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僕の壮絶な高校野球人生No3


奇妙な雰囲気を感じながら、僕はその日無事に練習を終えた。

帰りの電車に乗り込んだ時、僕の頭の中ではこの一言がグルグル回っていた。

「野球部を辞めたい。」


家に着き、親に今日初めて体験した出来事を話そうと思っていたのだが、なぜか分からないが話すことができず、言えた言葉は、
「上手いやつめっちゃいたわ。俺も頑張らなメンバーになれへんわ」 だけだった。

次の日、


重い身体を頑張って起こしながら学校に行ってみると、少しみんながザワザワしていた。



何が起こったのかを聞いてみると、寮から逃げ出した人間がいるらしい。


僕は学校まで通える距離に住んでいたので家から通っていたのだが、大阪や奈良に家がある奴は寮生活をしていた。

寮は全部で二つあった。

そしてその寮には、野球部の顧問が一人ずつ住んで監視をしていたのだ。

寮に住んでいる奴らは練習が終わって帰っても、先輩の洗濯物をしないといけなかったり、指導者に監視されながらご飯を食べなければならなかった。


そんな休む暇がない寮から2日目にして一人に逃げ出したのだった。


僕たちはとても大きな事件のようにそのことを捉えていたのだが、
野球部の先輩や、顧問達はこの状況に慣れている様子だった。


逃げることはよくあることらしい。


先輩達は誰か次に逃げるかを楽しみにしていた。



この話は今考えれば本当だったのかは分からないのだが、

僕達、野球部特待生は
「部活動を辞めると学校も辞めないといけない」という条件で入学していた。

だから練習から逃げ出してそのまま帰って来なければ、中卒になってしまう。


結論を言うと、僕と同い年の野球部員は入学時、45人いた。


そして無事に卒業したのは、21人だけ。


45人ほぼ全員が特待生だった為、24人は高校を辞めている。


その1日目に逃げ出した部員は結局帰ってきたのだが、その後もどんどん練習に来ない部員は増えていった。


学校が始まり、授業が始まって他の先生や、他の生徒とも関わるようになったのだが、またこの学校も奇妙な雰囲気だった。


なんで俺はこんな奇妙な雰囲気に入学前に気づかなかったのだろうかと自分を攻めた時もあったが、


僕の通っていた学校は、少林寺拳法の教えに則った教育方針だった為、


学校内で礼をする時は合唱礼という両手を合わせた礼をしなければならなかったり、


毎朝、少林寺拳法の教訓を全力で声に出して言わないといけなかったりもした。



校内では基本的に、野球部は他の一般生徒とも会話することを禁止されており、
話しができるのは同じクラスのサッカー部か、女子バレー部だけ。


他のクラスに行こうとしても野球部の顧問が担任だったのもあり、
ほぼ一日中監視されていて、行くことはできなかった。

授業中寝ることも、ほぼ監視が付いているので、できない。

たまに顧問がいなくなり寝ると、その授業の先生が野球部の顧問に報告し、後から怒られた。



その怒られ方もひどくて、怒られているときは必ず正座をしなければならない。
学校の廊下でも、教室の中でも関係ない。 



でも学校の外だけでは、絶対にさせられなかった。



その姿を、他の生徒がジロジロ見たり指を指して笑っていたりするので、とても恥ずかしかった。


正座は30分〜1時間させられるのは当たり前で、立ったときは足の感覚が
全くなくなり、足がちゃんと動いているのかも分からないくらいだった。


毎回寝たことに対する反省文を、原稿用紙3枚も書かされた。


反省文を書く内容なんてなかった。毎日5時間くらいしか寝ていないから、ただ眠たいだけだった。


そんな、全く高校生らしいことができない高校生活を過ごしながら夏休みを迎えることになった。



僕は毎日が嫌だったが、たまに自分のピッチングが褒められたりして嬉しくなることもあったので、なんとか逃げずに続けることができていた。


だが夏休みに入り、3年生が夏の甲子園の予選に負けてしまい、新チームとしての練習が始まった。


毎日35度の猛暑日が続き、そんな中自転車で40分も坂を登り、その後夜の8時くらいまで練習をする。


僕の精神はギリギリだった。



新チームになり、僕にとっては、いや、
野球部員全員にとって最悪の新しいルールができた。


それは、


お弁当のルールだ。


新しくできたルール内容は、
3リットルの容器にお米をパンパンに詰めてくる。
そしてその重さが3キログラム以上でないといけない。

というルールだった。


毎朝お弁当の重さを顧問に測られる。

3キログラム以上ないとコンビニでおにぎりを買わされて、それをお弁当の中に入れてもう一度測られる。


ちなみに3キログラムはお米7合くらいの量だ。



これを夏の炎天下の中、やけどしそうな熱いコンクリートの上に座って2時間で
食べ切らないといけなかった。




そしてこのルールがこの後、僕の精神をズタズタにすることになる。







続く。。   

Ryoma Kobayashi

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