私情をはさんで、この夜を抜けて
ポケットの中に素敵な街がある
ずっと夢に見ていた素敵な街が
両手をそこに雑に突っ込んで今
この時だけの夜の街に恋をする
出穂した稲を星空の下で眺める
あたりでは盆の花火大会も終幕
浴衣の袖に流れてく汗が目尻を
くすぐっては眩しい濃紺の衣装
僕のポケットに銀河の街がある
歩道は少しばかりの砂利と星屑
メロンソーダを片手に揺らして
鈴が鳴る草履を得意気に振って
詩情をはさんでこの街を抜ける
髪飾りが跳ねる先に数多の星々
戸惑った表情を亜麻色の頭巾で
彩って何度もこの夜で再会する
変わりゆく季節に芒で夢を描く
舞った穂達が金色に混ざりゆく
あの街の摩天楼も敵わない様な
ポケットの田園風景素敵だな素
振りも見せずにキスをする君の
円い瞳を見ているこの世の限り
裸足で両手を突っ込んでは滾り
また星屑が散っていく夜金色の
三重奏
稲穂 芒 星屑
唇 花火 草履の音
右手 お守り 百合の花
終わらず
雲 湿気 約束
午後の波 銀のうねり
帯紐 汗肌 ひとすじの光
私情をはさんで、この夜を抜けて
ポケットの銀河でまた旅に出るのです
失敬
酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。