マガジンのカバー画像

連載小説 SF『マルチバース調整庁SM管理局』

8
SF『マルチバース調整庁SM管理局』格納庫 あらすじ 地球の30億ほどある類似マルチバース(並存世界)での実験を管理するオーバーロードによる官庁に、新たな人事発令により管理官が…
運営しているクリエイター

#輪廻転生

SF『マルチバース調整庁SM管理局』(3)

SF『マルチバース調整庁SM管理局』(3)

[ (2) からの続き ]

ソウルメイト(SM)管理局の新人管理官のM23943は、分厚いケースファイルを7つの目で高速斜め読みをしていた。

たしかにケース番号12億3242万7号は、いろいろな問題含みのソウルメイト・ペアであった。

有史の記録に残っているところでも、後にシェイクスピアが題材とした14世紀のベローナでの事件を筆頭に、17世紀の江戸時代にも係長補佐が言っていたように、大火事事件

もっとみる
SF『マルチバース調整庁SM管理局』(7) 完結回

SF『マルチバース調整庁SM管理局』(7) 完結回

(第6話から続く。末尾にマガジンリンク)

裕子は自分が一時的な記憶喪失に陥ったのだと思った。

ダブリンからヒースロー経由でアルゼンチン行きのフライトに乗ったことは覚えていたが、何故ブエノス・アイレスに来たのか、まったく見当がつかなかった。隣席の乗客と会話した記憶が微かにあったが、隣には誰もいなかったという。

とりあえずイミグレを通って入国する。

携帯を見ると、4日後の帰国のフライトが予約し

もっとみる