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2022年新作テレビドラマ放浪記

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2022年の新作テレビドラマの感想です
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#清原果耶

「ファイトソング(第10話)」思った通りの綺麗な収まり。そんなドラマにほっとする昨今

岡田惠和脚本らしい、綺麗すぎる収まりのラスト回だったと言っていいだろう。視聴者が思うように、収まるところに収まるというのは、テレビドラマのあり方として必要な方法ではあるし、そういう基本的なことをしっかりと素直に脚本にできる岡田惠和の姿勢は大事だと思ったりもする。 「ファイトソング」という、主人公2人で紡ぎ出した歌は、結局、見ている側には、リズム以外は明確に提示されなかった。まあ、そうだろうなと思ったが、やはり、ヒット曲を産んだ男として、間宮はもう少し雰囲気を変えていても良か

「ファイトソング(第9話)」ラストに向けての溜めの回。最終回が見たくなる仕掛け

そこでエレベーターが開かないのは出来過ぎだろう!と思うが、ラス前の仕掛けとしてはなかなかと言えるのか?しかし、間宮祥太朗の服、なんかおかしいよね。まあ、そういうセンスは基本ないという設定か?ムササビ緑バージョン? 最初に、再会のシーンを出しているが、これはなくてもいい感じ?いや、ドラマを最後まで見させようとする技か?どちらにしても、これが今回のラストであり、最終回に向かい二人がどうなるか?ということで、今回を見てる人は最後まで見るのだろうという脚本。 時は2024年と表示

「ファイトソング(第8話)」すごいファイトをもらった感じからの刹那

岡田惠和は、そのできた楽曲に何を示そうとしるのか?それが、次週からの残りの回に詰め込んであるのだろう。次回予告で「2年後」というシンプルな情景。まあ、間宮は首がつながったのだと思う。そして、その恩人と会えぬままにいるということか?刹那すぎるかな、少し。そう、多分だが、この話は、最後にドラマそのものが「ファイトソング」になっていなければいけないのだろう。 そのための今回の思い出作り。ベタなバカップルのキスはなかなか美しく、別れの姿は、徹底的に男の女々しさを積み込んで、こういう

「ファイトソング(第7話)」エンディングに向けて恋が身震いしていく感じ?

ドラマも7回目。あと、3回〜4回。佳境に入る。そこに入る前に、タイトル前15分を要して、清原が、みんなに耳のことを告白する場面。こういう長いシーンで、役に入り切るところは、清原果耶の真骨頂というべきところ。ドラマの導入部にこの緊張感を持たせれるところは、本当にすごい役者である。脚本を書く方もそれがわかって作っているのだろう。このドラマのエンディングに向けてのターンシーンな気がする。 その後にすぐ、間宮が食材を持ってやってきて、間宮がそのファミリーの中に入り込んでいく形もまた

「ファイトソング(第6話)」恋はテレパシー。信じることが人と繋がること

このドラマ、最後に皆がそれぞれの「スタートライン」に立つというラストがあるような予感がしてきた。いや、そうなることで、すごいファイトの湧くドラマになるのだろうと思えてきた。 岡田脚本に出てくる人物は、皆がそれぞれの意思をしっかり持って前に進もうとする人々である。すぐそばにいるような人物に、すごい暖かく強い人格を持たせることで、多くの人へメッセージを送ろうとしている感じが私は大好きだ。だから、若者たちを見守っている、稲森いずみや戸次重幸などの心も少しづつ動き出している感じも好

「ファイトソング(第5話)」三人の気持ちが本当に動き出す中盤!

先週の間宮からの残念なお知らせから、その終息宣言に周囲のさまざまな思いが動き出す回。その中程にある、お別れの屋上ライブは最高の絵に仕上がっていた。そこには、恋というものが存在し、それを間宮も清原も、もうつかんでいたりする。間宮はそのつかんだ空気感を歌にした。対抗馬には敵わなかったが、その音が動き出す感じを周囲も察知した。この状況をシナリオとして明確に表現できるのが、岡田惠和なのだろう。多分、ここからドラマが大きく動き出すのだろうという感じを見事に1時間にまとめている。 そし

「ファイトソング(第4話)」間宮祥太朗側から見た恋愛を音楽にする感触の描き方

先週のキスするかという終わり方に続いて、それを阻止する清原の空手で始まった今回。その空手が大きく、間宮祥太朗を触発することになる。こう言う脚本の繋げ方は本当にうまい。そして、今回の主役はどちらかといえば間宮。間宮の周囲の人々が、清原に紹介されるのもこの回の大事なところなのだろう。彼らも結果的には2人の応援団ということになるのだろうから…。 しかし、こういう不器用なクリエイター的な役が間宮には似合っている。久しぶりに「半分、青い」の映像クリエイターの間宮を思い出した。まあ、日

「ファイトソング(第3話)」初デート、キスに至る「キュン」の造形化

このドラマ、恋を知らなかった二人が「キュン」という感覚を知り戸惑っていく話なのだろうと、この3回目で理解した。恋愛ドラマ、特に若い恋愛ドラマの出来は、確かに言葉にならない「キュン」をいかに形として具現化できるかという部分にあることは確かだ。 最近、私は世の中の波動論にとても興味がある。「恋愛」など恋人同士の波動がシンクロしない限り発生しないわけで、そこには何か理論的なものがあるのではないかと思ったりする。最近研究が活発な量子力学なら、そう恋愛が起こる波動を数値で表せるのかも

「ファイトソング(第2話)」恋愛不器用が近づく1時間

二人にはタイムリミットがある。その中で恋愛を楽しみたい?いや、楽しんで知らないことを知りたい。先週、間宮祥太朗が「付き合ってください」と言ってから、今週は1時間をかけて、清原果耶が「付き合ってください」と言うまで。地味な1時間だが、清原が何かを求めていくことに気づいていく時間を明確に描き出していた。そして、耳が聞こえなくなるまでに「何かをしなくては」と言う焦りもそこにはあったりするわけで、よく考えれば、この「付き合ってください」はかなり刹那い! しかし、清原果耶と言う女優さ

「ファイトソング」弱ったものたちへの応援歌?清原果耶と岡田惠和の化学反応に期待!

朝ドラ終わって初の民放ドラマ主演の清原果耶に期待しないわけがない。彼女にとっての女優業としての茨の道はここから始まると言ってもいいのだから。そこに、岡田惠和の脚本をあてがう。期待しない方が変である。そして、結果として、何かが始まりそうな感じ。まさに、「スタートライン」が引かれたような1時間であった。 新春の「優しい音楽」もそうであったが、岡田脚本は、弱った人が主人公の場合が多い。社会のレールの上を悠々と走っているような人間ではドラマとしてのテーマを描きにくいのは昔からのこと