Ryohei Thomas Nakano

Ryohei Thomas Nakano

最近の記事

思い出と紐づく聴覚

Hi-STANDARDやGOING STEADY、EASY GRIPにLONG SHOT PARTYなんてバンドの曲を聴くと、急に鼻の奥がツーンとしてくる。瞬きするたびに渋谷、三軒茶屋、スタジオヒノーズ、サウンドマーケット、碑文谷公園あたりの風景が視え、シェルターやオンエアーイースト、渋谷クワトロや新宿ロフトのステージや道中の風景がめぐり、あの甘酸っぱく苦く実らなかった恋の相手の顔が浮かぶ。 NIRVANAやBush、OASISにBob Dylan、ZEEBRAやEXILE

    • 時間は不可算である

      時間は数えられる。 あと5分で出る、あと2時間で着く、締め切りまであと3日、いやもう2週間すぎてる、あれ締め切りってなんだっけ。 時間は帰属する。 私が札幌駅に向かうバスの15分は、私にとってはTwitterの時間、息子娘にとっては小学校の支度をする時間、運転手さんにとっては勤務時間。それぞれがそれぞれに時間を持ち、それぞれの時間軸で生きている。 そう、時間はユニットである。この5分、あの5分。私の5分、あの子の5分。色々な次元で切り刻まれ、色々な形で個々に配分される

      • 他人のために、まず自分から。

        6年前の今頃、David Bowieが亡くなった。 その時にポストした内容をFacebookがリマインドしてくれたのだけど、個人的に気に入ってる文章なのでここに転載しておく。たいした内容じゃないし、イイネもコメントもほぼつかなかったのだけど、このポストをしたことはよく覚えていて、なんだかとても気に入っている。 気の向くままに文章を書いていると、他人の心に全く響かなくても妙に自分の心に響く言葉が紡がれることが、たまにある。そういう言葉は、なんだかとても大切で愛おしくなる。他

        • 文章を書くということ

          文章を書くのが好きだ。 それも、とりとめもないことを流れ出るままに書くのが好きだ。 小説を書くでもない。 なにか伝えたいことを書くでもない。 ただ頭の中にあるイメージを言葉に落としていく作業。 僕はだいたいいつも頭の中で何かしら考えている。研究のことでもあれば、今日の夕飯のことでもある。友人や家族のことでもあれば、自分のことでもある。電車に乗って車窓を眺めながら、バスの中吊り広告に焦点を合わせながら、電気を消した寝室の布団の中で暗闇の重心を探しながら、ただ心の赴くま

        思い出と紐づく聴覚

          双方向の一方通行の中で

          「世の中には2種類の人間がいる。自分自身と、それ以外だ。」 誰が言ったか知らないが、言われてみれば確かに聞こえる。いや、むしろ当たり前のことを凄そうに言っただけだ。ちなみに言ったのは私だ。でも、その2種類の人間に対して自分ができることとは、と考えると、そこに大いなる示唆が溢れているんではないかと思うことがある。 学生の頃、今ほどiPhone片手に時間を潰せなかった時代、長時間の電車移動の間などにただ外を眺めながら思案を巡らすことが多かった。その中で、「人は自分を通してしか

          双方向の一方通行の中で

          家事育児のこと

          よく聞かれるんです、「4人も子どもいて海外で、どうやって研究と家庭を両立してるんですか」って。 1人目が生まれてからの8年間、研究と家庭を両立させてるという感覚は一度も持ったことがない、というのが答えです。 家庭を立たせば仕事が立たん、仕事を立てれば家庭が立たん。その狭間で、今はどちらを立てるべきか、というのを精査しながらなんとか両方が潰れないようにやっている感じです。家庭のことをやらなければもっと研究進んだだろうな、もっと実験できただろうな、と思うこともありますし、仕事

          家事育児のこと

          海外PI便り (日本植物生理学会通信より)

          以下の文章は、2020年11月1日発行、日本植物生理学会通信第140号(日本植物生理学会運営委員編集)に掲載された文章です。本来は学会員限定に配信されるものですが、今回運営委員会の皆さまのご厚意により、日本植物生理学会の発展と情報発信のため、特別な許可をいただいて転載するものです。許諾なき転載はご遠慮いただきますようお願いいたします。また、このように背景がグレーの「引用形式」で挿入したテキストは日本植物学会通信には掲載されておらず、本記事執筆の際に補足として追記したものです。

          海外PI便り (日本植物生理学会通信より)

          Nature系列のOAの話

          間違った形で解釈されてるのかな、と思うことがあったので整理。ざっくり言ってこの記事の部分的な和訳みたいなもんです。 そもそもの背景として、特にERCを筆頭とするヨーロッパの研究界隈ではあらゆる論文はOAになるべきだ、という流れがあります。 22.10.2020 CEST 09:30 追記:ヨーロッパだけではなく世界全体の流れだ、とのコメントを頂きました。僕はヨーロッパのことしか知らないので例えば日本やアメリカでどういう空気なのか知らないので、とりあえずヨーロッパでは、とし

          Nature系列のOAの話

          zoom研究会を企画した話

          zoom研究会を企画して世話人としてオーガナイズに奔走してみたのでその備忘録を書いておこうと思います. 昨年の10月頃,完全なる思いつきで有志数名と一緒に立ち上げたslackベースの植物マイクロバイオータ研究コミュニティがありまして,立ち上げから半年なんですが現在三十与名のメンバーでかなりアクティブにいろんな話をできていて楽しんでいます.今回Covid-19で学会が軒並み中止になったことを受けて,代替としてこのslackメンバーでオンライン研究会を開催できないかと提案したの

          zoom研究会を企画した話