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読書感想文 『恋とか愛とかやさしさなら』

【恋とか愛とかやさしさなら】



あなたが恋している人、愛している人、やさしくしている人はどれだけいますか。そして、その人たちのことを心から信じることはできますか。



この作品を読んで、信じることが恋とか愛とかやさしさと比べて、与える影響力の強さに衝撃を受けた。




日常において、いちいちこの人は信用できるとかできないとか考えていることはまず無いだろうけれど、(ないよね?)恋だったり愛だったり、やさしさだったりの思いやる感情であれば身近にあるだろう。(あるよね?)この思いやる感情の土台はひとつの考えとして信用なんじゃないかと、思った。



たったひとつの過ち、たった一回の行為によって、こんなにも簡単に人間関係が崩れるのかと思うと本当に恐ろしい。
(決してホラー小説ではないけれど)



また、証明できないものほど許されるのが難しい。もしもこの話が、次は絶対に起こらないと証明できるものであったなら、2人の関係はこんなにはならなかっただろう。心理的なものは、いくら自分の中で変わったと確信していても、相手には伝わりにくいものである。言葉だけで信じてもらえるものであれば、どれだけの人が許され救われるだろうか。



現代には、名前が付いてないとか、法律で定められてないとか、そんな理由で罪にならない行為が山ほどあるんだろう。そのせいで悩まされているひとはそれ以上いるんだろう。
それを軽々と想像できてしまう小説であった。だからこそ新夏はあれ程までに思い悩まされていたし、莉子はあんなにも慣れてしまっている。



より多くの人が、この小説に向かい合えばいい。




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