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交響曲第5番の不思議

ベートーヴェン(1770~1827)以降の作曲家で5番目の交響曲というのは何故か名作がそろっている。不思議なことですが。

5番というのは作曲家にとって非常に脂の乗った時期に差し掛かっていることが多いので、作曲家それぞれの作曲語法が花開くときなのではないかと思います。

ベートーヴェンの交響曲第5番は皆さまご存じの『運命』と言われている作品です。

この時期はベートーヴェン作曲時期中期にあたる部分で他にも交響曲第6番『田園』ピアノ協奏曲第5番などが生み出されていた時期です。

この作品は交響曲で初めてピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンが使われた記念碑的作品でもあります。以後これらの楽器がオーケストラにおける定席を得たのもベートーヴェンの功績でしょう。

ロマン派時代においては交響曲の大家と知られる、ブルックナー(1824~1896)マーラー(1860~1911)の第5交響曲も歴史的な傑作でしょう。

ブルックナーは交響曲を10作品以上遺されていますが、この第5番は特に対位法を取り扱っている作品だと思います。フィナーレにはフーガが組み込まれており、音楽的には複雑なものですが力強い構成により人気のある作品です。

マーラーの第5番は2、3、4番と続いた声楽付き交響曲から純器楽作品へと戻った作品です。マーラーの交響曲はそのほとんどが演奏時間1時間あたりを要求することから、決して聞きやすい音楽ではありませんがこの第5番そこまで複雑な構成をとらないので彼の作品の中では演奏回数も高いでしょう。

チャイコフスキー(1840~1893)プロコフィエフ(1891~1953)ショスタコーヴィチ(1906~1975)の第5交響曲も有名でしょう。

チャイコフスキーの第5番は後期と呼ばれている4、6番とともに非常に演奏頻度が高い作品です。個人的には彼の交響曲の中では一番演奏されているのではないかと思います。第1楽章の冒頭の主題が全楽章に渡って表れており、非常に統一感のある作品となっています。

プロコフィエフの5番は作品番号100ということもあり、彼も非常に力を入れて作ったと勝手に思っています。親しみやすい旋律とプロコフィエフならでは不協和音がふんだんに盛り込まれた作品です。

ショスタコーヴィチの5番は彼の作品全体の中でも高名な作品です。当時はソ連による批判を受けていたため名誉挽回のために作ったとされています。彼がどのような思いでこの作品を作曲したのかについては色々と証言が遺されていますが、未だに議論が続いています。作品は全楽章短調で書かれているため全体的には重い作品です。

また現在は第5番と番号付けされていませんが、メンデルスゾーン(1809~1847)の交響曲第3番は5番目に作られた作品で彼の交響曲の中では演奏回数も多いです。

現在は交響曲第9番と知られているドヴォルザーク(1841~1904)の『新世界より』は出版当時は第5番となっていました。

多少無理やり感は否めませんが実際に作られた順番、出版時の番号なども含めれば結構名作がそろっている気がします。

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