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ようこそ、全てのエヴァンゲリオン。

明日「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開となる。キャッチコピーは「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」

「エヴァ」は物心ついた時には既にあって、社会現象だった。TVシリーズや劇場版はもちろん、コミカライズ、ゲーム、スピンオフ作品、ファッション…今まであまりに多くのものに触れてきた。だから、最後をイメージするのは少し難しい。

しかし、これは終わりであって始まりでもある。楽しみ方は無限大で、明日で「エヴァ」を読み解くための全ての材料が揃うということでもある。

好きな作品だからこそ、「エヴァ」を分かりたい。「分からないけど面白い」で済ませたくない。

だから僕は「エヴァ」が話題になると必ずネット上で出てくる、「初めて観た人、大丈夫。古参の俺・私たちも分からない」という声が正直苦手だ。

初めて観た人を引き摺り込まないでくれ。ファンを一緒くたにしないでくれと思う。「エヴァ」に限らず、エキセントリックな描写や、読者・視聴者に想像の余地を持たせてある作品はすぐ「分からない」「難解だ」と言われてしまう。

好きな作品だからこそ、そこで「分からない」と匙を投げたくない。自分が愛する、全てを事細かに描写するわけではない、想像の余地を残した作品たちについて、いつも分かりたいと思っている。

自分が出した答えが正解である必要はない。「正解」は、原作者の方々の中にある。しかしだからこそ、他人の言葉でなく、自分自身の言葉で答えを出すことに価値がある。それはある種の、好きな作品と作り手の方々へのラブレターに近いかもしれない。

他人のレビューや考察を見るのもいいかもしれない。しかし、それをさも自分の考えかのように語るのは、あまりに虚しい。大切なのは、自分がどう感じ、考え、答えを導き出したかだ。ミサトも言っている通り、「人のことなんて関係ない」。

なかなか答えを導き出せなくとも、そこにまだ考える余地が、考えたい余地があるのなら、何度でも観て、何度でも読めばいい。

「エヴァ」で言えば、庵野秀明総監督はじめ、スタッフが通ってきた作品からルーツを探ってもいいし、参加した作品を片っ端から観てもいい。過去のインタビューを読んでもいいし、神話から読み解いてもいい。各作品の公開当時の時代背景や世界情勢を調べてもいい。答えを出すための材料は無数にある。

明日からは、「エヴァンゲリオン」という作品を分かるための、更新され続ける楽しみが始まる。その全ての材料が揃う。

さらば、全てのエヴァンゲリオン。そして、ようこそ、全てのエヴァンゲリオン。

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