の悩み事を考えるに至るのかもしれない。

いつだって夜の悩み事は万事解決しないものだ。それどころか傷口をさらに広げるような行為であり、幸せから自ら遠ざかる行為である。善良な人間であれば、悩み事は日中に行うものだ。そして、次の日に備えて夜はさっさと眠りにつく。

とはいえ、人間はダメと言われたものに、好奇心を燃やす生き物である。我々夜の民は夜にこそ真価を発揮する生き物なので、ともすれば夜に暇を持て余した瞬間に、綺麗に生きることを潔く諦めて、自堕落を抱えて夜を駆けてしまえばいい。そして、朝日が昇った瞬間に、悩み事が解決しなかったその事実に後悔してしまえばいい。そのような救いようがない地獄を自ら選ぶ時間を過ごすのも人生の一興。だからこそ、どうしようもない夜を過ごした同士と私は仲良くなりたい。

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眠れない夜に

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