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国際女性デーに、多様性について考える~後編~

3月8日は「国際女性デー」は、女性の社会的・経済的地位向上について考える日です。

「国際女性デー(International Women’s Day)」とは*、1904年にニューヨークで婦人参政権を求めたデモが契機となり、1975年3月8日に国連がジェンダー平等を尊重する日として制定した祝日のことです。
*出典:国際女性の日(3月8日)制定に至る歴史とは | 国連広報センター (unic.or.jp)

今期「Focus&Collaboration」をスローガンとして掲げる株式会社Regrit Partners(以下、リグリット)では、社員間のコラボレーション醸成を目指し、フィデリティ投信株式会社より鶴 尚美様をお招きし「どのように"多様性を活かした職場”を実現できるか」について考える座談会を開催しました。

今回の座談会について、2回(前編・後編)にわたってお届けしています。
後編となる本編では、パネルディスカッション部分を取り上げています。
前編での鶴様の講話内容を受けて、リグリットでの女性や多様な人財の躍進を推進に資するテーマを主眼に、3名のパネリストが各々の疑問を鶴様に投げかけました。

読者のみなさんにとって、
この記事が「多様性を理解する」ことや「個々人の『らしさ』を活かす」ことを考えるきっかけになればうれしいです。

前編はコチラ




左から:リグリット佐々木、袴田、鶴様、リグリット請井、市川、小松

パネルディスカッション

ーーー本人のWillとCanが合致した「女性躍進」とは?

請井:「男女」のフレームのなかで、海外からは女性躍進が当然のこととして求められており、それが日本社会の存続やリグリットの発展にも大きな影響があるのだと理解しました。
一方で、リグリットが従業員本人の意思と能力を整合させながら女性躍進を推進するために大事なポイントを教えてください。

鶴様:私は、男性女性関係がないと思うんです。女性が社長になった某化粧品会社の例を挙げますね。そこでは、名前と男女の性別を全部隠して、課長職になるために必要な能力等の評価指標を定義し、現在課長職の社員及び課長職候補者に対しそれらを満たしているかどうかを評価していったんですよ。
そうしたら、課長候補の女性たちが上位5位を占めたことがあったんです。

左から:リグリット袴田、鶴様、リグリット請井

「どう工夫したら仕事ができるのか」に
もっとフォーカスを置くことが大事


鶴様:アンコンシャスバイアス*は誰もが持っているもの
なんですよ。それが男女についても非常に多く存在していると思うんです。
*出典:アンコンシャス・バイアスとは、心理学の概念である「認知バイアス」の一つで、無意識の偏見や思い込みから偏ったモノの見方をしてしまうことです。「無意識バイアス」「潜在的ステレオタイプ」とも呼ばれます。*出典:アンコンシャス・バイアスとは?日常的な具体例や、企業ができる改善方法 朝日新聞|解説記事(www.asahi.com)

例えば、妊娠している女性がいるとしますよね。そうすると、「ちょっと大変だろうから、ここまでの仕事しか渡しちゃいけないんじゃないか」と、男性の上司とかが考えたりするんですよね。

でもね、それは妊娠した本人が考えればいいことなんです。上司は、「どのようなアレンジやサポートが必要ですか」と聞くことの方がむしろ大切です。これまでも日本の企業では、初めから女性に対し仕事の機会を断つことが多く行われてきました。これって、「守る」ようでいて、本人の機会をどんどん少なくしてしまったんじゃないかと思うんですよね。
なのでもっと柔軟に考えて、男女ともに身体の不調やケガした状態だとかと全く同じで、「どういうふうにしたら仕事ができるのか、仕事を続けられるのか」にもっとフォーカスすることが大事なんだと私は思うんです。

目の前のチャンスを逃さず挑戦することも必要


鶴様:実は、統計的に日本だけじゃなくてグローバルで、男性はチャンスが目の前に来たらまずはやってみる姿勢を見せて「僕できます」と言ったりするんですよ。
女性は、全部が全部できるか確信を持てないと「いや、ちょっとまだ私準備不足だと思います」と言って、チャンスを取らないケースがものすごく多いんですよ。
 
女性もそこは変わらなきゃいけなくて、とにかくまずやってみればいいんですよね。やってみて出来なかったら、そこからまた学ぶんです。
そして、次のチャンスではそれを活かせるんですよね。だから、失敗を怖がらないでみんなで挑戦するっていうのも必要なんだと思うんです。
 
実は自分自身もそうでした。以前は全く英語もしゃべれなかったんですよね。新卒から人事で、昇格の話が持ち掛けられた際に、部長なんて怖くてできないと思って、みんなに聞いたんですよ。
男性に聞くと、全員が「なんで?やればいいじゃん」っていうんですよ。
女性に聞くと、「うん。でも確かに怖いよね」っていう答えなんです。
結局、最終的に私はその男性の仲間の声を聞いて、とりあえずチャレンジして、少しずつ職位など上がってきていまのような仕事をしているんですけども。
本当にみなさんの背中を押したい!
目の前にチャンスがきたら、やってみればいいと思います。

左から:リグリット佐々木、袴田、鶴様、リグリット請井、市川、小松

ーーー将来または現在、ケア責任を負う従業員が「管理職昇格」に感じる不安の解消に繋がる考え方や解決方法は?


市川:
2020年の9月に入社し、今年2月にAssociate Managerに昇格しました。小5と小2になる子供がいることもあり、現在は30分だけ時短勤務しています。入社時期はコロナ禍で、顧客もリモートワークに切り替わったこともあり、仕事と子育ての両立ができるようになったことをチャンスだと感じていました。
さきほど、「やってみたらいい」というお言葉をいただきましたけれども、将来または現在の子育てや介護等のケア責任を負う従業員が管理職に昇格するうえでのマインドの持ち方や、周囲がどのようなマインドを持っていれば昇格に対して心理的なハードルを持たずにいられるか、アドバイスいただけないでしょうか?

鶴様:2つあると思っています。1つは、どのようにライフワークバランスをとりながら、仕事ができる環境にしていくか、会社自体が考えてフレームを作ること。
(中略)もう1つのポイントは、チームで「持ちつもたれつ」で互いに働きやすい環境を作りながら、希望のライフワークバランスが実現できることの安心感を渡してあげられるチーム作りだと思っています。

1人や家族だけでは相当大変。なので会社からもある程度のサポートが必要


鶴様:1つ目のポイントについては、私が前職で「ベビーシッタークーポン」を導入した例をご紹介します。1人300円で1時間ベビーシッターしてもらえるサービスで、残りの費用は会社がサポートする仕組みでした。
このクーポンは、会社が運営しているわけでなく、この仕組みを運営する団体があって、それを導入したということなんです。そうすると、子育てで1 番大変な工程である子供を学校から家に連れて帰るとか、塾に行かせて連れて帰る、家に帰ってご飯を食べさせるぐらいまでを、3時間900円でやってもらうイメージになるんです。

私自身も親と一緒に住み始めたり、会社の制度をいろいろ使いながらなんとか子育て期間を乗り越えました。自分1人では難しいですし、自分たちの家族だけでも本当に相当大変だと思うので、そういうサポートが会社にあるとすごくいいと思うんですよね。

それぞれ個別事情を抱えている。「持ちつ持たれつ」のチームづくりが大事


鶴様:2つ目のポイントについては、チームで働くことです。つまりは、チームメンバーにいろいろとタスクを割り振り、助けてもらいながら、みんなで最終的な成果を出せばいいっていうことなんだと思うんです。私は逆に、自分のチームを持ってからのほうがよっぽどライフワークバランスが良くなりました。
 
みんなそれぞれ個別の事情があると思うんですよ。
例えば、習い事してるとか趣味で絶対ここに行きたいとか、あるいは月に1回は旅行に行くから、この日も毎週休みたい、みたいな。または毎週とか隔週で休みたいとか。個々の要望をみんなから吸い上げて、希望していることをできるだけ実現するために、どういう風なシフトやタスクの割り振りでやろうか、なんていう話をざっくばらんにしていました。その上で、例えば「現状私だけ負担が大きいです」っていうような声が上がることもあると思いますが、実はその人もライフサイクルの中では必ずそのいろんなことがでてくるものです。
 
なので、持ちつ持たれつなんですよね。その時のことだけでなくて、もう少し長いスパンで考えられるように、お互いにサポートをできることで、「自分がこうなったら私もこういうサポートをもらえる」っていう安心感を渡してあげられるチームづくりが最終的にはとても効率が良くなると思うんです。大変だと思うんですけど、頑張ってくださいね。

ゴールドマンサックスに勤めていた時代、当初はロールモデルと言われていた人たちが、男性さながらにバリバリに働く人たちがすごく多かったんです。
そうすると、みんながバリバリ働いていられないと上位職位に上がっていけないような固定概念ができるんですよ。
それが徐々に、子供を産んで戻ってきた女性が部門長として活躍している例が増えていくと、他のキャリアを築きたい社員も出産することにハードルを感じなくなり、徐々に出産率が上がったんです。これは、「(産休・育休)取れるんだ、そして戻ってこれるんだ」と安心したということなんだと思うんです。

左から:リグリット袴田、鶴様、リグリット市川

ーーー子育てを優遇する制度導入に対して社内で不満の声があがった際のコミュニケーションとは?


袴田:
ぜひ伺いたいんですが、子育て世代を優遇する制度を会社として導入したとして、例えば独身でバリバリ仕事している立場の人から見ると、それは不平等じゃないか、といった声が上がると想定しています。
どのようなコミュニケーションを図るのがよいでしょうか?
 
鶴様:子育てとそれ以外、というふうに分けてしまうからなかなか難しいんだと思います。
(中略)なぜだか子育てだけがクローズアップされがちなんですけど、、実は違う考え方もできると思うんです。つまり、人によって、スポーツジムに週に何回は絶対行きたいっていう人もいれば、病院通いのために休めるようにしたいなど、要望はいろいろあると思うんです。まずは、その中のうちの1つ、というような位置づけがきっと納得しやすいのではないかと思っています。
 
(中略)できることできないことはあるんですけど、フィリディティ投信では以前アンケート調査を実施しました。TOP10の要望から、「必要なコストと、どういうことができるか」を考えました。できないものについては正直、「ごめんコスト的にできない」と伝えました。ただ、同時に代替案を提示して「こういうことならできるけど、どう?」みたいな話をしたりもしました。

ーーーリグリットは何から着手するべきか?


袴田:仮に、鶴様がリグリットの経営者だとすると何から手をつけられますか?

鶴様:
もう少しリグリットの現状を知る必要はありますが、人事の観点で言うと、人事戦略から「どうやったらみんなが最大のパフォーマンスをあげられるか」を考えます。そのためには何から変えていけばいいか考えるのだと思います。

左から:リグリット袴田、鶴様

ーーー実態把握や施策の方向性を決めるためのアプローチは?


袴田:
強いて言うなら、何から調べていかれますか?例えば、実態を把握するための調査や、施策の方向性を考えるためにどんなことをまず気にされますか?

鶴様:
フィリディティ投信でもやったんですけれど、私だったら、ジェンダー関連であれば、全体の男女比だけでなく、それぞれの職位の男女比率を調べ、そこから見えてくるものを施策に入れていくと思います。また、アンケート調査で、①「この会社で自分が最大限のパフォーマンスを発揮するためにどんなものがあったらいいか」、②「あなたが経営者だったら何をすると思うか」といった質問をすると思います。

制度も整備しながら、働き続けたいと思わせるほど魅力的な会社であることも大事


鶴様:(中略)特にZ世代*の人たちは、定年まで働き続けようと考える人がものすごく少ないですね。なので、企業としては、その人たちが会社から離れないだけの魅力的な会社だと思ってもらえるようにしておく必要があります。

(中略)また、Z世代に関しては、会社の制度だけでなく、会社にいることで自分の価値が上がると思えていないと、その会社に在籍すること自体の理由を持てないのではないかと思います。
*出典:ミレニアル世代とは?Z世代との違いや特徴について徹底解説|GroWomen Leaders (mynavi-agent.jp)

ーーーいまの学生たちがグローバルと日本で活躍するためのアドバイスは?


小松:
現在娘が2人おり、彼女たちにグローバル且つ日本で活躍していってほしいのですが、鶴さんのように輝く女性になるためのアドバイスいただけないでしょうか?

鶴様:目の前に来たチャンスを、もがきながら頑張って、自分で自分のキャリア作っていくと考えて行動し続けることではないのかなと思います。会社から仕事を提示されたときも、自分がそのチャンスを取るかどうかを自分が主体となって考えるってことなんだと思うんです。
 
あとは、「ここまで」って、自分がやれる範囲や仕事するやる範囲を自分で決めないほうがいいかなと思います。

左から:リグリット市川、小松

最後に:鶴様からのメッセージ

会社として、このような機会を創ってらっしゃること自体、まずすごいなと思っています。
私は一人ひとりが会社を創るものだと思っており、経営陣が創るものではないって思っています。これは大企業になっても、比較的皆さんの顔を知っているような企業の規模だったとしても変わりません。

すでに皆さんが輝きながら仕事ができる組織でいらっしゃると思うので、今後も一人一人の皆さんがますます輝きますよう、ビジネスが成功なさいますよう本当に心からお祈りしております。
本日はどうもありがとうございました。

ーーここまでお読みいただきありがとうございました!

以上、「国際女性デーを機に、多様性について考える」を2回にわたってお届けしました。

パネルディスカッションの模様をお送りしましたが、いかがでしたか?
みなさん一人ひとりが輝きながら働き続けられる未来に繋がりますように。

ミモザの花のリース:イタリアでは、3月8日に女性に対してミモザを贈る慣習がある*
*出典:今年のテーマは「Be Brave! 勇気」。勇気をもって立ち上がる女性たちへ最大の祝福を。── イタリア Mimosa Day 2024|講談社SDGs by C-station (kodansha.co.jp)

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