国際女性デーに、多様性について考える~前編~
3月8日が何の日か、ご存じでしょうか?
3月8日は「国際女性デー」は、女性の社会的・経済的地位向上について考える日です。
「国際女性デー(International Women’s Day)」とは*、1904年にニューヨークで婦人参政権を求めたデモが契機となり、1975年3月8日に国連がジェンダー平等を尊重する日として制定した祝日のことです。
*出典:国際女性の日(3月8日)制定に至る歴史とは | 国連広報センター (unic.or.jp)
今期「Focus&Collaboration」をスローガンとして掲げる株式会社Regrit Partners(以下、リグリット)では、社員間のコラボレーション醸成を目指し、フィデリティ投信株式会社より鶴 尚美様をお招きし「どのように"多様性を活かした職場"を実現できるか」について考える座談会を開催しました。
今回の座談会について、2回(前編・後編)にわたってお届けします。
前編となる本編では、鶴様の講話内容をお伝えします。
世界の女性躍進状況の共有とともに、日本の遅れた現況や今後の日本企業に寄せられる期待についてお話いただきました。
読者のみなさんにとって、
この記事が「多様性を理解する」ことや「個々人の『らしさ』を活かす」ことを考えるきっかけになればうれしいです。
登壇者紹介
〈特別ゲスト〉
フィデリティ投信株式会社 執行役員人事部長 鶴 尚美 様
〈Regrit Partnersのパネリスト〉
今回の座談会では、様々な切り口からディスカッションを行うため、
社内で職位・世代の異なるパネリストが参加しています。
鶴様による講話
ーーー30% Clubの活動と世界・日本の女性躍進の現況について
鶴様:30%Clubは、TOPIX100の企業の取締役会の女性比率を2030年までに30%に引き上げることを目的とした世界的なキャンペーンボランティア団体です。実は、30% Clubのロゴに「+」が追加されています。というのも、他国はすでに30%以上を達成しているからなのですが、日本は2023年9月時点TOPIX100 の取締役会に占める女性割合は、19.6%*であり、日本は遅れている状況です。
*出典:Japan - 30% Club l About 30% Club Japan (30percentclub.org)
海外の多くの国では女性躍進の土壌が既にできあがっているが、日本の現況は著しく遅れている
鶴様:フランスでは法改正が行われ、いまや女性取締役が1人以上の企業は100%となっています。一方日本では取締役員全数に占める比率が9%であり、ものすごく遅れています。
ジェンダーギャップ指数においても、日本は2023年時点で146か国中125位*でした。先進国の中ではダントツで下位に位置していて、あまりなじみのない開発途上国のちょっと上にあるかな、くらいの状況です。
*出典:【ジェンダーギャップ指数】日本、2023年は世界125位で過去最低 政治・経済改善せず:朝日新聞SDGs ACTION! (asahi.com)
ーーーなぜ機関投資家は女性活躍推進を企業に求めるのか
女性の活躍状況が海外投資家の投資判断に直結している
鶴様:フランスや他の先進国では女性の活躍が当然のことになっています。これはコーポレートガバナンス上、取締役会メンバー及びそれ以外の決定権を持つポジションの多様性を求めていているからです。そうすると日本の企業で女性の活躍が出来ていない状態だと、コーポレートガバナンスを順守していない会社として見られ、海外投資家も投資しないんですね。この傾向は顕著なんです。そうすると企業はお金が集められない。そうすると企業の発展に繋がらない。
だからこそ、いわゆる日本だけの考え方でなく、もっとグローバルに目を向けて海外からもお金が集められるような、いわゆる「企業価値」をどうやって高めていくか、が重要です。財務諸表だけでなく、トップマネジメントの考え方、働いている人たちのモチベーションの高さ等を含む企業文化まで考慮する必要があります。加えて意識したいのは、多様な人たち(ジェンダーだけでなく、国籍なども含む)が働いている会社かどうか。
こういった総合的な見方で機関投資家は会社の価値を評価しているんです。
コロナ明けの女性取締役の参画をきっかけに「イノベーティブな考え方」が普及し始めた
鶴様:コロナになる前は、女性取締役が参入することによる「変化」が顕在化するまでに時間がかかっていたため、「女性がトップマネジメントを担う必要性」に疑問があったものの、コロナ明けの株価上昇を受けて、経営者もより積極的に取り組み始めているように見えます。
男性だけ、あるいは同じ考え方やバックグラウンドを持つ人たちだけで物事を考えていても、様々なバックグラウンドや意見を持つ取引相手のビジネスニーズに応えられるはずがない。なので、ジェンダー、異文化、身体的特徴、ソーシャルモビリティなど様々な角度からの考えも含め、もっともっとイノベーティブに、そして柔軟に考えていく必要があるんじゃないかと考えています。
海外企業と競うにも女性が活躍できない会社は門前払い
鶴様:30% Clubインベスター・グループのメンバーは機関投資家で構成されていて、企業だけではなく政府団体に対しても様々な提言をしています。例えば、日本でも最近男女間の賃金格差を公表することが法律化されましたが、その必要性や有価証券報告書でも男女間の賃金格差を公表することの必要性を提言していたことなどは最近の例です。
フランスでは、女性が取締役にいないと罰金が科せられるような法改正(取締役クオータ法の導入*)がありました。結果としてフランスでの女性取締役が1人以上の企業は100%となっています。さきほども申し上げましたが、日本では取締役員全数に占める比率が9%です。
*出典:France Pushes Forward on Gender Diversity Within French Corporate Management Bodies Via the Rixain Act (issgovernance.com)
他国からここまで遅れを取っているような状況では海外企業と戦えないから、日本のマネジメントの方でも、30% ClubのTOPIX社長会に所属する社長をはじめとして是正に向けて乗り出している会社が増えてきている状況といえます。
「大学グループ」では、東大の総長がリードしながら、性別に対するバイアスをなくしジェンダー平等に貢献しています。
なので、ぜひその女性活躍をNice to Have(持っていた方がいいもの)という考え方ではなく、ひとりひとりがマネジメント層だったら「この会社をどうやって発展できるか」という視点でぜひ考えていただけたらと思います。
ーーここまでお読みいただきありがとうございました!
前編はここまでです。
鶴様が講話で話された、世界と日本の女性躍進の現況に関して、みなさんは何を感じ取られましたか?
この記事をきっかけに、みなさんのなかで気づきを得るきっかけとなっていれば嬉しいです!
▼次回予告:
後編では、株式会社Regrit Partnersコンサルティング事業部にキャリア採用で入社した3名とのパネルディスカッションの模様をお届けします!