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家族会議を手本にしてみて

課題解決のための会議の前にはパセージのテキスト開きます。パセージはアドラー心理学を基本とする子育てにおける親の育成プログラムです。そのパセージのテキストには対人援助に活かせるたくさんのコツが書かれています。

トラブルがあり、支援者より、日中活動にお金を持ってくる必要はないのではないかという提案が出されました。支援者の意見は、利用者は公用車による送迎だからお金を使う必要になることはない、持ってくるとトラブルの原因になるだけだから持ってこない方がといいます。しかし、利用者の中にはお金を持って来たいという人がいます。

ある利用者は、お金を持っていないと不安、何かあったら困ると言います。もっともな意見です。支援者が言う、公用車だからお金の必要がないというのは一方的な意見です。

パセージのテキストには、家族に必要なルールは家族会議で決めるのが良いという提案があります。また、ルールの目的はしあわせに暮らすことであり、秩序維持を目的にしてはいけないと書かれています。

これは、家族だけでなくあらゆる集団に共通して言えることです。また決められたルールの内容は合理的であり、そのグループに所属するメンバー全員に適応されることが原則です。特権階級を作ってはいけないとも書いてあります。

使う必要がないからお金を持って来てはいけませんと言うルールは合理的でありません。さらに利用者がお金を持ってくるとトラブルの原因だから持ってきてはいけない、支援者は持って来ても良い、というのは特権階級になってしまいます。

しかし、利用者の中には、お金は持っていたいけれど上手に管理できない、すぐに落としてしまう人もいます。さらに支援者の支援にも限界があります。そこで、パセージのテキストを参考にして利用者と支援者で話し合いをしました。会議では、自分たちでどんな管理ができるか、支援者に何を手伝って欲しいか、また、幾らぐらい持っていたら安心できるのか、そんな話になりました。

従来は、利用者の安全を第一に考えて、あらかじめ支援者が検討して決めたことを伝え、どうやって守っていくか、それを話し合うのがメンバー会議でした。パセージの家族会議の手法の導入は、利用者主体の支援につながる大きな変化になりました。

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