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【読書ノート】『雀こ』

『雀こ』
太宰治著


井伏鱒二にささげられたとされる短編小説。津軽弁で書かれているので、やや読みにくい。

『雀こ』という、はないちもんめのような遊びをしていた子供たちの話。

タキは、元気で子供たちの憧れの少女。マロサマは、線の細い泣き虫な少年。

二組になって、お互いのメンバーを取り合っていくゲーム。タキは、人気者なので、一番に取られて、マロサマは、いつも最後まで残ってしまう。

マロサマは、ひたすらタキが欲しいと言っていると、タキは、いろいろな理由をつけて、マロサマなのところには行かないと言ってからかう。そして、マロサマは泣いてしまう。タキは「マロサマは私の気持ちがわかってない」と怒って、雪玉を投げる。マロサマは驚いて野原を逃げていく。

思春期の恋の芽生えみたいな物語なのだけどね。

小学生の頃、普段は、やたらと憎まれ口を叩く女の子が、どういうわけか、私が、出場する少年野球の試合を何度も見にきてくれているのだけど、その度に、私は、力んで打てなくなってしまったようなことがあったなあみたいなことを思い出した。


研究論文を読むと、この物語は、太宰治と井伏鱒二の複雑な師弟関係や友情を象徴する作品だとのこと。井伏鱒二は、太宰治の才能を認めていたのだけど、大変なやつだなあと思いながらも、面倒を見ていたらしい。

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