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#パセージ

アドラーフェストでの発表から/相手の関心に関心をもつ

アドラーフェストでの発表から/相手の関心に関心をもつ

03月13日、オンラインによる第6回アドラーフェストで発表をさせていただきました。アドラーフェストはアドラー心理学を研究、実践する仲間が集まるお祭りです。私の発表は「アドラー心理学を応用したアセスメントとスーパービジョン」というタイトルで、アドラー心理学を応用した障がいのある人の支援についての事例を発表しました。

私は、早稲田大学中野エクステンションセンターでアドラー心理学を学び始め、その後、ア

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理事長で良かった…

理事長で良かった…

対人援助の職に就く者たちは管理職になることを嫌います。いつまでも現場の直接支援者でありたいと思います。パソコンに向かっているより利用者と向き合っていた方が楽しいです。私もそうでした。しかし、今では管理者・理事長という立ち位置にも慣れ「担当」と言われるケースを持っているときとは違う喜びを感じています。

私は、障がいのある人が利用する事業所を経営しています。今の社会福祉法人を作って15年が経ちました

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「ありがとう、大丈夫だから、座ってて」って言うけれど、その結果…

「ありがとう、大丈夫だから、座ってて」って言うけれど、その結果…

私は、障害福祉サービスを提供する事業所を経営をしています。今日は、新人支援者の研修用に新しいスライドを作っていました。今回のスライドは、私がファミレスのアルバイトで学んだことと、アドラー心理学から学んだことが中心です。

アドラー心理学とパセージ早稲田大学のエクステンションセンター中野校でアドラー心理学を学びました。その後、サークルに入りアドラー心理学を基本とする子育てにおける親の育成プログラム・

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ルールにとらわれすぎない(法人の支援姿勢)

ルールにとらわれすぎない(法人の支援姿勢)

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。私の法人には、法人理念を具現化した支援姿勢が3つあります。支援姿勢は、次の3つです。

① 怒らない(声をあらげない),注意しない工夫
② 伝える工夫
③ ルールにとらわれすぎない

前々回は、① 怒らない(声をあらげない),注意しない工夫について書きました。前回は、② 伝える工夫について書きました。今日は、最後の③ルールにとらわれすぎな

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以前の私は”指導員”でした

以前の私は”指導員”でした

困ったことがあると、アドラー心理学を基礎とする子育てにおける親の育成プログラムパッセージのテキストを開きます。

先日、利用者同士のトラブルがありました。利用者の中には、他の利用者に対して小言を言ってしまう人がいます。
「ちょっとそれ違うじゃない」
「早くしなさいよ」
「ほらっ、外に行くわよ」
そのうちに、言葉だけでなく他の利用者の作業に手を出し始めます。

今回は、小言を言われた利用者が怒って、

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私は能力がある、人々は仲間だ

私は能力がある、人々は仲間だ

障がいのある方の支援をしています。もう30年以上も経ってしまいました。何年続けていても、ついおろそかになってしまうことがあります。大事なことを忘れないためにここに書き留めます。

障がいのある利用者の中にはいろいろな薬を飲んでいる人がいます。中には飲み忘れると、生命や生活に大きな支障をきたす薬もあります。たとえば、てんかんや心臓の発作を抑える薬です。薬の支援は重要な仕事です。しかし、それゆえパター

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「ちょっかいをだす」という言葉でくくる危うさ

「ちょっかいをだす」という言葉でくくる危うさ

私は、障がいのある人への福祉サービスを提供する事業所を経営しています。福祉サービスを提供する事業所は、事業所を利用する方へ個別支援をおこなうために様々な記録をつけます。その記録を読んでいて気になった言葉があります。「ちょっかいを出す」と言う言葉です。

記録に「AさんがBさんにちょっかいを出し…」とありました。さらに、「ちょっかい」という言葉は、いろいろな人の記録に出てきます。また、その記録を書い

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「○○さん」と呼ぶ

「○○さん」と呼ぶ

私は、自分の子どもの名前を呼ぶときに「○○さん」と呼びます。たとえば、子どもの名前が「髙橋花子」であれば、「花子さん、ご飯だよー」という具合です。最初のころは子どもたちもくすぐったい、と笑っていました。

きっかけは、職場でのやりとりです。障害福祉サービスにおいては、利用者のことを「○○さん」と呼びましょうと指導されています。以前は、○○ちゃんや、あだ名、よびすてというのがたくさんありました。

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無理やり謝らされる弊害

無理やり謝らされる弊害

利用者の中には、「○○さん、ちょっと…」と言っただけで「ごめんなさい」と謝る人がいます。また「ごめんなさい」と言ったあとすぐにしてはいけない同じことを繰り返してしまう人もいます。

「ごめんなさい」と言うセリフだけが独立しています。

アドラー心理学を基本とする子育てにおける親の育成プログラム、パセージのテキストにはこう書かれています。
「迷惑をかけた人がおればあやまるように提案してみるのもいいで

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家族会議を手本にしてみて

家族会議を手本にしてみて

課題解決のための会議の前にはパセージのテキスト開きます。パセージはアドラー心理学を基本とする子育てにおける親の育成プログラムです。そのパセージのテキストには対人援助に活かせるたくさんのコツが書かれています。

トラブルがあり、支援者より、日中活動にお金を持ってくる必要はないのではないかという提案が出されました。支援者の意見は、利用者は公用車による送迎だからお金を使う必要になることはない、持ってくる

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障害福祉サービスにアドラー心理学を応用する パセージ〈心理面の目標〉

障害福祉サービスにアドラー心理学を応用する パセージ〈心理面の目標〉

「髙橋さん、最近のボク、なんか変なことしてない?」
「大丈夫、何もしていないよ」

私と利用者の会話です。この会話がときどき繰り返されます。

私がこの利用者とお付き合いをするようになって15年が経ちます。しかし、その間、私が困るようなことは一度もありません。

反対に私が質問をします。
「何かあったの?」
「ほら、ボクも昔いろいろあったからさぁ」

私は、仕事上、過去の記録にも目を通します。しか

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障害福祉サービスにアドラー心理学を応用する

障害福祉サービスにアドラー心理学を応用する

アドラー心理学を基本とした子育てにおける親の育成プログラム、パセージのテキストの最初のページには、子育てにおいてはどういう大人になってもらうかはっきりと意識しなければいけないと書かれています。

そこで次のような行動面の目標を示しています。

〈子育ての行動面の目標〉
 1)自立する。
 2)社会と調和して暮らせる。

この目標は子育てだけではなく、人を支援するあらゆる場面で有効です。

私は障が

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【Passage】畑を耕す

【Passage】畑を耕す

アドラー心理学を基本とする子育ておける親の育成プログラム、パセージでは親と子がより良い関係を築くまでの準備段階を「畑を耕す」と言います。土が固いと鍬を入れても入らないし、固い土だと種をまいても芽が出ません。

少し前のことです。私も十分なサポートができず、利用者さんにも支援者にも辛い思いをさせてしまったことがあります。

ご年配の利用者さんと大学を出たばかりの若い女性の支援者との関係です。若い支援

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「私は能力がある」この目標を忘れない

「私は能力がある」この目標を忘れない

「支援者会議」という会議があります。障がいのある利用者さんを支援する関係機関が集まって支援方針を提案したり、確認したりする会議です。またその場にはご本人も参加します。

利用者さんによっては、その場できちんと自分の考えを主張される方がいます。以前は、そういう場は少なく、支援者主導で支援が進められていたので大事な時間です。

しかし、利用者さんの中にはそういう場が苦手な方もいます。また、その場に参加

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