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【読書ノート】『沈黙のパレード』

『沈黙のパレード』
東野圭吾著


警視庁捜査一課の刑事・草薙俊平が担当した少女殺害事件で無罪となった男(蓮沼)が、再び別の事件の容疑者として上がっているところから物語は始まる。

蓮沼は、今回も証拠不十分で釈放されてしまう。そして町の秋祭りのパレードの最中、蓮沼は、殺される。

東野圭吾のミステリーだけに、まあ、関係者それぞれの複雑な事情が、絡み合って、真実を遠ざける。

蓮沼の沈黙(黙秘)、そして、関係者はそれぞれに個別の事情を抱えて、沈黙を貫く。

そして、沈黙は、関係者を不幸に陥れる。


物語の主題は何か?

「覆われているもので現されないものはなく、隠されているもので知られずに済むものはない。」
(新訳聖書ルカ12-2)

沈黙によって、不都合な真実を隠そうとしても、神の前では、全く無意味だということ。

「さばいてはいけません。 さばかれないためです。 あなたがたがさばくとおりに、あなたがたもさばかれ、あなたがたが量るとおりに、あなたがたも量られるからです」(新約聖書マタイ7-1)

まさにこれが、物語のテーマそのものだなあと思った。

聖書は人間に対して、他人を裁くことを避けるように教えている。

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