法の下に生きる人間〈第75日〉

古くから米づくりがさかんだったところでは、品種改良によって害虫に強いイネづくりが長く行われていた。

他の農産物もそうだろう。

「改良」というのは、良くしていくイメージがあるから「改良」なのだが、本当のところは「改悪」になるのであれば、話は別である。

生産者は、基本的に消費者においしく食べてもらうことを目的としているわけであり、例えば、悪天候等によって生育不良に陥り、作物が売り物にならなくなるのなら、品種改良の意義はある。

だが、他の生産者が似たようなものを栽培しており、それらの作物との差別化を図るためということであれば、見た目はともかく、消費者にとって安全な作物を提供できているかどうかというのは、重要な観点である。

いくら味が良くても、例えば、遺伝子組換え技術を使ったとなれば、何をどのように遺伝子操作したのかという情報は、しっかりと公にされる必要がある。

そういった倫理観が、世の中のどれだけ多くの人に備わっているかで、私たち現代人の未来は変わってくるだろう。

実は、2001年4月1日から、安全性審査を受けていない遺伝子組換え食品は、輸入、販売等が法的に禁止されている。

そして、近年の国際情勢も鑑みながら、昨年からは、遺伝子組換え食品ではないとされる食品について、「遺伝子組換え食品ではない」と表示するには第三者機関の証明が必要とされるなど、より厳格化が図られている。

これは、どういうことかというと、今までは意図しない混入があった場合も、5%以下で管理されていれば「遺伝子組換え食品ではない」とする表示は認められていた。

それが、まったく不検出である場合にのみ、「遺伝子組換え食品ではない」と表示できることになったのである。

日本は、大豆やとうもろこしなど多くの農産物を輸入に頼っているが、実は、輸入している大豆やとうもろこしは、ほとんど遺伝子組換えがされている。

だから、大豆やとうもろこしが「遺伝子組換え食品ではない」なんていう表示ができることはめったにないわけであり、逆にそんな表示があったら国産の農産物で厳格に管理されたものだということになる。

こういった情報を私たちが自分の目で確かめるためには、外食やテイクアウトに頼っていてはいけない。

やはりコンビニやスーパーで買い物をするときに、商品の値段や見た目にとらわれることなく、少しでも時間的余裕があれば、食品包装ラベルに記載されている内容に目を通すことが大事である。

これからも長く健康に生きたいと願っている人は、ぜひ休みの日などに、ふだん口にしている食べ物に関心を持つようにするとよいだろう。

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