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【居抜きは難しい】飲食店経営の成功ノウハウ!最低限必要な知識その1

突然ですが、「経営の数字」読めますか?

フグなど特殊な食材を取り扱う場合を除いて資格は不要で届け出1つで始められるとあり、参入障壁はとても低い飲食店経営。

その一方で、もはや【技術】と言っても過言ではないくらい黒字にするのが難しい部類に属するものとも言われていますが、やれる事は全部やったと言い切れますか?

居抜きの物件を探そうにもなかなか良い案件が見つからないのが現実だと思います。

料理自体は家庭の主婦でも出来るので、家庭を切り盛りしている世の女性が安直に飲食店を立ち上げようとするケースが後を絶ちませんが、そんなもんで上手く行くなら誰も苦労しません。


もくじ

1 誰もやってない事をやれ
1.1 牛丼屋、カレー屋、天ぷら屋、鰻屋、ラーメン屋、イタリアンetc……
1.2 あの人が上手く行ってるから私も!は間違い
2 ランチ営業の原価、把握してますか?
2.1 ランチをメインにするなら移動販売か弁当屋の方がマシ
2.2 原価率を考えると馬鹿馬鹿しい
2.3 昼用のメニュー表なんか用意するな
3 大手チェーンの真似をしたら即死する
3.1 絶対条件を崩すな
3.2 安いものを求めて来る客を拒め!!!!
3.3 粗利益そのものが不十分だったら全てご破算になる
3.4 モノポリーを思い出して?
4 魚介より肉や卵を選べ
4.1 肉や卵の消費期限は長い
4.2 人件費は絶対に掛けるな
4.3 人件費を掛けずに大量の客を捌くには


誰もやってない事をやれ

牛丼屋、カレー屋、天ぷら屋、鰻屋、ラーメン屋、イタリアンetc……
地方で長~い直線の国道を車で走っていると、カレー屋さんが一軒だけポツンとあったりしますよね。

駐車場さえ確保すればトラックの運ちゃんや母ちゃんと娘に汚物扱いされて家に帰りたくない中年男性の溜まり場になること間違いなしです。

私だったらそこでよく浸け込んだ厚切りの豚肉の生姜焼きやじっくり煮込んだ牛丼、肝和えにしたカワハギの刺身定食なんかをやって奴等のキンタマをガッチリ鷲掴みにします。

しかし考え方は単純で、個人でやってるような小さなカレー屋がどうにかなるなら基本的には同じように安い早い旨いの小さな牛丼屋もどうにかなるわけです。

回転寿司は個人にはちょっと難しいかもしれませんが、とどのつまり「今日はカレーの気分じゃない」という見込み客を掴めばいいわけですね。

誰もやっていないことというのは何も奇抜なことというわけではなく、隙間を狙って行きましょうというお話です。

あの人が上手く行ってるから私も!は間違い
当たり前ですが、店の利益は経済圏の規模に応じたものになります。

以前「マクドナルドが名古屋駅の周辺に7店舗もあった」という話を聞いた時は仰天しましたが、イタリア料理店や和食屋、焼き肉店、ラーメン屋など、同じような店が近所にいくつもあったら売り上げは分散してしまいますよね?

ただでさえ分散された売り上げを奪い合っているのが現状というのに、また新しい似たような店が出来たらどう思いますか?

私だったら戦々恐々として気が気じゃなくなるでしょう……さっさと店売り払って逃げたい(笑)

飲み屋街のように、出店エリアは産業クラスター化した方が客足は稼げますが、来る客の数や消費に回る金額が頭打ちになればそれ以上は何も望めません。

こうなってしまうと潰し合いになるか共倒れになるわけですが、どこそこの店が潰し合いをしているという噂を聞けばそれだけで客足が遠のくリスクもありますね。

ランチ営業の原価、把握してますか?

ランチをメインにするなら移動販売か弁当屋の方がマシ
東京都心にはそれなりの所得者層が住んでいる事が想定出来ますが、居住人口が少ないのも事実です。

この事実をもって手堅く平日のランチ営業でやって行こうとするレストランもあるかと思いますが、私はこんな方策は意味の無い事だと思います。

ランチを1,000円ワンプレートでやるなら原価は200円以下を目指さねばなりません。

原価の平均が3割と言われている飲食店において、ランチで経営を成り立たせるためには並みの原価率ではやって行く事は出来ないでしょう。

「夜の営業に繋げるためのランチ営業」なんて言い訳に過ぎず、実際は「夜売れ残ったものを昼に捌く」というのが現実なのです。

原価率を考えると馬鹿馬鹿しい
昼に捌く売れ残りのお買い得な商品は、そもそも夜の営業のために仕入れた魚介や肉ですから、それなりに原価の高い商品であったりします。

古くなれば売り物にならないのは当然の話ですが、古くなったものを安値で仕入れるならともかく、高値で仕入れたものが古くなったから安く売るというのは経営としては最悪だというのは言うまでもありません。

始める前に理解していれば絶対にやらないような事でも、始まってから知ったのでは「いいんだよいいんだよ」なんつって私の話に聞く耳持とうとしないのが無学無教養且つ不勉強な飲食店経営者の行動学なのです。

皆さんは絶対に真似してはなりませんよ?マジで。

あと、そんな経営者や料理長を雇っちまったら今すぐクビにする事を考えましょう、オーナーは。

さてはて、だったら最初からディナーで出すアラカルトを厳選して昼のランチで提供すればいいじゃないですか?

在庫の回転率が上がれば廃棄率が下がるんですから、最初から昼にも出す事を想定した原価率の低いメニューを考案しておけば良いのです。

昼用のメニュー表なんか用意するな
「美味しそう~Aランチ、Bランチ、Cランチ、どれ選ぶ?」

って、夜の営業に繋げたいならディナーのメニューを昼に見せなきゃ意味がないでしょ?!

店先の看板に分かりやすく「A、B、Cから選べます」と書くのはいいにしても、「ランチのお客さんが料理を待っている間に手持無沙汰で観るものはディナーメニューでなければならない!!」というのは分かりますね?

メニュー片付けちゃうとかアホですか?

ユーザビリティを追求し過ぎて店の利益を棄損するような経営は意味がありません、今すぐ考え直しましょう。

お客様との「ビジネス=取引」は料理を提供する前から始まってるんです。

経営はボランティアじゃねぇんだよ!

大手チェーンの真似をしたら即死する

絶対条件を崩すな
小資本の中小企業が生き抜くために必要な絶対条件があります。

「安いものを高く売る」

これ、頭じゃ分かっていても現金収入が欲しいあまりに採算度外視で安売りを始める経営者が少なくないのですが、それをやったら確実に詰みます。

あ、そうそうこれ以外にももう一つありました。

「高いものをもっと高く売る」

ま、似たようなもんですね。

とはいえ売れなきゃしょうがないので、評判が一人歩きしてくれるミシュランの星付きシェフでもなければ「高いものをもっと高く売る」というのはなかなか難しいでしょう。

しかし薄利多売は地獄の連鎖ですハイ。

何故、薄利多売が地獄の連鎖なのかを説明しますね。

安いものを求めて来る客を拒め!!!!
原価の高い料理を安売りしました、お客さんが増えました、あなたはハッピーですか?

まぁ普通に、厨房もホールも死ぬほど忙しくなりますね。

という事は人手が必要になるんです。

売り上げが下がると高い食材に投資してしまった現金の回収が滞るので、広告をストップする事は出来ません。

利益というのは売上高から商品原価を差し引いて残った粗利益から捻出されます。

もっと言えば、粗利益から水道光熱費、家賃、従業員や社長である貴方自身の給与などが支払われ、残ったものが営業利益≒税引き前純利益なのです。

そこから税金を支払って、ようやく内部留保として社内に積み立てておける税引き後の綺麗な純利益を確保出来るわけです。

粗利益そのものが不十分だったら全てご破算になる
安売りをして売上が上がっても粗利益自体が少なかったら、上記で列挙した費用を全て払うどころか、足りなければ経営者自身が貯金を取り崩して店に貸し付ける形で支払う事になりますよね?

お客さんがどんなに来ても家賃は変わりませんが、水道光熱費は客数によって変動し、人を雇えば人件費も増すことになり、従業員の給与を優先させると経営者自身の給与はゼロにせざるを得ない、なんて事にもなりかねません。

どうですか、ヤバいでしょ?(笑)

自分の給与がゼロとか「オレ、一体何のために飲食店経営してるんですか?」って事になります。

だから原価そのものが低い食材である、臓物や鶏皮のようなホルモン、マグロのカマやテールなどを主体とした居酒屋が増えるんですね。

当然、大手は中小企業をブッ潰してあぶれた客を掻き集めるために、価格を限界まで安く設定します。

こういうやり方を【規模の経済】と言うのですが、そもそも規模が小さい店がこんな事をやろうものなら利益など出るはずがありません。

モノポリーを思い出して?
ちょっと刺激的な物言いにビックリされたかもしれませんが、私は当たり前の事を申し上げたまでです。

モノポリーはなかなか的を射たものでして、【他のプレイヤーを破産させて安く売り出された不動産を自己資金で購入してリッチになるゲーム】なんですね。

最後まで勝ち残るためには全てのプレイヤーを破産させたり、破産するまでお金を吐き出さず溜め込みながらひたすら待つこと。

そして日本の法律は企業経営者に対し、善良なる管理者の注意義務・忠実義務という【オーナー=会社の所有者=株主の利益を最大化する義務】を負わせています。

だからイオンだのワタミだのは容赦しねーんですね。

そもそも資本主義というのは日本のものではなくアメリカの輸出品であり、この考えを導入して国際競争に晒されちまっている時点でアメリカのルールで戦う!というのがあるべき経営者の姿なのです。

というわけで、面倒臭がりな大手企業の選ばない「どうにかこうにか安いもんを高く売るか、高いもんをもっと高く売ってガッツリ儲ける!」という方針こそが資本弱者の採るべき戦略なのです。

魚介より肉や卵を選べ

肉や卵の消費期限は長い
一般論的な話になってしまいますが、古くても味がそれほど変わらないものと言えばオムレツでしょう。

オムライスやオムレツの専門店、あるいは卵かけご飯のお店ならいざ知らず、定食屋に付いて来るスクランブルエッグの味がどうだら文句を付ける客など居ませんよね?

あまり大きな声では言えませんが、卵はなるべく安いものを仕入れるようにし、足の速く歩留まりの悪い魚介よりも冷蔵庫の中でも熟成が進む肉類を主力商品にした方が賢いのは言うまでもありません。

もっとも、これはメインメニューの話なので、アルコールとお米やパスタのようなデンプン質を売りまくった方が経営的には旨味がありますが。

人件費は絶対に掛けるな
2人で回さねばならないところを3人も4人も雇っている放蕩経営の店をたまに見掛けますが、まぁまず赤字、いずれ必ず潰れるでしょう。

経営母体や本業が儲かっているからと趣味でやっているようなお店なんでしょうけど、自己資本で真剣勝負している周辺の店にとっては迷惑極まる話です。

「給与は上方に弾力的」と言われ、基本給は下げる事は出来ないから解雇する方針を採るしかなく、雇っている間は上がり続けるものだと経済学では言われます。

また、正社員を雇おうものなら保険料や諸手当、税金など諸々で「給料の2倍から3倍は経費が掛かる」と言われています。

昨今では人手不足で正社員の募集を掛けていたり、破格の月給を提示する店も少なくありませんが、人手不足だからこそ上手く行っていると言っても過言ではありません。

お店が利益を出すことに成功したら、それに応じてボーナスを支給して従業員に報るというのがあるべき姿なのです。

人件費を掛けずに大量の客を捌くには
「レンジでチン!」私が思うに、ハイクラスな料理をタイムリーに提供するにはこれしかないと思います。

グリルはコンロも人手も時間も確保する必要があるので、効率的にはあまり良いものではありません。

もう少し丁寧な言い方をすると「低温調理器を使え」という話になります。

つまり、予め作っておいた煮込み料理などを湯煎に掛けておき、注文が入ればアルバイトだろうがホールスタッフだろうが盛り付けのマニュアルを見ればすぐにサーブ出来る体制を作るべき、というわけです。

最新の電子ガストロノミーの世界では低温調理器は欠かせない調理器具であり、「フライパンの時代は終わった」と言われるほど。

生の食材を低温で調理するのも、ベストな状態に調理済みの食品を低温で熱してサーブする事も私は同じことだと思います。

そう考えると「煮込み料理」は単価を高く設定出来て、なおかつ人件費も不要、サーブも簡単と色んな意味で心強いですよね。

ちょっと長くなったのでその2に続きます。

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