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正直すぎるマーケティング入門書「ブスのマーケティング戦略」田村麻美

 マーケティング本というと、たいていは教科書的な固い本かあるいは世界的企業に革命をどう起こしたかというようなすごすぎて勉強にはなるけど遠い世界の話というパターンですがこの本はだいぶ違います。


 表紙からして筆者の方の顔写真と「夢見ることをあきらめたブスと、劣化が始まった美人へ」という帯の文字が大大と載っています。


 容姿には優れなかったけれどどうしても幸せに結婚したい、経済的に自立したい。その思いだけを胸に戦略的に考え実行に移してきた筆者の人生からマーケティングの基礎知識を学ぼうという本です。

 モテるために努力し続けた学生時代から税理士として開業するに至るまでの半生を隠しごとなく綴っています。



 そもそものストーリーが面白い上にマーケティング、特に個人をどう売り込むかというブランディングに焦点を当てて書かれているので自分のプロデュースに興味がある人にはおすすめです。


 この本の1番好きなところは何より筆者の正直かつ弱さを隠さないスタイルとユーモラスな語り口です。例えばこんな文。


 こんなつらい文章を書いているときに、美人の編集者から質問が届いた。
 腐らず、人格を否定せず、メンタル的に打撃を受けないかたちで、ブスだということを受け入れるために、どのような心がけが必要ですか?
 ばかやろう。メンタルはズタズタだ。打撃を受けずに、今までのワークをできたブスはいないはずである。というか、心がけって何だ。自分がブスだと受けいれることはつらいことだ。打撃を受けないかたちなどない。つらい、つらいことなのだ。
 しかし、一度思い切って自己評価をゼロにすれば、具体的に武器として何を装備していくべきか考えられる。


 この本全体を通してきれいごとや大義なんかは出てきません。モテたい。ただそれだけのために自分の弱点に向き合い挫折を繰り返しながらも行動し続けたという正直過ぎるくらいのストーリーです。


 だからこそ肩肘張らずに楽しみながらマーケティングを学べる1冊だと思います。

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