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+IV7の和音、-IIの和音 一歩進んだ和声学 Part 25

今回は+IV7の和音と-IIの和音を学びます。

1 +IV7の和音

短調において、上方変位されたVI音(↑VI)を第3音としたIVの和音を用いることがあります。これをドリアのIVといい、+IVと表記します。

+IVの和音は三和音、7の和音、7の和音根音省略形、9の和音、9の和音根音省略形がありますが、もっぱら使われるのは7の和音である+IV7の和音です。

+IV7の和音は4つの低音位をもちます。

基本形に限り、第5音を省略し根音を重複させることができます。

各低音位の上3声の適切な配置は以下の通りです。

+IV7の和音はS和音であり、後続和音はD諸和音となります。しかしI2‗V(7)の和音に進むことはありません。

+IV7の和音の第3音は2度上行第7音は2度下行します。

以下のような連結の際には、+IV7の和音の第7音を2度上行させることができます。これにより適切な配置へと導けるからです。

+IV7の和音→V9の和音根音省略形の連結の際は、+IV7の和音の第3音を2度上行させずに増1度下行させます。

先行和音→+IV7の和音の連結の際は、+IV7の和音の第7音の予備が必要ありません

2 -IIの和音

こちらも短調において、下方変位したII音(↓II)を根音とするIIの和音を用いることがあります。これをナポリのIIといい、-IIと表記します。

長調において、その同主調の-IIの和音を借用することができます。

この和音は第1転回形で用いられることがほとんどです。
最適な配置は根音高位の密集配分です。

-IIの和音もS和音のひとつで、後続和音はD諸和音に進みます。後続和音はV(7)の和音、I2‗V(7)の和音、V7またはV9の和音第3転回形(根音省略形含む)が主です。この連結の際は半音階的関係をなす2音は同一の声部に置かずに、上3声をすべて下行させます。ただしV9の和音第3転回形根音省略形の場合はVI音を保留します。

〇-IIの和音第1転回形は同じS和音である〇vV9の和音根音省略形第1転回形(第5音下方変位を含む)に進むことができます。

3 終わりに

さて、いよいよS和音で学ぶことも終わりに近づいてきました。次回はIV+6の和音を学びます。

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