彼の発した言葉に、食卓に沈黙が流れた。 「・・・神って?あの神のことか?」 僕がそう聞くとハンニバルは笑った。 「そうだ。神だよ。馬鹿なことを言っていると…
「サーシャ。こっちへおいで。」 リュカに呼ばれた小さな男の子は、彼の元へと走り寄った。 「ここを持ってて、しっかり握って。そうそのまま。」 リュカは…
第2章 カーチャとアグニア 「彼は悪魔だわ。あんなこと、許されないことよ、私たちいったいいつまで彼のあの行為に従わないといけないのかしら?」 そう言うと…
激しい雨の中、その女は従者の持つ消え入りそうな松明の火を頼りに夜の修道院を訪れていた。 濡れた重いドレスを引きずり、修道院の扉の前に立つと間もなくして扉が…
ナカジ
2024年5月3日 22:31
彼の発した言葉に、食卓に沈黙が流れた。 「・・・神って?あの神のことか?」 僕がそう聞くとハンニバルは笑った。 「そうだ。神だよ。馬鹿なことを言っていると思うだろうね、なにせ私が一番信じていなかったからな。 だがミーシャに起こった出来事は説明の仕様がないことばかりだった。 彼女のおこした奇跡を私は何度も目撃した。」 ある時、孤児院の庭先に一羽のカラスが死んでいた。 カラスは死んで
2024年4月13日 16:25
「サーシャ。こっちへおいで。」 リュカに呼ばれた小さな男の子は、彼の元へと走り寄った。 「ここを持ってて、しっかり握って。そうそのまま。」 リュカはうさぎ取りの罠の掛け方を教えた。 「上手く出来た。後はこの場所を忘れないように、印を残しておくんだ。」 リュカはそう言うと小さなサーシャの頭を撫でてやった。 「うさぎはかかるかな?」 サーシ
2024年3月30日 10:45
第2章 カーチャとアグニア「彼は悪魔だわ。あんなこと、許されないことよ、私たちいったいいつまで彼のあの行為に従わないといけないのかしら?」 そう言うと私は鏡に向かって髪を梳かす彼女を見て、あなたもそう思わない?と聞いた。 「何も考えては駄目よ。私たちはただ黙ってご主人様の言いつけに従う人形にならないと、そうじゃないと、ここにはいられないわ。」 そう言うと彼女
2024年3月23日 18:36
激しい雨の中、その女は従者の持つ消え入りそうな松明の火を頼りに夜の修道院を訪れていた。 濡れた重いドレスを引きずり、修道院の扉の前に立つと間もなくして扉が開いた。 「このような夜更けに貴女のような方が何の御用で訪ねていらしたのでしょう?」 応対に出てきた修道士は、女の高貴そうな身なりを見て不思議そうに尋ねてきた。 「夜分遅くに突然訪ねた無礼を、どうぞ