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オーケストラの楽器たち 木管楽器編

この世界には様々な楽器が存在していますが、ここではオーケストラで一般的に使われる楽器の特徴を紹介していきます。

1 フルート、ピッコロ


フルート

木管楽器の中で楽器を横にして演奏するフルートオーボエクラリネットなど楽器とは違いリード(木の薄片のようなもの)と呼ばれるものを使わない楽器です(エアリードといいます)。他にエアリードを用いた楽器は、オカリナや皆さんも一度は演奏したことのあるリコーダーが該当します。

オカリナ
リコーダー

フルートの音域は以下の通りです。 

フルート音域

最低音はC4ですが、H足管部というものを使用すれば半音下のB3の音まで出すことができます。

表情豊かな楽器で明るい雰囲気も、もの哀しい雰囲気も出すことができる楽器です。また独奏楽器としても用いられ、協奏曲や室内楽でも使用されます。

低音域では曇った暗い音が特徴で、このくぐもった音色を利用して作品を特徴づける効果もあります。

ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲(Prélude à "L'après-midi d'un faune)』やフォーレの『パヴァーヌ(Pavane)』では冒頭でフルートの低音を活かした旋律が現れます。


そしてフルートを半分ぐらいのサイズにしたピッコロという楽器があります。

ピッコロ

オーケストラの中でも最高音域を担う楽器で、オーケストラのすべての楽器が鳴っている場合(トゥッティ)は、木管楽器は埋もれがちになりますがピッコロはそれでもしっかりと聞こえてくるほど、輝かしい音色を持っている楽器です。その特徴ゆえか、独奏楽器としてはあまり使用されることはありません。

独立してピッコロのパートある作品、第2フルート奏者が持ち替えで使用する作品などがあり、それらは作曲者の管弦楽法によります。より大きい編成のオーケストラではピッコロのパートは独立していることが多いでしょう。

音域は以下の通りです。

ピッコロ音域

ピッコロは移高楽器と呼ばれるもので、実際に出ている音は楽譜に書かれた音より1オクターヴ高く鳴っています。

ピッコロ実際の音域

これだけ高い音が出るのですから、音が埋もれないというものも納得ですね。

他にもアルトフルートバスフルートといったフルート族の楽器がありますが、これらは未だにオーケストラの定席は得ていません。アルトフルートは近代、現代の作品では使用例がいくつかあります。

アルトフルート
バスフルート

また古楽器を使った演奏ではフルラウトラヴェルソというものが使われます。

フルラウトラヴェルソ

こちらはD管楽器であるため、必然的にシャープ系の作品(ニ長調など)に用いられます。またD管楽器ではありますが、記譜は実音で書かれます。

昔はフルートというと今のリコーダーをさしており、トラヴェルソ(横向きの)という単語を付けて区別していました。

2 オーボエ、コーラングレ

オーボエはオーケストラの歴史の中でも初めてオーケストラのに入った管楽器だそうです。ダブルリード(リードを2枚重ねている)属の楽器です。こちらも独奏楽器としての使用も多いです。

オーボエ

音域は以下の通りです。

オーボエ音域

他の木管楽器と比べると若干表情に乏しい部分があります。しかしその均一的な音色でも様々な情景を描くことができます。長らくオーケストラに参加していることもあり、バロック期から現代まで幅広く色々な作品に用いられています。

チャイコフスキー交響曲第4番第2楽章では冒頭でオーボエのソロがあります。


オーボエ族で次に使われる楽器がコーラングレ(イングリッシュホルン)です。

コーラングレ

オーボエより低い音を担当する楽器で、実質アルトオーボエと呼んでも差し支えないでしょう。こちらも第2オーボエ奏者が持ち替えをする、あるいは独立したパートが存在するの2パターンがあります。

音域は以下の通りです。

コーラングレ音域

コーラングレへ調の移調楽器ですので、実際には楽譜に書かれた音より完全5度下の音が鳴ります。

コーラングレ実際の音域

すなわちオーボエと同じ指使いでドの音を吹くと、実際になっている音は完全5度下のファの音が鳴っているということになります。

移高楽器と移調楽器をまとめると、
移高楽器オクターヴ単位で移調して表される楽器群です。
先程のピッコロは楽譜に記載されている音より、1オクターヴ高い音がでます。コントラバスは楽譜に記載されている音より、1オクターヴ低い音がでます。

例えばチェロと同じ楽譜で演奏すると、コントラバスは1オクターヴ低く音が出ているので、常にオクターヴで演奏される効果を出せます。

他にはグロッケンシュピール(実際には2オクターヴ高い音が出ている)やチェレスタ(実際には1オクターヴ高い音が出ている)などがあります。

移調楽器は簡単にいえばオクターヴ単位ではない音程で移調している楽器群と言えるでしょう。
先程のコーラングレではへ調の移調楽器なので楽譜に書かれている音より完全5度低く音が出ます。

ホルンはコーラングレと同じへ調の移調楽器で、トランペットは変ロ調移調楽器です。楽譜でハ長調の音階が書かれているものをトランペットが吹くと、実際には長2度下の音が鳴りますので、実際に聞こえる音は変ロ長調の音階です。

さて話をコーラングレに戻しますが、この楽器は中音域を活かした方が特徴を活かせますので、あまり高音域の多用はしない方がいいと思います。
コーラングレが活躍する作品はドヴォルザーク交響曲第9番第2楽章があります。(0:45~から

オーボエ、コーラングレ両者が活躍する作品としてボロディンの『ダッタン人の踊り』があります。(0:48~から)


他にはバスオーボエや古楽器で使われるオーボエダモーレがあります。

バスオーボエ


オーボエダモーレ

3 終わりに

長くなりましたのでここで一区切りとします。
次回はクラリネット、ファゴットを紹介します。

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