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読書感想文的な 8

最近読んだ本まとめて。

『封印』黒川博行

著者の綿密な取材で、大阪の闇の世界──警察、暴力団、遊技業界の内幕を暴く傑作クライムストーリー。
ボクサー崩れの酒井は、恩人・津村のパチンコ店で働く釘師。ある日苦情に対応したが、以後査察や業者の取引中止が相次ぎ、何者かに身に覚えのない“物"を渡せと脅迫され、ついには津村が失踪する。大阪中のヤクザが政治家をも巻き込んで探している物とは何か。酒井は封印を破り、自らの拳をふるって立ち向かう。

黒川博行の本は映画的面白さ。紹介にもある通り、緻密な取材の上で描かれたストーリーは、現実的なようで遠い世界の物語のようで、読みごたえがあって好き。わたしはいつも人物の相関図を書きながら読む。笑
ただ『封印』は相関図なくてもよかったかな。黒川博行の描く強いけど弱くて、でも強い男の人大好き。(これは何度でも言う。笑)


『花の鎖』湊かなえ

両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供ができず悩む美雪。水彩画の講師をしつつ和菓子屋でバイトする紗月。花の記憶が3人の女性を繋いだ時、見えてくる衝撃の事実。そして彼女たちの人生に影を落とす謎の男「K」の正体とは。驚きのラストが胸を打つ、感動の傑作ミステリ。

これは正直途中でオチが読めてしまった。おもしろかったけど、感動はしない、かなぁ。湊かなえが描く人物、とりわけ女性は、共感できるけど共感したくないエゴイスティックな部分が描写されててすごいなと思う。見たくない現実は見たくないし、理解できるけど感情がそうさせないような他人の気持ちもある。


『キケン』有川浩

ときめきたいときの有川浩。今回はきゅんではないけれども。
青春を思い出したし、青春を振り返ったときの気持ちも、ああ~~~それ!!そういうことよ!!そうなのよ!!ってなった。
青春ってもう絶対に戻れないから、振り返るのがつらくなることがある。
今はもうあのころみたいにキラキラしてないような気がしてしまうと、過去の自分がまぶしくてなんかイヤだ。
毎日を楽しめてないような気がすると、意味もなく楽しかった日々が、今のわたしを追い詰める気がして怖い。
そういうの、できそこないになってしまった自分が悪いと思ってたけど、振り返るのがつらくなるほど楽しかった青春を過ごせてよかったと思えるようになりそう。

あと単純に、男の子たちの青春楽しそうでよかった。深く考えずに楽しい読書大切。


『十字架のカルテ』知念実希人

正確な鑑定のためにはあらゆる手を尽くす――日本有数の精神鑑定医・影山司の助手に志願した新人医師・弓削凛は、犯罪者の心の闇に対峙していく。究極の頭脳戦の果てに、影山が見据える未来とは。そして凛が精神鑑定を学ばねばならない理由とは……。

『プリズム』百田尚樹

「僕は、実際には存在しない男なんです」世田谷に古い洋館を構えるある家に、家庭教師として通うことになった聡子。ある日、聡子の前に、屋敷の離れに住む謎の青年が現れる。青年はときに攻撃的で荒々しい言葉を吐き、ときに女たらしのように馴れ馴れしくキスを迫り、ときに男らしく紳士的に振る舞った。激しく変化する青年の態度に困惑しながらも、聡子はいつして彼に惹かれていく。しかし彼の哀しい秘密を知った聡子は、結ばれざる運命に翻弄され―。

精神疾患について少し考えさせられた。
『十字架のカルテ』は医療ミステリーとしても読みごたえがあったし、『プリズム』は恋愛?ヒューマンドラマ?としても引き込まれた。

たとえば、精神疾患を抱えた人の犯罪に大切な人が巻き込まれたとして、「心神喪失」という理由で裁かれないことを、わたしたちは納得できるだろうか。
好きな人が心を病んで言動が変わってしまっても好きでいられるのか。もしくは治ったとしても別人のようになったその人を同じように好きでいられるのか。そもそも好きになった人格が存在するはずのないものと言われて納得できるのか。
どちらか1冊だけ読んでたら、またちがった感想だったような気がする。
物事は多角的に見ねばなるまいという教訓にもなった。読んだタイミングは偶然。

それにしても人間の脳みそ複雑~~~。
どう言葉にしていいのかまだちょっとわからないかんじ。
人類みんな心身ともに健康で生きられたら幸せだね。


『八日目の蝉』角田光代

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。偽りの母子の先が見えない逃亡生活、そしてその後のふたりに光はきざすのか。心ゆさぶるラストまで息もつがせぬ傑作長編。第二回中央公論文芸賞受賞作。

幸せってなんなのか。
悪いのは誰だったんだろう。
逃げて、逃げて、逃げのびてほしいと思ってしまう。
愛を持って育ててくれることって、あたりまえだと思ってたし、あたりまえであってほしいけど、本当にすごいことなのかもしれない。
八日目を生きのびた蝉は一体どんな景色を見るんだろう。
ほかの誰もが見ることが叶わない日であるなら、その景色が輝いていればいいなと思う。
おもしろかった以外に、みんなに読んでほしいと思った本。


『夏雷』大倉崇裕

ずぶの素人を北アルプスの峻峰に登らせる―。奇妙な依頼を受けた男に仕組まれた危険な罠!山を捨てた男の誇りと再生を賭けた闘いの行方は!?彼はなぜ槍ヶ岳を目指したのか?新たな歴史を刻む山岳ミステリーの傑作誕生。

Amazonのレビューわりと厳しめの評価だけど、わたしはけっこう好き。
めちゃくちゃ論理的で細部に全部こだわりまくるなら、楽しく読めないかもしれない。
わたしは分類的にハードボイルドが好きだし、山岳ミステリーっていう、ほかにあまりない設定が好きなのかも。笑
山の描写も好き。槍ヶ岳に登りたいとは思わないけど、槍ヶ岳の景色は見てみたいなと思う。



まとめて感想書きながら改めて思ったけど、わたしの読書には2種類ある。
ひとつめは、娯楽的な楽しさがほしくて、考え込むことなく楽しめる読書。
もうひとつは、読んだ後にちゃんと考える読書。
この本はどっちの目的で読むとか決めて読むわけじゃないから、読み終わるまでは、自分でもどっちなのかわからないけど。笑
あと考えたいなら新書とか読めばいいじゃんとも思う。笑
新書は卒業論文を書いたころから読んでないからブランクがすごい…

本読んで考え事すると賢くなったような気がするからとてもいい。
(この発想がバカっぽいことはおいといて。)

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