〈最終回〉【続編】歴史をたどるー小国の宿命(100)

1890年代は、歴史好きな人ならご存じのとおり、1894年から1895年にかけて、日清戦争が起こった。

ただ、この戦争を、単に日本と中国の戦争と考えるのは、これからの日本の防衛について考えを巡らせるには物足りないし、もっと深い理解が必要である。

台湾有事が近い将来、起こりうるということは、誰もが一度はニュースで知っているだろう。

実は、日清戦争は元はと言えば、日本による台湾出兵がきっかけなのである。

日本による台湾出兵が、1874年に行われていたことは、あまり知らない人が多いのではないだろうか。

また、中国の清に関しては、すでに1840年代のアヘン戦争でイギリスに負けて、欧米列強に領土割譲されていたのである。

その一部が、今の香港だったのである。

香港は、日本が一時期、第二次世界大戦で占領していたが、1842年から1997年に中国に返還されるまで、約150年間もイギリスの植民地だった。

まだ返還されてから30年も経っていないのである。

日本は、日清戦争で清に勝利したものの、すぐにロシアとドイツに領土割譲の干渉をされることになった。

ロシアとは、その後、世紀をまたいで日露戦争に発展した。

19世紀末から20世紀前半にかけて、日本は欧米列強に対抗すべく、東アジアにおける覇権国としての地位を目指し、戦争に突き進んでいった。

日本が江戸時代の幕末に、欧米列強から黒船や大砲で脅されて屈辱的な開国をしたことが、明治維新に活躍した幕末の志士たちにとっては強く印象に残っていたのだろう。

だからといって、明治政府のやり方が正しいというわけではないが、被害国だった中国からすれば、今の中国は、過去の日本のしたことをどう思っているだろうか。

奇しくもまた、台湾をめぐって歴史は繰り返されるのかもしれない。

歴史をたどると、今後の日本の宿命というものが見えてくる。

アメリカやロシア、中国の脅威の中でも、世界各国とうまくわたりあうには、もう少し、20世紀の日本のたどってきた道を振り返る必要があるだろう。

そこは、新シリーズに委ねることにしたい。

のべ200回の連載に、長くお付き合いいただき、本当にありがとうございました。

引き続きこれからもよろしくお願いいたします。


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