れつだん先生

さようなら、外脛骨という手術体験記と、ロクデナシというネットストーキング被害ノンフィク…

れつだん先生

さようなら、外脛骨という手術体験記と、ロクデナシというネットストーキング被害ノンフィクションを書いているので読んでください。 アルファポリス https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/956347457

マガジン

  • 渡辺透クロニクル【短編小説集】

    カクヨムという投稿サイトで連載していたものです。 差別表現を理由に公開停止処分になったためnoteに引っ越ししてきました。 統合失調症で生活保護の就労継続支援B型事業所に通っている男の話です。 一話完結となっています。

  • 読書感想文

    2011年からずっとつけている読書感想文をまとめました。

  • 映画感想文

    2011年からずっとつけている映画感想文をまとめました。

  • さようなら、外脛骨

    左有痛性外脛骨の手術をし、コロナ禍の中1ヶ月入院しました。 それを小説にしました。

  • ロクデナシ 〜ネットストーカー地獄編~【完全版】

    2010年頃から、5ちゃんねる(https://rosie.5ch.net/test/read.cgi/siberia/1540990268/)個人ブログ(https://blueiris.jp/)ツイッター(https://twitter.com/blueirisr8)でネットストーキングを受けています。 そのネットストーキング被害を名称を変えて小説にしました。 ここに書かれていることはすべて事実です。創作はありません。 カクヨムに出していたものを加筆・修正しています。

最近の記事

第11話 通話の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

 渡辺透は電話をかけた。非課税世帯への現金給付の書類が届いていないというクレームの電話である。ホームページに記載されたフリーダイヤルにかけると、女性オペレーターが出た。以下は渡辺と女性オペレーターの通話記録である。 女性オペレーター(以下女性)「お電話ありがとうございます。緊急支援コールセンターです」 渡辺透(以下渡辺)「あのー、給付金の書類が届かないんですけど。発送日から1ヶ月経ってるんですよ」 女性「大変申し訳ございません。非課税世帯であるかの調査をさせていただきます。

    • 第10話 団地の男、渡辺透 【渡辺透】

       渡辺透は公営住宅、つまり団地に引っ越した。  4月の募集で当選して入居が年を明けての2月だから、10ヶ月かかったことになる。公営住宅住宅については転居の男、渡辺透(https://note.com/rtdn_jp/n/nfc773d9bb7e8)を参照いただきたい。  渡辺は生活保護であるから、逐一ケースワーカーに報告をしなければならない。私用な引っ越しではないため引越し代から入居費用は役所持ちである。  生活保護受給者という応募枠がある。家賃が半分以下になる。  公営団地

      • 第9話 転居の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

         渡辺透は転居した。都営住宅にである。倍率8の都営住宅にである。2DKでエレベーター付きの都営住宅にである。  10回目の応募で当選したのは僥倖中の僥倖といえるだろう。それも家族向けではなく単身者向けに、たった3年足らずで当選できたということが、渡辺の理解の許容範囲を超えていた。  都営住宅について述べておこう。  応募数は年に4回。  家族向けや若年夫婦向けの募集は応募し続けるとポイントが加算され、一定を超えると当選する。単身者向けは毎回くじ引きをする。何度応募しようが一

        • 第8話 失恋の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

           渡辺透は失恋した。相手はもちろん福祉作業所に通う6歳年上の小林真理である。が、小林に思いを伝え断られたというわけではない。それだからよりダメージは深刻であり、あまりに情けない自分を蹴り殺してやりたいと思った。  これを突き詰めると閉鎖病棟入りとなることは渡辺の過去が証明しており、理解もしている。しかし理解していてもやめられないのが渡辺であった。  述べるまでもないことだが、渡辺は精神が弱い。とても弱い。所謂豆腐メンタルというやつである。その上に統合失調症を患っている。障害者

        第11話 通話の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

        マガジン

        • 渡辺透クロニクル【短編小説集】
          11本
        • 読書感想文
          12本
        • 映画感想文
          12本
        • さようなら、外脛骨
          30本
        • ロクデナシ 〜ネットストーカー地獄編~【完全版】
          11本

        記事

          第7話 取寄の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

           渡辺は取り寄せていた。なにをか。戸籍謄本である。とある事情により戸籍謄本を某所に提出せねばならないことになり、600キロ離れた本籍地である大阪府の某役所に郵送で取り寄せたのである。  渡辺はあと2ヶ月で36歳になろうかという現在まで、一度として己の戸籍謄本などは見たことがなかった。  見る必要も理由もなかったというだけであるが、さて、今目の前で開いてみるに、渡辺一家の情報が事細かく書いていることに目を見張る。  戸籍謄本を見るまで知らなかったことがいくつもあるわけである。

          第7話 取寄の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

          第6話 湿疹の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

           渡辺透は湿疹に悩まされていた。  5月3日の夕方から突然全身に蕁麻疹が現れたのである。  渡辺は大学病院の救急へ向かった。渡辺が大学病院の救急に行くのは精神科か呼吸器内科の2択であるが、今回は皮膚科である。  渡辺はゴールデンウィークの初日に行った回転寿司で生鯖を食べた。  そしてその日の夜、蕁麻疹が現れた。最初臀部のみに現れた蕁麻疹は次第に広がってゆき、下は足の甲から上は首、つまり全身に広がった。  蕁麻疹はものすごく痒い。渡辺はひたすら全身を掻きむしった。痒いなら掻く

          第6話 湿疹の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

          第5話 硬直の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

           渡辺透は硬直していた。渡辺が作業所で朝のコーヒーを飲みながらスマホをいじっていると、男が突然入ってきて、入り口入って右奥の美樹本の席まで駆け寄り、その勢いで男が美樹本の左頬を平手打ちした。渡辺の思考回路はショート寸前で、なにが起きているのか理解できず、そして動けずにいた。作業所には数人の利用者がいたが、全員渡辺と同じ様に硬直している。  渡辺の脳裏に「やっぱ夏はアイスコーヒーだな」という言葉が浮かんだ。現実逃避の一種なのだろう。  美樹本はボクサーのように両腕を盾にして体を

          第5話 硬直の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

          第4話 自慰の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

           渡辺透は自慰をしていた。35歳を過ぎても日に一度の自慰を欠かせないでいた。その際に使用するのは無料のアダルト動画と右手、あとはトイレットペーパーである。  その日も渡辺はお気に入りのAV女優で自慰活動に取り組んでいたが、活動のラストスパートで女優の顔がアップになった瞬間、初恋の女性を思い出したのである。  その初恋の女性を最後に見たのが中学3年の卒業式であるから、もう20年も前のことになる。10代後半の頃にした引っ越しで卒業アルバムを紛失してしまったので、初恋の女性の顔を見

          第4話 自慰の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

          第3話 濡衣の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

           渡辺透は濡れ衣を着させられた。と述べると何やら冤罪被害にでも合ったのかと驚かれるやもしれぬが、そうではない。さて、これはどういうことか。  7歳年上の恋人に無残にも捨てられてしまった22歳の渡辺は、地元で一人暮らしをし、自由気ままな独身生活を謳歌している風を装っていた。実際は悲しみに打ちひしがれひたすら酒を飲み、朝方に寝付くまで元恋人への呪詛を脳内で爆発させていた。  交代制や夜勤の仕事を繰り返した結果睡眠が上手くいかなくなり、日にビールをロング缶6本飲んでそこから焼酎を

          第3話 濡衣の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

          第2話 駆引の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

           渡辺透は駆け引きをしていた。作業所で小林真理とである。小林真理が通所を始めて2ヶ月の間朝と夕の挨拶のみに留めていた渡辺が、小林と時間にして30分も会話をしたのである。  留めていたと述べるとそれが駆け引きだと勘違いされてしまうので訂正しておきたい。2ヶ月間まともな会話ができなかったのは、単に渡辺に小林に話しかける勇気がなかったというだけの話である。  しかし2ヶ月間何もせずただ見ていただけというわけではない。渡辺と小林をくっつけることを新たな生きがいとした篠崎みどりから、作

          第2話 駆引の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

          第1話 片恋の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

           渡辺透は恋に落ちていた。一ヶ月の入院、そして退院(さようなら、外脛骨参照)、その後の休養で計1年間の休養を余儀なくされた渡辺が長年通っている就労継続支援B型作業所に復帰した初日、男女数人が新たに入ったとのことでそれぞれと軽く挨拶を交わした。その内の一人に片恋してしまったのである。二ヶ月前に入ったという小林真理なる名前の40前後の女性に一発でやられてしまった。  渡辺は今年36歳にもなろうかというのに、女気は皆無で日照り状態を続けざるを得ない状況を強いられていた。最後に女性と

          第1話 片恋の男、渡辺透 【渡辺透クロニクル】

          2018年に読んだ本の感想

          子供の死を祈る親たち 押川剛 2018/12/28 おしっこを部屋で垂れ流して家を腐らせたり、部屋で大便をして母に片付けさせたり、部屋に日本刀を置いてたり家に立て籠もって親を追い出したり、彼氏に薬物漬けにされたり、壮絶な話が繰り広げられる。 これが実際にあった話なのだ。 二章以降は例によって。 「子供を殺してください」という親たち 押川剛 2018/12/27 精神障害者移送サービスを始めた氏のドキュメンタリー。 一章のドキュメントは素晴らしい。 ハッピー・エンドなんか皆無

          2018年に読んだ本の感想

          2017年に読んだ本の感想

          若い読者のための短編小説案内 村上春樹 2017/12/17 第三の新人の本を読んでみようという気にさせられた。 実際に吉行淳之介の文庫本を買ったので、これから読む。 http://retsudansensei.hatenablog.com/entry/2017/12/17/204627 ショート・サーキット 佐伯一麦 2017/12/01 若くして子を持った男が家族のために身を粉にして働いている姿に胸を締め付けられました。 http://retsudansensei.ha

          2017年に読んだ本の感想

          2016年に読んだ本の感想

          一私小説書きの日乗 遥道の章 西村賢太 2016/12/11 http://retsudansensei.hatenablog.com/entry/2016/12/11/001723 一私小説書きの日乗 西村賢太 2016/11/02 http://retsudansensei.hatenablog.com/entry/2016/11/02/200543 遮光 中村文則 2016/10/21 http://retsudansensei.hatenablog.com/ent

          2016年に読んだ本の感想

          2015年に読んだ本の感想

          色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹 2015/12/28 いつもの春樹という感じで、とても良かった。しかし少し文章が雑に感じた。最後の展開は良かった。 星の王子さま サン=テグジュペリ 2015/12/18 読み易かったけれど、結局何が言いたいのかさっぱり分からなかった。 ミート・ザ・ビート 羽田圭介 2015/12/16 初羽田圭介だったが、丁寧な描写良い。内容も面白かった。けれど、結局何なんだ? 雑文集 村上春樹 2015/12/15 面白くて読みや

          2015年に読んだ本の感想

          2014年に読んだ本の感想

          海辺のカフカ 上 村上春樹 2014/12/19 スリリングで楽しめた。あとはどう繋がるのか……! 夢を与える 綿矢りさ 2014/11/18 最初の順風満帆さから……。ネタバレになるといかんので詳しくは書きませんが、え? これでおわり!? と思いました。 回転木馬のデッド・ヒート 村上春樹 2014/10/08 これは面白いのか面白くないのかさっぱりわからない小説だ。 キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇 石田衣良 2014/09/12 とても面白かった。こんな

          2014年に読んだ本の感想