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アンガーマネジメントの基本の「き」①

ここ数年、アンガーマネジメントの研修をしてほしいとの依頼がポツポツと増えています。2020年から施行されたパワハラ防止法が関係しているのだと思います。パワハラは怒りのコントロールだけが原因ではないものの、大きく影響を与えていることは確かです。今回から、アンガーマネジメントの基本の「き」について紹介していきます。

「怒り」が何かについて知らない人はいないと思いますが、改めてどういう特徴があるかについて振り返るところから始めてみます。

怒りのデメリット

すぐ怒る人のことを、大好きな人は少ないでしょう。怒りは周囲の人を不快にさせるからです。怖い、近づきにくい、わがままな印象を持たれる傾向にあります。その結果、短期的には、周囲から気を遣われます。自分の意見が通りやすくなり、気分をよくする人もいるかもしれません。しかし、長期的には嫌がられ、避けられることになり、孤立する可能性もあります。人間関係を悪化させるのです。

では、怒りは不必要な感情なのでしょうか。
そんなことはありません。もし、機能的に全く必要ない感情ならば、自然の摂理の中で淘汰されているでしょう。怒りにも役割はあり、必要な感情と言えます。

怒りのメリット

怒りが持つ機能としては、エネルギーを奮い立たせることがあげられます。音楽や小説、ファッションなど、創造の原点を社会に対する怒りにしていることは珍しくありません。他にも、誰かからの一言に怒りを覚え、それをバネに頑張ることはあります。そういう意味では、競争心やモチベーションにもつながります。また、自分の立場や役割を守る、問題の発見や解決のきっかけになることもあります。

怒りのデメリットにばかり注目し、抑え込むことが良いと思っている人がたまにいますが、オススメできません。怒りに限らないのですが、感情を押し込めることの心理的負担はかなり大きいのです。
例えば、「楽しい」という感情を無理に押し込めると良くないのは、想像しやすいと思います。それと同じように、怒りも必要があって出てきている感情であり、無理に押し込めると心理的に調子を崩してしまうかもしれません。

抑え込むのではなく、上手く表現

ここまでの話をまとめると、怒りはそのまま出すと人間関係を悪くしてしまう。一方で、抑え込むと、自分の調子を崩してしまうという葛藤状況にあります。

では、どうすればいいのか。
その答えはシンプルで、抑え込むのでなく上手に表現することです。自分の怒りを自覚し、上手に表現することが、アンガーマネジメントの基本的な方向性です。次回以降、さらに掘り下げて話を進めていきます。

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