携帯電話のこちら側

こんな夜に
僕は部屋の灯りを消して
携帯電話の光を見つめていた

1ピクセルも動かない画面を眺め
変わることないアイコンを睨み
デジタル時計だけが過ぎていく

いつかの夜の
君から届いたメッセージを見つめ
吹き出しに隠れる意味を考えていた

1バイトも含まれない感情を求め
見つかることない希望を探し
既読のままの文字列だけが佇んでいる

否めない現実
離れられない想い
見つけたくない答え

僕の発する言葉の波は
もう打ち返ってくることなく
ただ流れて消えていく

まるで知らないうちの通り雨
あるいは夜中の豪雨

限定された光射す暗闇の中で僕は
手応えのない液晶画面に向かって
悪態をつく

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