法の下に生きる人間〈第4日〉

昨日は、明治憲法の条文を3つ挙げてみたが、戦前・戦中の昭和天皇が、国民にとってどのような存在であったかが分かったと思う。

今日は、現行憲法における天皇の位置づけを確認してみよう。

第1条と第6条と第7条の3つを挙げるが、国民と天皇の関係性について、これらの条文だけでもだいたいのことが分かるかと思う。

【第一条】天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

【第六条】天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
② 天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。

【第七条】天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一    憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二    国会を召集すること。
三    衆議院を解散すること。
四    国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五    国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六    大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七    栄典を授与すること。
八    批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九    外国の大使及び公使を接受すること。
十    儀式を行ふこと。

以上である。

天皇は、日本国の象徴であり、日本国民の統合の象徴であり、国会や内閣の指名に基づいて、内閣総理大臣や最高裁の長官を任命するのである。

天皇が行政や司法、立法に口出しはできず、内閣の助言や承認によって、第7条で定められた「国事行為」を行う。

憲法改正や条約の公布もそうである。国会議員の選挙の公示もそうである。

国会議員は、私たちが選挙によって選ぶわけだから、「日本国民の総意に基づき」(=第1条)、国会議員の中から選ばれる内閣総理大臣を天皇が任命するのである。

国務大臣は、内閣総理大臣が任命して、天皇がそれを認証することになっている。ただし、国務大臣は、すべて国会議員である必要はなく、国務大臣の過半数が国会議員であればよい。これは、憲法第68条に書かれてある。

選挙の結果がどうであれ、一人一人の国民の意思表示手段である選挙(=投票に行かない行為も含む)で選ばれた人間が行う政治を、天皇は、国事行為を行いながら見守っているのである。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?