信頼の延長線上にあるものは
いきなりだが、「信頼」と「依存」と聞いてあなたはどう感じるだろうか。
全くの別物だろうか。
同じものだろうか。
私の現時点での結論から言う。
結論から言うと、
信頼の延長線上にある一つの道が「依存」
だと考える。
第三の選択肢を提示するあたり、ズルい人間だ(笑)
でもこれまでも結構悩んでたこともある。元々同じものだとは思っていなかった。かといって全くの別物だとも思えない自分がいた。
そして上記の結論にたどり着いた。
ここからは個人の見解をつらつらと書いていきたい。
そもそも「信頼」と「依存」について考えるようになったのはここ1、2年だったりする。
私は仕事で就労支援を行っており、その中で利用者さんに対して「教える」「支援する」ということがある。
そこでぶつかった壁がある。
「支援ってなんなん?」
本当にこれは永遠の問いかもしれない。「どうして地球は丸いのか?」くらいに。
という冗談はさておき。
きっと外から見た「支援」であったり「福祉」であったりのイメージって「してあげるもの」という印象が強いんじゃないだろうか。実際最近やった23卒の学生との面談でもそんな話を聞いた。ちなみに私も最初はそんな印象だった。
確かに場所によってはそれが正解なのかもしれない。
だけど私たちは違う。あくまでその方が自立していくための手助けをするのが仕事だ。だから究極の支援は「何もしなくていい状態」だと私は思っている。
気を付けないといけないのは「してあげる」が優先されると利用者さんもそれを期待してしまうのだ。やがてそれは「依存」になる。その人がいないとダメになってしまう。これではますます自立から遠ざかる。
「依存」の難しいのって、してあげている方も気持ちがいいということだ。自分の行為によって目の前の相手が喜んでくれる。自分が必要とされている。それは嬉しいこと。だから求められたら何でもやってしまう。やがてそれはお互いに依存している状態になってしまう。
さらに面倒くさい話をしよう。
「じゃあいきなり依存関係が生まれるのか?」という話だ。
もちろんそんなわけはない。依存の発端にあるのがそう、「信頼」だ。
目の前のあなたを信頼しているから利用者さんは助けを求める。お願いをする。「依存」する。信頼していない人に依存は難しい。
信頼の延長線上にある1つの道が依存だと思っている。
確かに一生「ここ」にいるのであれば百歩譲って依存でもいいのかもしれない。だけど利用者さんにとって就労支援の場所はゴールではない。もちろん人によって目的は様々だが、ここからスタートの人が多い。
ここからどんどん「自立」していかなくてはならない。
上の文で信頼の延長線上にある「1つの道が依存」だと書いた。
ということは別の道があるということをお分かりいただけるだろうか。
まあそれも個人の見解なのだが(笑)
私が考える信頼の延長線上にあるもう1つの道が「挑戦」だ。
またありきたりな、と思われるかもしれないが私はそう思う。
信頼できる支援員がいるから思い切って挑戦できる。路頭に迷っても、失敗をしても方向性を一緒に見つめ直してくれる支援員がいる。1つの道が上手くいかなくても一緒に他の選択肢を考えてくれる支援員がいる。
だから安心して挑戦できる。
挑戦することでもちろん失敗もある。だけどその分、成功もある。成功がやがて自信になり、その積み重ねによって自立につながっていく。
私はそう考える。
だから私はたまにあえて利用者さんの直面している課題に介入しないこともある。だからといって何も見ていない訳じゃない。むしろ全部を把握するくらいに見ている。どこに悩んでいるのかも把握するように伝える。
いつでもアドバイスできるように予測をしたうえで、準備をしたうえであえて見守るという選択をすることがある。
だって誰かに教えられて身についたスキルより、自分でやって成功して得たスキルの方がよっぽど身につくから。
自分で苦労して覚えたもののの方がよっぽど頭に残るから。
何より「自分でやって出来た!」という経験が何よりの自信になるから。
その時に自信満々に「出来ました!」と報告してくる表情が、私はどんな瞬間よりも大好きだ。
相手と関係性をつくるにおいて、まず「信頼」というステップは欠かせない。大事なのはそこから。
依存に進むか、挑戦に進むか。
依存の主体は利用者さんじゃなくて自分になる。
挑戦の主体は利用者さんになる。
「支援」の目的はしてあげることじゃなくて、出来るようになるためのサポート。主体はもちろん利用者さん自身だ。
信頼の延長線上に待ち受ける2つの道。
利用者さんたちが安心して「挑戦」の道に進めるような、関係性、環境設定を今後も意識していきたい。
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