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「ファイトソング」弱ったものたちへの応援歌?清原果耶と岡田惠和の化学反応に期待!

朝ドラ終わって初の民放ドラマ主演の清原果耶に期待しないわけがない。彼女にとっての女優業としての茨の道はここから始まると言ってもいいのだから。そこに、岡田惠和の脚本をあてがう。期待しない方が変である。そして、結果として、何かが始まりそうな感じ。まさに、「スタートライン」が引かれたような1時間であった。

新春の「優しい音楽」もそうであったが、岡田脚本は、弱った人が主人公の場合が多い。社会のレールの上を悠々と走っているような人間ではドラマとしてのテーマを描きにくいのは昔からのことだが、こんな少し苦しい感じの人は隣にいそうという感じの主人公が自己のアイデンティティーの回復に向かって励むようなドラマがとても心地よい岡田脚本なのだ。

今回も、初回で主人公の清原と間宮祥太朗の立ち位置を、説明臭くなく、一気に視聴者に見せてきた。そして、そこに視聴者をドラマに引き込む引力みたいなものを混ぜながら。最後に「付き合ってくれないか」という言葉が出るとは思わなかったが、脚本家としては、その最後の一言をどう生かそうか?という考え方の初回だろう。空手を諦め、耳が聞こえなくなると言われ、前にある夢が全く亡くなった清原と、一発屋と世間で言われ、その後、音楽が作れなくなって、自殺も試みた音楽家という、ドラマの中枢に据えると面白そうな二人を動かして、未来を見つめる恋愛ドラマに仕上げるということなのだと思う。岡田脚本の目論みが、どこにあるかはまだ読めないが、とても素敵な物語が始まりそうな感じはさすがである。

今、この2022年にあって、弱っている人は今まで以上に存在するのではないかと思う。そして、この主人公のように昔の栄光があるならまだしも、そこに到達できないで、さまざまなことで弱ってしまった人が数限りなくいるだろうと思ったりするのである。そこに対し国は何もしないと言っていい。流石に心のリハビリに国は付き合わないだろうし、弱者は弱者としてしか取り扱われないのが我が日本国である。

だが、ドラマは、そんな人に元気を与えることはできる。清原がこの間まで演じていた「おかえりモネ」も地震の時に何もできなかった主人公が、故郷のために何かできないかと頑張って、自分の居場所を探るドラマだった。そして、ここでも、両親を亡くした女の子が一度は空手で頂点を目指すも、今度は自分が事故に遭って夢破れリセットされた話。そこで、出会う一発屋の間宮と何が起こるのか?心がどう絡み合うのか楽しみなところ。そこに三角関係として、ドラマ自体の引き立て役のような菊池風磨が絡む。とにかくも、この寒い冬、心が熱くなるドラマが見たいですね。

優しさを感じさせる力に関しては、岡田脚本は安心して見ていられますが、さあ、どんな明日に向かってのパワーがそこに表現されていくのか?楽しみなところである。果耶ちゃんの芝居、まだ少し硬さがありましたね…。


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