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NASAの新たな挑戦や、地球外生命体がいるかも?な星の割合が明らかに!?【04/20-04/24】

こんにちは、りょーです。

今日から最新の論文をピックアップして紹介していく「天文ニュースマガジン」を毎週更新していきます。

こちらでは前の週に発表された論文を5本ピックアップして、どのような研究が最前線でされているかを紹介して行きます!
毎週の読みモノとして成立するようにしていく予定です。

論文はarXiveというサイトから私が興味を惹かれた物をピックアップしてきます!

昨今の論文は、このようにオンライン上でフリーで公開されることが多く、論文がジャーナルに投稿されたり、受理されるとここに筆者が登録してくれるので、最新の研究がすぐにキャッチアップできます。

今週のラインナップはこちら!!


【04/20】太陽ってワンダーランド!!

​04/20(月)に報告された論文はこちら!

こちらは太陽の磁気がだいたい2年の周期で変動している様子を観察した論文です。

太陽はこんなに近くにあるのにまだまだ謎が多い星です。太陽フレアなどを起こして地球に危険を及ぼす可能性を持っているのに、謎が多いのは困りますね。

太陽フレアに大きく関わるのが太陽表面の磁気活動。太陽フレアのような爆発が発生するのは、この磁気活動の最たる例です。

そしてこの活動性は周期的に変動します。有名なのは11年周期や22年周期です。この年数で活発な時期と静かな時期を繰り繰り返していることが、太陽の表面にある「黒点」の数からわかっています。

今回の論文では、これとは全く異なる、だいたい2年の周期的な磁気活動性が注目されています(ニッチだな!)。

みなさんが知らないのも当然。これはここ10年で見つかったもので、教科書化されるほど浸透していないのです。先取りですね!ドヤ顔しましょう!笑

この周期、英語ではQBS(the quasi-biennial oscillations)と訳されます。だいたい2年周期の振動って意味です。
もともとは地球の赤道上空の成層圏(地上数10km上空)で見られる、東風と西風が赤道を挟んで南北対象に吹いて、これが約1年で交代し、また1年したら戻るという2年周期につけられた名前です。
(詳しくはwikipediaへ笑)

今回はこれと同じような現象が太陽の表面でも見えていて、それを詳しく調べましたという話。

つまり太陽の赤道を中心にして、南半球と北半球に対象な磁気活動が現れて、これが1年交代で約2年周期であるという現象です。
ここでいう活動性とは、黒点であったり、フレアであったりと様々だそうです。

これまでは赤道付近でしかこれらの研究がされていなかったが、この活動性が、より高い緯度(赤道から離れたところ)でどう見えているのかを調査したのが今回の研究です。

その結果、この約2年周期は見えていることがわかりました。そして、この2年周期は、有名な11年周期とは全く異なる変動であることが研究からわかりました。

これまでにない短い期間での変動に注目し、これがこれまで知られていた変動とは異なるものであったという、さらに謎が深まった、そんな論文ですね。

あ〜〜〜〜ロマン笑


【04/21】宇宙は巨大な実験施設!!

04/21に発表された論文はこちら!

この論文で言われているのは「激変星と呼ばれる星が、近くの星を吸い込む様子を捉え、その飲み込む割合の変化を観測しました」ということ。

詳しく話していきましょう!

見ている星は「激変星(cataclysmic variable stars)」と呼ばれる少し馴染みの薄い星。
激変星とは、名前の通り、劇的に明るさが変動する星で、数時間の急激な増光を示す天体の総称です。

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上の写真のように、太陽のような状態から進化していって最終的に小さい天体になり(例えば白色矮星)、その星が強い重力で近くにある星を飲み込んでいくことで急激な明るさの変化を見せることに由来します。

この星を、「ケプラー」と呼ばれる衛星が観測した結果についてのこの論文。
ケプラーは主に地球に似た星(ハビタブルスター)を探すミッションであったが、コレらの星を見つける能力を生かして、他の種類の星も観測されていました。

これまでにケプラーはスーパーフレアと呼ばれる、太陽とそっくりな星で、太陽の10倍以上でかい爆発を起こしている事を発見した人工衛星でもあります!

今回はケプラーを使って激変星「Tau 4」を観測したとのこと。

その結果、星を吸い込む量が、観測中に一気に大きくなった様子が偶然捉えることに成功しました!星は一定の割合で吸い込まれるのではなく、その割合は変化しています。

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後ろの方が上がっているのが、星を飲み込む割合が変化して明るくなっている様子を示しています!

この星がふだん輝いている一つの理由に、白色矮星の表面に落ちてくる星のガスによって、落ちてくる部分が加熱されていることが上げられます。今回はその様子以外に、特別なシグナルや特徴がなかったことから、この増光が、単純に落ちてくる星のガスの量が増えて、加熱される量が増えたことが原因と考えられています。

さらにこの研究で、この星の表面の磁場は1,500万ガウス(ピップエレキバンの1万倍w)ということもわかりました。

ちなみに、地球上で再現できるのは40万ガウス程度なので、宇宙空間は、地球上では再現できない、巨大な強磁場の実験施設という言い方をされることもしばしば。

というわけで04/21日は、強い磁場をもつ激変星についての研究でした!


【04/22】飛行機から観測する天文学

​04/22(水)に報告された論文はこちら!

みなさん、3年前にあった皆既日食を覚えていますか!?

太陽が月に飲まれて行く様子を、世界中みんなが眩しさを我慢しながら空を見上げたあの大イベント!

その時NASAは、飛行機を飛ばしてその先端に観測装置をつけて太陽を観測する実験を敢行していたのです。

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これはその飛行機に取り付けられた観測機によって取られた太陽の様子。
太陽表面で輝く、太陽コロナをしっかりと捉えられていますね!素晴らしい!!

飛行機の様子は以下のような感じで、先っぽの黒い部分に観測機が搭載されていて、観測が実施されたようです。

スクリーンショット 2020-04-23 23.50.16

この実験は、今後の天文学において、飛行機観測の可能性を検証することが目的の一つでした。

こんな試みをしたのは、天文観測で最も邪魔な存在の一つが「地球大気」です。大気によって画像は揺らいだり、そもそも地上からは見えないこともあります。

それを克服するために宇宙空間に観測機を飛ばして実験することもしばしば。しかしそれには人工衛星の開発、ロケットの開発と打ち上げのコストなど、簡単には実行できないコスト的な壁が存在します。

そこで飛行機程度のコストでサイエンスを明らかにできるのであれば、これまでかかっていたコストを大幅に抑えることができ、チャレンジできる回数も増えます。

そんなコスト面を克服するために、飛行機観測の実力を検証しようとしたのが2017年のこの実験です!

詳しい観測結果はまだデータ較正中のようですが、十分科学的に有意な結果が得られているそうで、今後の観測結果の論文にも注目してくれと書いてあります。

今回は少し科学的な内容ではなかったですが、未来の天文ミッションをのぞいてみることも重要な勉強の一つになることでしょう。

同様の飛行機実験のチャンスが今年すぐあるとのこと。2020年12月に南アフリカ上空で日食を捉えるチャンスがあるそうで、そこを狙っているとか。あとは2024年4月8日にアメリカで再度チャンスがあります。
アメリカでチャンスがあるってことは、日本でも皆既ではないにしろ部分くらいはチャンスがあるのかなぁ。
次回飛行機実験もきになるけど、普通に日食の方が楽しみです。


この論文は最後、こう締めくくられています。

"Our 2017 total solar eclipse mission, the first of hopefully many with the WB-57s, opens the door to expanding the capabilities of NASA’s Airborne Science Program and a new era in airborne astronomy."
「我々の2017年の皆既日食の観測ミッションは、NASAのエアーボーン科学プログラムの可能性を示し、今後の飛行機天文学の新時代のドアを開いた」

かっこいい。。。。


【04/23】地球外生命体がいそうな星な星の割合は...

​04/23(木)に報告された論文はこちら!

この論文では「地球のような生命活動の可能性がある惑星が、太陽に似た星の近くにある確率が、星100個中に惑星は18個以下である」ということ。

天文業界で最もホットなトピックの一つが系外惑星の探査です。
系外惑星とは、私たちのいる太陽"系"よりも"外"にある惑星のことです。

天文学者たちは、太陽に似た星(年齢がだいたい同じ星)を探し、その周囲に地球程度の距離(ハビタブルゾーンと呼ぶ)を回っている惑星がないかを探しています。
これは、私たちのように生命がいる可能性がある星を探していることであり、宇宙人を探すミッションと言っても過言ではありません

今回この研究では、この系外惑星を探査するために打ち上げられた人口衛星ケプラーが用いられました。

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今回の研究ではこのケプラーで観測されたF型星、G型星、K型星に分類される星たち。

このFとかGとかKとかは、スペクトルタイプ と言って、一言で言えば星の進化段階によって変わる色(温度に対応する)で分類されています。
太陽はG型星に分類されます。G型星は5,200ケルビンから6,000ケルビンの間の温度を持つ星で、太陽の表面は5778ケルビンなのでここに分類されます。

F型は6,000ケルビンから7,500ケルビンと、太陽よりも熱い星です。一方でK型星は3,700ケルビンから5,200ケルビンと太陽に比べて少し冷たい星です。

余談ですが、星は進化するにつれて、温度を上げて行くので若い順にK型星、G型星、F型星ということになります。

今回はこれらF,G,K型星を対象に、約20万天体(!!)を研究の対象に、その周りのハビタブルゾーン(生命が存在しうる星との距離)に惑星があるかを調査しました。

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その結果、「< 0.18 惑星 / 星」ということになりました。
これは1つの星に対して0.18個以下の惑星があるということです。つまり、100個星を見たら18個以下の生命が存在しうる系外惑星が見つかるということです。

だんだんと系外惑星に関する知識が蓄積されて言っている気がしますね。。。

さて、この割合は多いのか少ないのかはまぁ置いておいて、地球外生命体が存在する確率がこれだけあるというのはワクワクしますね!!


【04/24】地球にかな〜り似た星が発見された!

​04/23(木)に報告された論文はこちら!

こちらの論文では、04/23の論文で紹介したケプラー衛星の後継機で、現在活躍しているTESS衛星によって観測されたHD108236という太陽に非常に似た星の周りに地球に似た惑星を発見したことを報告するものです。

なんとまた、地球に非常に類似した星が発見されたそうです!

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TESS衛星はケプラー衛星の後継機で、系外惑星を発見し研究するために2018年4月に打ち上げられた衛星です。

HD108236は、G型星という太陽と同じような温度の星で、地球から約210光年離れた星(天文学的にはかなり近いですw)。

今回、データ解析の結果この星の周りに4つの惑星があることがわかりました!そのイメージ図は下みたいな感じ!

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内側からb, c, d, eと名前が付いています。

最も内側の惑星bは非常に地球に似ている「スーパーアース」に分類される惑星であることがわかりました!
その惑星は地球の1.6倍程度の大きさで、真ん中のHD108236の周りを3.7日出回っています。まぁ地球に比べたら早いですね。

そしてその周りの3つの星は「スーパーネプチューン」、つまり海王星っぽい星に分類されます。

惑星cは地球の半径の2.1倍で、6.2日で回り、
惑星dは地球の半径の2.7倍で、19.6日で回り、
惑星eは地球の半径の3.1倍で、14.2日で回るという感じ。

この結果から、HD108236は地球から見える最も明るい太陽類似星であることになり、今後の研究で、地上でシミュレーションした結果の検証でさらに観測が進むであろう星です。

昨日発表されたばかりのこの論文、今後メディア等でも取り上げられる可能性がある最も注目すべき星の一つになることでしょう。

それにしても、TESSの登場で系外惑星探査が一気にスピードアップしているなぁ。
今後もコンスタントに結果が出てきそうなので、要チェックです!!


まとめ

いかがでしたでしょうか。

毎日人に伝えることを前提に論文を読むことは、これまで自分の研究や理解のために読んでいたときとは一味違った満足感や理解がありました。

このように論文を読んでいく英語スキルの獲得には、様々な工夫がありますのでこちらを見ていただけると嬉しいです。

このように最新の研究を1週間まとめて記事にして、マガジンとして報告していこうと思うので、ぜひマガジンのフォローをお願いします。

これらの論文を読んだ速報的な報告は、Twitterの方でも行なっているのでそちらもフォローよろしくお願いします。

また、こんな種類の論文も紹介してほしいなどありましたが、ぜひコメント等でおしらせください。

みなさんの宇宙への探究心を満たせられるよう、今後も精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。





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