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自由になりたくて 摂食障害の私 体験記⑭

暑い日が続いて毎朝満員電車に乗り、
疲れた身体をつり革で支えながらまた家に帰る。
その繰り返し。
ゆっくり眠れず
いつも何か空虚感だけがあった。

家に帰ってきたら食べたり食べなかったり。
食べ過ぎたと思ったら、罪悪感に襲われてもっと食べてしまい、今度は吐くまで食べる悪循環。
そんな事をやっている自分に嫌気がさして、また自暴自棄になる。

だんだん会社に行ってる意味がわからなくなって、生きている意味がわからなくなって
知らないうちに電車から見える景色の色が消えていった。
自分の中の何かが限界だったけど、それが何なのかわからないまま歳日がたった。

ある朝目が覚めた、私は静かにある決心をしていた。

いつもの時間にいつもの電車に乗る。
目に入る人達はいつもと同じ。

いつものようにヘッドホンをして自分の世界に入る。
自分の世界に入り、現実逃避をしている時間が私の生きる時間だった。
音楽を聴けば聴くほど、その世界に引き込まれていった。
元気になる曲とかならまだ良かった。
でもあの頃の私は、暗いか悲しい感じの現実逃避しちゃうような、気だるい曲ばかり好んで聴いていた。

自由になりたい

思考停止状態だった私の脳が静かに語り出した。

電車が止まりいつもの駅で乗り換える
次に乗る電車まで足が早まる

ただ自由になりたかった

山手線の内回り、いつもの車両に乗り込む

降りる駅が近づく

心臓の鼓動が高まる

渋谷駅

私は駅を通り過ぎた。

携帯電話の電源を切る。

今持ってる自分の定期で何処まで行けるか考える。

品川で乗り換えてひたすら西へ向かった

知らない景色と時間だけが過ぎていった

体験記⑮に

つづく

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